高市氏はなぜ過度に維新の意向を優先するのか?
高市首相は衆院定数を巡り、比例代表を削減する法案を今国会中にまとめるよう自民党側に指示したという。党本部で6月4日開かれた選挙制度改革本部総会で鈴木幹事長が明らかにした。しかし同本部は同日、「比例代表45議席削減する案」の了承を見送った。むろん、それが妥当だろう。たとえ、高市氏の指示であろうと。
衆院定数を巡っては、自民党内には異論が根強く、法案成立を警戒する声が渦巻いている。「本来、選挙制度改革と一体で論議すべき」と主張する野党には、比例代表だけを取り上げたこの削減法案には、もっと、もっと厳しい反対論がある。いや、それ以前に「そもそも諸外国と比べて議員数は本当に多いのか?」との根源的な疑問を発する党もあるのだ。
岩屋前外相は会合後、記者団に「自民党は独裁政党ではない。総裁1人で決められる話ではない」 と批判。議員定数の問題で、党内の議論に先立って首相が方針を示した手法に疑問を投げかけた。
そうした状況を顧みず、高市氏はなぜ強引に、連立を組む日本維新の会に歩み寄るのか?維新との連立合意書に盛り込んだ①衆院の定数削減②副首都構想ーーの国会における本格議論が行われていないことへの反省の側面が込められているともいえる。維新の吉村代表が早急な成立を望むとのコメントを繰り返している思いに応える姿勢を示したものだ。
だが、維新が高市氏の首班指名直前の”どさくさ”に紛れて、連立合意書に意図的に盛り込んだこれらの政策は、決して幅広い層の議論や意見をもとに練り上げられたものではないのだ。一部の偏った集団の意見にすぎないと言っておこう。
定数削減は大阪府議会、大阪市議会で実施した、ローカルな事例にすぎない。また、副首都構想は維新が大阪を意識した、大阪のための政策に過ぎない。そもそも首都圏も近畿圏も巨大南海トラフ級の地震が発生したら、両地域とも同程度の被害に見舞われるリスクがあるのだ。大阪を副首都にという発想自体が間違っているのだ。
政権政党のトップだからこそ、連立を組む相手を尊重、重視するなら、本質的な議論を丁寧に時間をかけて議論を重ね、成案を得る粘り強い姿勢で誘導することが重要なのではないか。今のやり方でゴリ押ししては、結果として党内に高市氏および連立相手の維新への不満、批判者を増やすだけだろう。