牛肉輸出量1~10月で最高を更新 4割増の959㌧
今年の日本の牛肉輸出が量、金額ともに過去最高を更新した。1~10月の輸出量は前年同期より4割多い959㌧で、通年で過去最高だった2013年(909㌧)を超えた。金額も同4割増の62億円。高級部位を中心に余剰感が強まっている和牛は販路開拓が課題で海外市場に活路を探る。欧州連合(EU)への輸出解禁も追い風だ。
冷凍エビの産地価格下落 バナメイの中国需要減
冷凍エビの産地価格が下落している。バナメイの主産地ベトナムの取引価格は1㌔10㌦程度(指標サイズ)と直近の高値を付けた9月から約15%下落した。前年同期と比べると3割安い。中国での消費の落ち込みや米国のクリスマス向け需要が一巡したうえ、供給が増えている。
2013年はアジアで病害が広がり、最大輸出国のタイでは生産量が半減した。相場は春から年末にかけ4割上昇した。今年はベトナムやインドネシアで養殖池の拡大などにより生産が前年から数十%増えたとみられる。タイでも病害対策が進み、15年以降は増えるとの見方がある。先安観から買いを控える動きも出ている。
国内の卸値はベトナム産の大口需要家向けが1.8㌔当たり2200円前後で9月から横ばいだ。円安のため産地価格の下落が反映されにくい。1年前と比べてみると2割安いが、年末の需要期を前にしても荷動きは鈍いという。
イセ食品 ブランド卵増産へ 豊田通商と共同出資で新鶏舎
鶏卵最大手のイセ食品(埼玉県鴻巣市)は豊田通商と組み、飼料や栄養素にこだわった「ブランド卵」の生産量を増やす。共同出資で約50億円を投じて、茨城県八千代町に新鶏舎を建て、2015年春には月1800㌧を生産する。豊田通商のカイゼン手法を活かし、包装工程までの一貫生産の効率を高める。新鶏舎建設により、イセ食品の卵の生産量は現状より1割多い月約2万㌧になる。
両社は共同出資会社「エッグドリーム」を設立。新鶏舎は窓をなくして病原菌や野鳥が入らないしくみにしたほか、鶏ふんを利用して肥料をつくる。年内にも運用を始め、主力商品のブランド卵「森のたまご」などを一貫生産する。イセ食品は現在12カ所の鶏舎で約1000万羽を保有。卵の9割を生鮮用のパック卵として全国のスーパーに供給している。
回収CO2で野菜栽培 東芝の装置使い佐賀市で実証事業
ゴミの焼却で発生した二酸化炭素(CO2)を回収し、野菜の栽培に使う実証事業が佐賀市で始まった。佐賀市清掃工場には、2013年秋に東芝がCO2の分離・回収装置を設置した。ゴミの燃焼で発生した排ガスを取り込み、装置に送る。分離方法は化学的吸収法。装置内で排ガス中のCO2をアミン水溶液に吸収させてCO2とそれ以外の物質に分離。水溶液を熱してCO2を回収する。
東芝グループの火力発電所に10㌧のCO2を回収できる装置を導入し、性能を評価済み。佐賀市清掃工場の装置は同10㌔~20㌔の回収能力。排ガスへの有害物質の含有が懸念されたが、回収したCO2の純度は99.9%以上で有害物質が漏れ出す心配はない。
すでに佐賀市にはCO2の利用を希望する企業が名乗りをあげており、地域産業振興の役割も期待できそうだ。CO2を回収して利用する方式はカーボン(炭素)・キャプチャー(回収)・ユーティライゼーション(利用)の頭文字をとって「CCU」と呼ばれる。
冷凍食品2社が15年から値上げ発表 波及必至
日本水産と日清食品冷凍が2015年からの製品値上げを発表した。日本水産は冷凍食品計約350品を15年1月1日出荷分から順次値上げする。枝豆など家庭用農産食品約30品は1月1日出荷分から約3~15%、若鶏のから揚げなど家庭用調理食品約40品は2月1日から約3~10%引き上げる。業務用調理食品約200品、農産食品約80品を3月1日から約4~15%値上げする。日清食品冷凍も「日清スパ王プレミアム」シリーズなど家庭用の冷凍麺類約30品を3月1日から3~10%値上げすると発表した。
円安の進行、世界的な食糧需要拡大による原材料価格急騰、包装資材や物流費アップなどが値上げの理由。業界では味の素冷凍食品やテーブルマーク、ニチレイフーズもほぼ同時期の値上げを実施する考えで、2015年春は食品の値上げラッシュが続く見通しとなった。