クロマグロ”産みの親”はサバ 東京海洋大学が新養殖技術

クロマグロ”産みの親”はサバ 東京海洋大学が新養殖技術

サバにマグロの稚魚を産ませる養殖技術にいま、大きな期待が集まっている。東京海洋大学の吉崎悟朗教授らが、クロマグロの卵と精子になる生殖細胞をサバに移植する実験に成功し、今夏にも産卵する見通しとなった。クロマグロは成魚になるまで5年かかり、親となる魚の維持・管理には100㌔㌘の巨体を支える巨大ないけすが必要となる。一方、サバの成魚は体重300㌘程度で小型の水槽で飼える。1年で産卵できる。スペースや水槽を管理する労力、維持にかかるコストの大幅な削減が見込める。

実現の要となるのが卵や精子になるおおもとの「精原細胞」だ。オスの精子をつくる生殖細胞だが、メスの腹に移植すると卵をつくることを発見した。採取したマグロの生殖細胞をサバの腹に注射すると、精子や卵をつくる生殖腺が出す物質に引き寄せられて、サバの生殖腺の中に入っていった。そのままサバの体で成長すれば、マグロの精子や卵ができる。

ただ、サバが自分の精子と卵をつくると、マグロのものと混ざってしまう。そこで温度を変えて染色体の数を増やす手法などで、生殖機能をなくす不妊化技術をサバに施し、移植したマグロの生殖細胞だけが生き残るようにした。こうした技術が実り、サバをマグロの代理親に使うところまで研究が発展した。