月別アーカイブ: 2014年6月

ワタミ、農業法人通じ農地取得 直営農場20年に2倍に

ワタミ、農業法人通じ農地取得 直営農場20年に2倍に

 ワタミは出資する農業生産法人通じて農地の取得を始め、今後は優良な農地確保に取り組み、直営農場を2020年までに2倍に広げる計画だ。まず6月26日に千葉県富里市の農家から買い取る。同社はこれまで有機野菜を育てる農場を全国10カ所で合わせて215㌶運営してきたが、いずれも農地を借りていた。

 第1号となる農地は富里市の0.5㌶。ワタミが25%出資する農業生産法人ワタミファーム(千葉県山武市)を通じて数百万円で購入する。有機栽培でレタスやニンジン、ダイコンを生産、居酒屋などで使う予定だ。

近畿の生産年齢人口11万人減 働き手確保へ自治体動く

近畿の生産年齢人口11万人減 働き手確保へ自治体動く

 総務省が6月25日発表した住民基本台帳に基づく人口調査(1月1日時点)で、近畿2府4県の人口総計は2095万人と、前年に比べ0.21%減少した。うち生産年齢人口(15~64歳)は2013年3月末時点と比べ0.91%(11万8000人)減の1300万人と、首都圏(0.44%減)や中部圏(0.74%減)などに比べ減少率が上回った。先行きについても国立社会保障・人口問題研究所の推計人口で、近畿の生産人口は2040年に941万人にまで減少する見通しだ。

 減少する生産人口から働き手を確保するため、結婚や出産などで離職した女性の再就職支援・促進に力を入れる自治体が広がっている。

 大阪府は4月下旬、母親の再就職を支援する窓口「働くママコーナー」を大阪市中央区の「エル・おおさか(大阪府立労働センター)」開設した。仕事紹介に加え、子育て中でも働きやすいように府内約1600カ所の保育所の空き情報も併せて提供する。認可外の保育所の情報も府が独自に調べるなどきめ細かく対応する。

 

発想・求心力決め手 サントリー社長に新浪剛史氏

発想・求心力決め手 サントリー社長に新浪剛史氏

  サントリーホールディングス(HD)の社長に10月1日付でローソン会長の新浪剛史氏(55)が就任する。相次ぐM&A(合併・買収)で企業規模が拡大し、創業家の佐治信忠会長兼社長(68)一人で引っ張る経営には限界が見え始めた中で、新浪氏に白羽の矢を立てた。佐治氏と新浪氏は慶応大学卒の先輩と後輩。決め手となったのは、新浪氏がローソン社長就任直後から10年を超える親交を通じて見極めた経営者としての求心力だった。

大阪大が国立大初のベンチャーキャピタル設立

大阪大が国立大初のベンチャーキャピタル設立

 大阪大は7月をメドに、大学初のベンチャー企業に投資する全額出資のベンチャーキャピタル(VC)を設立する。研究成果の活用が狙い。国立大学のVC設立は、産業競争力強化法の施行により、4月に解禁された。現在、政府と最終調整を進めており、設立が認定されれば国内初のケースとなる。

 阪大は6月25日、文部科学省と経済産業省にVCの設立を申請する見通し。両省がそれぞれ事業計画を審議し、7月中にも認定される公算が大きい。

 VCは、国から受け取っている166億円の出資金の一部を活用し、民間の金融機関からも出資を募る。当初設定するファンドは、最大で100億円規模を見込んでおり、現段階では事業期間は15年間を想定する。

 政府は国立大学の研究成果の事業化を成長戦略の一つとして後押ししており、他の有力国立大学も追随しそうだ。

関西の主要ホテル、東南アジアからの集客強化

関西の主要ホテル、東南アジアからの集客強化

 関西の主要ホテルが東南アジアからの集客に力を入れている。政府は2013年7月にタイ、マレーシア向けのビザ免除に続き、インドネシア向けの免除が決まり、フィリピン、ベトナム向けも取得手続きを大幅に緩和することを決めている。こうした追い風を受け、各ホテルは現地の旅行会社との関係を強化したり、イスラム教徒に配慮した「ハラル認証」取得の食材によるメニューづくりで観光客誘致にしのぎを削っている。

 リーガロイヤルホテルを運営するロイヤルホテルは、フィリピンとインドの旅行会社に日本への観光ツアーの組成を呼びかけるため、両国に担当者を初めて派遣する。当面、全宿泊客数に占める東南アジア客の比率を現在の2%から10%に引き上げる。

 帝国ホテル大阪は、インドネシアに営業範囲を広げ、東南アジアからの宿泊客数を2年以内に2倍以上に増やす。阪急阪神ホテルズ、2014年早々にアジア方面の営業担当者を増員、誘客活動に動いている。

