月別アーカイブ: 2013年8月

「独自技術を集積」佐藤繊維4代目社長招きセミナー

「独自技術を集積」佐藤繊維4代目社長招きセミナー
 日本貿易振興機構(ジェトロ)、インドネシア日本友好協会(PPIJ)などは8月29日、佐藤繊維(山形県寒河江市)の4代目社長・佐藤正樹氏を講師に招き、中央ジャカルタのホテルで「モノづくりセミナー」を開催した。このセミナーは”日本のモノづくり精神”を通じ、企業理念などをインドネシアに伝えようと松下ゴーベル財団の後援を受け、開催されているもので、今回が4回目。会場にはインドネシアのファッション産業、繊維産業関係者など150人が参加した。
 今回のセミナーで佐藤氏が強調したのは、顧客のニーズに合わせて製品をつくっているだけでは、生き残っていけない。生産者が主体となって製品を開発し、独自の技術を蓄積することで、流行を自らつくり出していく必要がある-との考え方だ。さらに、企業として、雇用を守り続けていくためには製品開発と広告宣伝に注力し、独自技術とブランドを確立することが重要だ-とし、生産だけでなく、つくった製品を売り込んでいく宣伝活動の重要性を説いた。
 佐藤繊維は2005年、南アフリカに生息するアンゴラヤギの毛に着目し、1㌘の原料から52㍍の糸を紡ぎ出すことに成功。これにより、極細モヘア糸が可能になり、素材が持つ独自の柔らかさを実現した。その功績が認められ、09年には第3回モノづくり日本大賞の製品・技術開発部門で経済産業大臣賞を受賞している。

JJS生徒がジャカルタ漁港にマングローブを植樹

JJS生徒がジャカルタ漁港にマングローブを植樹
 じゃかるた新聞によると、ジャカルタ日本人学校(JJS)の5年生137人は8月28日、北ジャカルタ・ムアラ・バルのジャカルタ漁港を見学し、港内海水浄化システムの敷地にマングローブの苗木を植えた。
 ジャカルタ漁港は日本のODA(政府開発援助)案件として、1984年に完成。コンサルタントして1970年代後半のプロジェクト開始時から30年以上関わり、第一線を退いてからも、ジャカルタと日本を行き来しながら、漁港の面倒を見続ける折下定夫さんが子供たちを案内した。10年前にJJSの見学受け入れを開始。今年初めてマングローブの植樹を実施することになった。この日のために子供たちは、7月上旬から授業の一環で種から苗木になるまでマングローブを育ててきた。折下さんは、マングローブを植えることで、子供たちが再び港にきてくれる、そんなきっかけになってほしい-と語っている。

愛知県立大・ガジャマダ大が産学共同で人材育成事業

愛知県立大・ガジャマダ大が産学共同で人材育成事業
 愛知県立大学とインドネシアのガジャマダ大学(UGM)は8月26日、日系企業と産学共同でUGMの学生25人を対象にした人材育成事業を開始した。両大学は2010年に全学協定を締結しており、インドネシアで展開する日系企業へ優秀な人材を送り込むのが狙い。
 インドネシアの日本語学習者は増加しているが、仕事に結び付く日本語能力を持つ人は少ない。それだけに、今回両大学が推進する、就職市場で需要の高い理工系の学生を中心に日本語や企業文化などを教える人材育成事業が、日系企業への質の高い人材の就職の”橋渡し役”になることが期待される。
 愛知県立大学の日本語教育専門家が8月26日から9月20日までの4週間、高校生時代に日本語を第二外国語として学んだ理工系や政治、経済学部のガジャマダ大学の選抜者25人に、日本語再教育プログラムを実施する。今年の予定では10月~12月に文学部日本語学科の学生2人を追加して就職支援講座などを実施する。
 来年以降は16年までの2年間で、日本語再教育プログラム、日系企業の日本国内の工場でインターンシップを実施していく予定だ。講座修了者には修了証書が発給される。

 

囲碁の団体戦でインドネシア人3兄弟が健闘し準優勝

囲碁の団体戦でインドネシア人3兄弟が健闘し準優勝
 東京都で7月28、29の両日行われた囲碁の全国大会「第10回文部科学大臣杯小・中学校囲碁団体戦」の小学生の部で、小金井市立東小学校(東京)チームのインドネシア人3兄弟が初出場で準優勝という快挙を成し遂げた。準優勝したのは同市在住のラフィフ・シドキ君(11)とファイソル・ウマル君(9)、ファイズ・ウスマン君(7)の3人。
 地方予選で、292チーム1082人から選抜された64チーム192人の各都道府県代表が、3人1組の団体戦で覇を競った。8チーム1グループに分かれて戦う予選リーグを勝ち抜き、決勝トーナメントで群馬や京都のチームを下した。決勝戦では同じ東京の千代田区立九段小学校チームに善戦したが、あと一歩及ばなかった。
 両親ともインドネシア人の3人は日本で生まれ、小金井東小学校に通っている。子供たちに日本文化を学ばせようと考えた父フィトラ・グナワンさん(39)が、子供たちを同市内の囲碁教室に通わせたのが、囲碁との出会いだったという。

 

