養殖トラフグの消費拡大に向け知恵絞る産地関係者
養殖トラフグの出荷の伸び悩みによる卸値の低迷が続いているが、こうした状況を打開するため、山口県下関市などの生産地の関係者は、消費拡大に向け知恵を絞り出した。一つは本格的な輸出への取り組みであり、いま一つは需要期にとらわれない年間平準化への試みだ。
養殖トラフグの輸出はこれまでは米国向けの年間1㌧程度だったが、日本の水産物への関心が高まっている東南アジアで市場開拓することにした。10月から下関の仲卸がシンガポールへの本格的な輸出を始めた。また、マレーシアにも11月から輸出を始めている。下関にも多くの外国人観光客が訪れるようになり、こうした人たちへの需要も出てきている。
トラフグは出荷量の4分の1が12月に集中しているように、冬場に突出している。これを年間に平準化しようと、産地では夏場の売り込みにも力を入れているという。関西では、フグは年中食べられている。ただ、他はそうではない。そこで、フグをメインにする東京の外食店への売り込みに懸命だ。こうした努力もあって、東京の外食店「とらふぐ亭」を運営する東京一番フーズ(東京都新宿区)は5~11月に限定のふぐの食事プランを用意し、7~8月の売り上げが伸びているという。