インド 新型コロナ感染者世界で4番目に 医療崩壊の危機迫る

インドで新型コロナウイルスの感染者が急増、6月14日時点で30万8,916人に上り、30万人を突破した。この結果、米国、ブラジル、ロシアに続き、感染者数は世界で4番目の多さとなった。多いのはムンバイのあるマハラシュトラ州、チェンナイを抱えるタミルナドゥ州、デリー首都圏の3地域で、感染者の6割弱を占めている。当局の発言によると、空きベッド数をはじめ感染者の増え方に医療体制が全く追いつかず、医療崩壊の危機が迫っている。
この感染者急増の要因は外出制限の緩和だ。中央政府が経済低迷の責任を問われる事態を懸念し、経済活動の再開を急ぐあまり状況を見誤り、感染者が増えている部分には目をつむり、これまでの封鎖措置の段階的緩和を進めていることが、感染拡大を加速させたとの指摘がある。こうした背景には、実施された厳格な外出禁止を伴う全土封鎖で、国民の約6割を占めるとされる貧困層が職を失い、生活が困窮していることがある。
ただ、現象面を見る限り、中央政府は経済活動の再開と感染防止対策のバランスを取った規制緩和の判断を、地方政府に”丸投げ”した格好に見える。