ユドヨノ大統領らと経済はじめ文化交流の推進を確認 

ユドヨノ大統領らと経済はじめ文化交流の推進を確認 
 インドネシアを訪問中の自民党の高村正彦副総裁は8月26日、中央ジャカルタの大統領宮殿でユドヨノ大統領らと会談し、経済だけでなく、文化など様々な分野で協力および交流を深めていくことで一致。とりわけ、経済については「インドネシアが力強い成長を継続していけるよう、日本としても最大限、経済協力や民間投資を通じて、より高度な経済協力をしていきたい」旨伝えた。

流木のバイオリンで演奏 日・イで奏でる復興への願い

流木のバイオリンで演奏 日・イで奏でる復興への願い
 じゃかるた新聞によると、イオン環境財団(岡田卓也理事長)が主催するジャカルタのマングローブ植樹活動の開会式で8月25日、2011年の東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市に残された流木でつくられたバイオリンがインドネシアで初披露された。豪州在住のバイオリニスト石川綾子さんが「アメイジング・グレイス」や「上を向いて歩こう」を演奏し、復興を願う清澄な音色が会場に響き渡った。
 バイオリンは、世界的なバイオリン修復家として知られる中澤宗幸さんが「震災を風化させない」との願いを込め、制作した。裏板には大津波に耐えた”奇跡の一本松”が描かれている。制作されたバイオリンは復興のシンボルとして昨年3月11日に陸前高田市で初演奏されたのを皮切りに、世界のバイオリニスト1000人がリレー演奏するプロジェクト「千の音色をつなぐ絆」として、世界や国内の演奏会で引き継がれる予定。
 なお、北ジャカルタのパンタイ・インダ・カプックの沿岸部で行われた植樹には岡田理事長はじめ、イオンの関連会社、取引先、一般公募から自費で集まった日本人約1100人とインドネシアの非政府組織(NGO)や高校生など400人ら計約1600人が参加した。

岡本太郎氏の初期の新聞連載小説の挿絵54点を初公開

岡本太郎氏の初期の新聞連載小説の挿絵54点を初公開
 画家の故岡本太郎氏が新聞連載小説のために描いた挿絵の原画が岡本太郎記念館(東京・青山)の展覧会で初公開され、注目を集めている。連載小説は、坂口安吾の作品「花妖」。1947年2月から東京新聞に連載。同年5月、挿絵が付いた連載は打ち切られた。公開されているのは、掲載された挿絵58点のうち54点。残りの4点の原画は現在も行方が分からないという。挿絵はペンや筆を使った墨で描かれている。後年の作品での署名は「TARO」だが、挿絵では一文字の「太」としている。

国宝の銅鐸に渦巻き文様を確認 CTスキャンなどで解析

国宝の銅鐸に渦巻き文様を確認 CTスキャンなどで解析
 九州国立博物館(福岡県太宰府市)と神戸市立博物館は8月17日、1964年に神戸市灘区桜ヶ丘町で出土した弥生時代中期の国宝の銅鐸(どうたく)をコンピューターを使って解析したところ、肉眼では不鮮明で確認できなかった渦巻き文様(装飾用の図柄)があることが分かったと発表した。文様が見つかったのは高さ31㌢、重さ2.6㌔の「桜ヶ丘12号銅鐸」。エックス線CTスキャンや3次元計測器で銅鐸を解析したところ、表面に渦巻きのような模様を4つ描いた「四頭渦文(しとうかもん)」があり、その下には弧線を重ねて半円状にした文様が見つかった。

京都・五塚原古墳「ミニ箸墓」でスロープを確認

京都・五塚原古墳「ミニ箸墓」でスロープを確認
 京都府向日市埋蔵文化財センターは8月22日、邪馬台国の女王、卑弥呼の墓説がある箸墓古墳(奈良県桜井市)の3分の1サイズで築造されたとされる京都府向日市の五塚原古墳(3世紀後半、全長約91㍍)の発掘で前方部から後円部へせり上がるスロープが確認されたと発表した。後円部で遺体を埋葬する儀式を行った後、前方部で後継者が王位継承を宣言したとする説があり、スロープは埋葬資材を運んだり、葬列が通ったりするために設けられたとみられる。
 確認されたスロープは幅約1.5㍍、長さは2㍍以上。墳丘は後円部が3段、前方部が1段の構造だが、前方部と後円部の接続部分はスロープになっていた。2012年に実施された箸墓古墳の、レーザー光を使った航空測量でも同様のスロープがあると推定されている。

キトラ古墳 石室見納め 埋め戻し墳丘一部復元へ

キトラ古墳 石室見納め 埋め戻し墳丘一部復元へ
 文化庁は8月16日、「朱雀」などの極彩色壁画を保存のためはぎ取った国特別史跡、キトラ古墳(奈良県明日香村、7世紀末~8世紀初め)について、石室の入り口部分を報道陣に公開した。18日からは初めて一般公開する。石室は今後、埋め戻して墳丘の一部を復元する計画で、事実上これが見納めとなる。石室内には殺菌用の紫外線ライトが置かれ、青紫の光が幻想的な雰囲気を醸し出す。南側の盗掘穴から石室内をのぞくと、高さ約1.2㍍、幅約1㍍の狭さが実感させられる。壁石のあちこちには壁画のはぎ取りの痕跡が残り、作業の苦労がしのばれる。はぎ取った壁画は、古墳近くに2016年度に完成する保存展示施設で展示される予定。