 大阪市内の主要14ホテルの5月の稼働率は、前年同月比1.6%高の85.6%だった。20カ月連続の改善で、5月としては比較できる2008年以降で最高水準だ。東南アジアからの宿泊客増が押し上げ役となっている。

 

農政改革を正式決定 安倍首相、実現に強い意欲

農政改革を正式決定 安倍首相、実現に強い意欲

 政府は6月24日「農林水産業・地域の活力創造本部」を開き、農協改革を柱とした農政改革を正式に決めた。JAグループの代表機能を担う全国農業協同組合中央会(JA全中)を中心とした今の中央会制度をなくし、権限を縮小した新制度に移る。

 安倍首相は「単なる看板の掛け替えに終わることは決してない」と強調し、実現に強い意欲を示した。また、林芳正農林水産相は「安倍政権の急ぎ着手すべき農政改革のグランドデザインがひとまず完成した」と述べるたうえで、焦点となったJA全中の扱いに関し「現行の中央会制度は存続しないことになる」と改めて説明、今後、農協法での位置付けの是非も含めて検討する考えを示した。

食品大手 賞味期限30日以上の冷蔵食品開発に力点

食品大手賞味期限30日以上の冷蔵食品開発に力点

 食品大手が賞味期限を30~50日近くに延ばしたチルド(冷蔵)食品の開発に力を入れる。働く女性やシニアの需要拡大を取り込もうというもの。

    マルハ二チロは仏大手のフローリ・ミションと技術提携して2015年春から本格販売する。フローリ社の微生物の管理技術と、マルハ二チロが缶詰で培った長期保存の技術を生かし商品展開する。フジッコは今秋から賞味期限が47日間ある冷蔵食品「ベスタデリ」を増産し、売上高を約3倍に引き上げる。スウェーデンのミックバック社が開発した独自の調理・殺菌技術を採用した。明治も9月に立ち上げる新ブランド「デイリーリッチ」でカレーやパスタなど12品目を発売する。乳製品やレトルトの加工技術を応用し、野菜の食感を保ちつつ賞味期限を6カ月にした。

    民間調査会社の試算では、ハンバーグなど主要6品目だけでチルド食品の市場規模は、2011年時点で前年比1.3%増の約1400億円だ。 

全農が英で和牛をアピール シェフら招き試食会

全農が英で和牛をアピールシェフら招き試食会

    全国農業協同組合連合会(JA全農)は6月23日、ロンドンで現地の高級レストランの料理人などを招いて日本産の牛肉の試食会を開いた。欧州連合(EU)域内への日本産の牛肉の輸出が6月から開始。日本国内で和牛の消費が頭打ちとなる中で、5億人の巨大市場の開拓を狙う。

 試食会には料理人や食肉卸、ジャーナリストらが参加。最高級和牛のたたきやにぎり、ステーキなどを味わった。

東亜食品工業 ハラル認証の高級乾麺でイスラム圏輸出拡大

東亜食品工業 ハラル認証の高級乾麺でイスラム圏輸出拡大
 東亜食品工業(兵庫県姫路市)はイスラム教の戒律に従った「ハラル認証」を取得したうどんやそばの乾麺の品揃えを増やし、イスラム圏への乾麺の輸出拡大を目指す。4月に認証を得た11品目の乾麺に加え、6月末にも高級品4品目が加わる見通し。乾麺で同認証を得たのは同社が国内初。
    新たに認証を得るのは「古式饂飩(うどん)」「山芋つなぎ出石そば」「日本そば(国産)」「国産小麦うどん 玄の麦」の4品目。いずれも国産原料が主体の高級品で、認証団体の日本アジアハラール協会(千葉市)がすでに審査をした。6月末にも正式認証を得る見通しだ。同社は5月に認証マークを付けたそばとそうめん1万3000食分をシンガポールに初めて輸出している。

先端医療事業などで先行する関西圏の国家戦略特区

先端医療事業などで先行する関西圏の国家戦略特区

 政府が6月23日、大阪市内で開いた関西圏の国家戦略特区の区域会議で、地元自治体や企業などから医療関連の規制緩和や事業の提案が相次いだ。再生医療をはじめ先端医療を他の地域に先んじて実施することを狙う。外国企業や外国人誘致、まちづくりなどにも取り組み、特区の対象である大阪、京都、兵庫を中心に関西経済の活性化を目指す。

 関西では23事業者が34件を提案した。同日の会議では事業計画の素案を公表した。このうち、医療分野の4件とエリアマネジメントの1件を具体的な事業として今秋にも実現を目指す。医療では保険診療と保険外診療を併用する混合診療に関して3件を示した。