滋賀・稲部遺跡から大規模な鉄器工房群の遺構 巨大勢力

滋賀・稲部遺跡から大規模な鉄器工房群の遺構 巨大勢力

滋賀県彦根市教育委員会は10月17日、市内の稲部遺跡(稲部、彦富両町、推定総面積約20万平方㍍)で、弥生時代末~古墳時代初め(3世紀前半)の鉄器工房群や大規模な建物の遺構が見つかったと発表した。
同時代では他にない規模で、同市教委では「祭祀(さいし)・政治都市と工業都市の両面を持ち、巨大勢力の存在を示す」ほか、邪馬台国の時代からヤマト政権の成立期にかけて、この地域の拠点的な集落だったと推定している。大阪大学の福永伸哉教授も「稲部遺跡は東西日本の結節点にあり、近江勢力の大きさを物語るとともに、日本の国の成り立ちを考えるうえで貴重」としている。
当時、鐵製品の原料は大陸からの調達に頼っており、同時代の邪馬台国について記した中国の史書「魏志倭人伝」で、大陸と交易があったとされる「三十国」のうちの一つともみられるという。
鉄器工房は30棟以上ある竪穴建物群で、各棟は一辺3.5~5.3㍍の方形。うち23棟の床面から鉄片や鉄塊が見つかった。同時に鍛冶や鉄を加工する際に使ったと思われる台石、鉄製矢じり2個なども見つかった。