京都・平安期の井戸から「難波津の歌」の木簡

京都・平安期の井戸から「難波津の歌」の木簡

京都市埋蔵文化研究所はこのほど、同市中京区で発掘された平安時代中期(9世紀後半)の井戸から、和歌「難波津の歌」が平仮名で書かれた木簡が出土したと発表した。平仮名では最古級とみられる。
9世紀の中ごろから後半は漢字を当てはめた万葉仮名を基に10世紀前半に平仮名が成立するまでの過渡期にあたり、平仮名の形成過程をたどるうえで貴重な資料という。
木簡は縦34.5㌢、横3.5㌢。文字は縦2行にあり、右側に和歌「難波津に 咲くやこの花 冬こもり 今は春べと 咲くやこの花」がほぼ平仮名に近い形で書かれていた。
難波津の歌は古代から字の練習に使われていた。7世紀ごろ以降とみられる多数の出土品に書かれているが、平仮名でほぼ全文が読み取れる史料は初めてとみられる。