月別アーカイブ: 2013年3月

佐久間象山 蘭和辞典改訂 金策 借金通帳公開

佐久間象山が蘭和辞典改訂のため金策 借金通帳公開
 幕末の思想家、佐久間象山(1811~64年)が、幕府編纂の蘭和辞典「ハルマ辞書」に新語を取り入れて改訂するため、松代藩から「金千両」借用の約束を取り付け、1849(嘉永2)年から翌年までの間に17回に分け計451両を借りたことを記録した借金通帳などが4月1日から丸善日本橋店(東京)で初公開される。辞書の版木の一部分がつくられていたことも記されている。当時の科学技術導入には欠かせなかったオランダ語普及を訴えた象山の開明性と熱意がうかがわれる。蘭和辞書が制作途中だったことを裏付ける史料の公開は初めて。

明治政府 1873年万博 出品 大名屋敷 模型 復元

明治政府が1873年の万博に出品した大名屋敷の模型を復元
 ウィーンのハプスブルク家の王宮内にある民族学博物館の倉庫で、明治政府が1873年のウィーン万博に出品した大名屋敷の木造模型が見つかり、博物館は修復することを決めた。同博物館は2016年ごろに開く日本常設展の目玉として、約140年ぶりに一般公開する。修復に関するノウハウを持つ京都工芸繊維大学が作業に協力するという。今回見つかった模型は、実物の18分の1程度の大きさで、土台の幅が約3㍍、奥行きが約4.6㍍。日本が出品した約6000点のうちでも最大の部類。御殿のほか、白壁の長屋門や能舞台、高さ約70㌢の火の見やぐらも付いており、全体を3つに分けて保存されていたという。

奈良で弥生時代前期のエノキの切り株展示

奈良で弥生時代前期のエノキの切り株展示
 奈良県立橿原考古学研究所付属博物館で、約2400年前の弥生時代前期のエノキの切り株が無料展示されている。展示は4月7日まで。3年前、同県御所市の水田跡の隣から200本以上の埋没林の一つとして見つかり、約3年の保存処理を経て、ようやく一般に披露されることになった。切り株の幹は直径約80㌢で、重さは約1.1㌧もある。切り株には火を押し付けて黒く炭化した跡もある。2400年もの悠久の時空を超えて、弥生人が切った切り株をいま目にすると思えば、感動もひと味違うか。

JR奈良駅北に3基以上の未知の古墳群があった

JR奈良駅北に3基以上の未知の古墳群があった
 奈良県立橿原考古学研究所付属博物館は3月25日、JR奈良駅の北約500㍍の地に、これまで知られていなかった3基以上の古墳群(4~5世紀)があったことが分かったと発表した。2000年度と2009年度の発掘で円筒埴輪や船形などの破片が数百点出土、分析した結果、時期の異なる埴輪が多数あり、墳丘は残っていないが、古墳群があったと結論付けた。この約2㌔北西には同時期の大王墓とされる佐紀古墳群があり、同博物館では「今回分かった古墳群は大王を支えた首長の墓では」とみている。

京都・大覚寺 高村光雲作 聖観音像 3点見つかる

京都・大覚寺で高村光雲作の聖観音像など3点見つかる
 京都市右京区の大覚寺は3月26日、彫刻家、高村光雲(1852~1934年)の彫刻作品3点が境内の蔵で見つかったと発表、報道陣に公開した。いずれも木造で大正時代に制作されたもので、聖観音像(高さ20.8㌢)、白衣大士像(同22㌢)、聖徳太子孝養像(同21㌢)の3点。保存状態も良く、光雲の芸術性の高さがうかがえる作品だという。一般公開は大覚寺で4月3日から5月31日まで。

ガレージセールで290円の器 競売で2億円に

ガレージセールで290円の器 競売で2億円に CNNテレビによると、元値がガレージセールで3㌦(約290円)だった器が、実は中国の北宋時代(10~12世紀)の逸品と判明し、米ニューヨークで行われた競売で、約220万㌦(約2億1000万円)で落札されたことが分かった。出品者は2007年夏、ニューヨーク州の自宅近くで催されたガレージセールで安売りされていた、この器を買い求めたという。

大阪・茨木市で16世紀のキリシタンの墓跡

大阪・茨木市で16世紀のキリシタンの墓跡
 大阪府文化財センターは3月19日、大阪府茨木市の千提寺地区にある千提寺西遺跡で、16~17世紀ごろのキリシタンの墓とみられる長方形の穴2基が見つかったと発表した。千提寺地区は、大正時代に日本に初めてキリスト教を伝えた宣教師、フランシスコ・ザビエルの肖像画(重要文化財)が発見されたことで知られ、戦国時代の敬虔なキリシタン大名、高山右近の旧領地だ。徳川幕府による1614年の禁教令以降も熱心な信者がいた地として知られている。ただ、今回のような墓の発見は初めて。これまでキリシタンの墓は大阪府高槻市の高槻城跡や、大分や長崎など全国でも5カ所ほどしかない。

女優・高峰秀子さんの未発表随筆発見

女優・高峰秀子さんの未発表随筆発見
 映画「二十四の瞳」「浮雲」など映画史に残る作品に主演した女優で、エッセイストとしても知られた高峰秀子さん(1924~2010年)の未発表のエッセイが、東京都港区の自宅で見つかった。1958年に夫で映画監督の松山善三さんと欧州旅行した際の旅行記で、新潮社から「旅日記 ヨーロッパ二人三脚」のタイトルで3月30日に刊行される。旅行記は、ベネチア国際映画祭に出席するために日本を発った1958年8月24日から、フランスやドイツ、スペインなどを回って帰国した翌年3月28日までの約7カ月間にわたる。各地の食べ物や買い物、映画の感想が淡々と綴られている。パリで画家の藤田嗣治に絵を描いてもらうなど、幅広い交友関係もうかがわれる。

漱石の松山の下宿先「愚陀仏庵」の復元を断念

漱石の松山の下宿先「愚陀仏庵」の復元を断念
 愛媛県と松山市の連絡会議は、夏目漱石が教師として松山に赴任していた際の下宿先「愚陀仏庵」の復元を事実上断念することを表明した。2010年に豪雨で全壊、同連絡会議がその復元を協議していたが、安全性が確保できないと判断。道後温泉など他の候補地も、土地取得費や維持管理費の問題で難しいと結論付けた。愚陀仏庵は、漱石が1895年(明治28年)6月から下宿し、現在の松山市二番町にあった木造2階建ての民家。漱石の俳号「愚陀仏」から命名した。

唐招提寺境内で7世紀の仏像彫ったタイル出土

唐招提寺境内で7世紀の仏像彫ったタイル出土
 奈良県立橿原考古学研究所と奈良市の唐招提寺は3月21日、同寺境内で7~8世紀のものとみられるせん仏(仏像を彫刻した古代のタイル)の破片1点が出土したと発表した。出土したせん仏片は縦約12㌢、幅8㌢、厚さ4.5㌢。重要文化財級の発見という。