東洋ライス「金芽米」14年は3倍増の7万トン前後に
東洋ライス(東京都中央区)が開発した「金芽米」が、健康ブームと食べやすさで支持を広げ、前年の消費量に対し、2014年の生産量は3倍近い7万トン前後への伸びが見込まれている。金芽米はコメを最新の精米技術で胚芽の基底部にあたる金芽と、コメのうまみ層である亜糊粉層を残した無洗米だ。
金芽米の需要急増の背景にあるのが、計測器メーカーのタニタと組んだ「タニタ食堂の金芽米」で、これが全国販売されたことや、この間、多くのマスコミに取り上げられたことが大きかった。
これに加え、香川大学医学部の稲川裕之准教授らが、金芽米には体の自然治癒力を高める成分である「LSP(糖脂質)」が多く含まれていることを学会発表したことも生産・消費量増加に拍車をかけている。稲川氏らは、LSPの含有量は普通精米のコメに比べ約6倍になることを突き止めた。しかも、東洋ライスによると、カロリーが普通のご飯に比べ約1割オフ。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維が多いという。
こうした物性・性能が評価され、通常の無洗米とは全く異なった値動きとなっている。通常の無洗米は、最近は値崩れが進み5㌔当たり2000円割れの商品がザラだが、金芽米に加工することで、4.5㌔で2400円と付加価値がきちんと認識された価格水準となっている。このため、金芽米加工への協業案件が現在50件ぐらい寄せられているという。