全国各地の地域金融機関が設けた農林水産省の6次産業化を支援するファンドが始動、第一号の出資先が相次ぎ決定している。1次産業は各行が揃って期待を寄せる成長分野。出資を通じて潜在的な資金需要の掘り起こしにつなげようとしている。
愛媛銀行が農林漁業成長産業化支援機構と共同で設立したファンドが最初の出資先に決めたのは、愛媛県のブランド地鶏「媛っ子地鶏」を加工する「いなほ農園」(愛媛県八幡浜市)。1500万円を出資する。同社は加工食品の直売と飲食を兼ねた店舗開設などに充てる。
八十二銀行などが設立した「信州アグリイノベーションファンド」が第1号案件に決めたのは、ワイナリーを運営するヴィラデストワイナリー(長野県東御市)の子会社、日本ワイン農業研究所(同)。同研究所は2億8000万円を投じて醸造所を建設、県内農家が育てたブドウを使いワインを製造する。7月に着工、年内の完成を目指す。
中国銀行などが設立した「ちゅうぎんアグリサポートファンド」は野菜の加工販売会社、ベジタコーポレーション(広島県福山市)に1億円出資する。カット野菜工場の建設に充てる。総事業費は14億円。同行は事業費も融資する。工場は12月にも操業開始する。