秋田県で漢方の薬草栽培の動き広がる 米価下落で転作
秋田県内で休耕田を活用した、漢方薬原料の薬用植物を栽培する動きが広がっている。主な原料調達先を中国から国内へと変更したい漢方薬メーカーと、米価下落などの逆風下での生き残りをかける農家側の思惑が一致。農家は生産組合を組織して薬草栽培のノウハウを共有するなど高収益の農業経営を模索する。
秋田県内で栽培している主な薬用植物は芍薬(シャクヤク、仙北市)、トウキ(羽後町)、甘草(カンゾウ、美郷町)、カミツレ、ウイキョウ(八峰町)など。羽後町では2012年12月、35軒の農家が集まり、薬草生産組合を発足。3㌶で婦人病などに効く漢方薬の原料となるトウキを栽培し、14年秋には初収穫を終えた。単位面積当たりの売り上げは稲作の1.5倍以上という。
無農薬栽培のため手間がかかり、農機改造などの初期投資も必要になるなど課題もあるが、14年末に開いた新規加入の農家を募る説明会には約90人が出席。栽培や加工方法、採算性などの説明に聞き入った。生産組合では説明会出席者の半数は組合に入ってくれるのではないかと手応えの良さを感じている。
生産者にとって何よりも心強いのは需要が確実に見込めることだ。国内漢方薬メーカーの主な原料調達先は中国だが、品質や供給の安定に問題があり、さらに円安でコスト高になってきている。同組合はメーカー側から栽培面積を30㌶に増やすよう求められている。仙北市でも14年春に生産組合が発足。2㌶で芍薬などを栽培している。