マグロの完全養殖 極洋が17年から年200㌧規模で開始

マグロの完全養殖 極洋が17年から年200㌧規模で開始

水産大手の極洋と日本配合飼料は2017年から、卵から人工で育てる完全養殖クロマグロの出荷を年間200㌧規模で始める。マグロの漁獲規制が強化される中、近畿大学が先行する完全養殖を国内最大級の規模で事業化する。天然資源に影響を与えないマグロが増えれば、スーパーや飲食店向けの安定供給に一定の役割を果たすとみられる。

極洋と日本配合飼料が2012年に共同出資して設立した極洋日配マリン(愛媛県愛南町)が、14年8月から9月にかけて陸上の生け簀(す)で育てていた第2世代の稚魚1万4000匹を、宇和海上の生け簀に移すことに成功した。完全養殖事業だけに、天然の魚から採卵して人工授精で生まれた第1世代を育て、成長した第1世代同士を掛け合わせて、第2世代、第3世代を育てながら成長した魚を出荷する。

事業化に向けて1億円を投じて、宇和海上の生け簀を10基から14基に増やして、年約3万匹の稚魚を育てられる体制にする。成長したクロマグロは極洋の加工施設でさばいたものを、取引のある大手回転すしなど飲食店や小売店に直接販売する。