野菜・エビなど生鮮品の栽培システム工場の輸出活発化
植物・野菜工場や、水産物の陸上養殖システムを輸出する動きが活発化している。地理的な立地条件や気候・土壌に左右されることなく、安定した量と質で出荷できるのが最大の売り物で、世界的にも日本の技術が先行している。安全・安心な日本の農産物や水産物の品質が海外で評価される中、国内で蓄積したノウハウを生かしビジネスチャンスの拡大を狙う。
空調設備大手の大気社(東京都新宿区)は、野菜の栽培システム「大気グリーンファーム」を輸出する。東南アジアの現地企業からレタスを生産する工場を受注し、2015年をメドに建設する。プラントの販売価格は一式で平均5億円。完全無農薬で、露地野菜に比べ生菌数が非常に少なく栄養価の高いレタスの収穫が可能だという。
陸上養殖のシステム開発を手掛けるIMTエンジニアリング(東京都新宿区)は、海のないモンゴルで屋内型のエビ生産システムの施設設計を受注した。5月に首都ウランバートルで着工した。年間8㌧のバナメイエビを生産し、将来的に年間100㌧生産できる体制を整えるという。受注額は技術指導料込みで5000万円。モンゴルのエビの養殖事業は同社が初めて。
農業ベンチャー(VB)のみらい(東京都千代田区)も14年中、ロシアへの植物工場の販売を計画する。中東への販売も視野に入れる。モンゴルの2カ所にレタスの工場を建設、年内に稼働させる。
三菱ケミカルホールディングス(HD)は、中国の農協組織と中国全土で植物工場のシステムを販売する。5月下旬に無農薬野菜を自動栽培するシステムの販売会社を合弁で設立。17年までに江蘇省など15省で50工場を展開する計画だ。
シンガポールや韓国も植物工場の研究を進めているが、日本のように本格的な量産はできていない。