クジラ・サメ“食”文化の伝統を残す取り組み活発化
東日本大震災で被災した東北地方で、「鯨(クジラ)シューマイ」「ふかひれ丼」など、クジラやサメを使う食産業を残す取り組みが活発になっている。クジラは周知の通り、国際司法裁判所が日本の南極海での調査捕鯨を停止するよう命じ、サメも乱獲懸念からフカヒレを使わない事業者が増加する事態となっている。だが、宮城県石巻市、気仙沼市、青森県八戸市など漁業や加工の事業者が独自文化の灯を消すまいと奔走している。
木の屋石巻水産(宮城県石巻市)は復旧した新工場で、鯨肉を入れたシューマイなど新商品の生産を計画する。主力商品は鯨肉の缶詰。商業捕鯨時代は大手水産加工会社の工場が集積していた石巻。その工場はいま激減し、そのころの面影はないが、様々なクジラ文化が残っている。国産だけでなく、輸入肉も使い価格を抑え、食文化を受け継ぐ。
「くじら汁」を食べる文化が残る青森県八戸市では、NPO法人「海の八戸NPO」は秋冬のくじら汁のシーズンに向け飲食店に掲げてもらう旗をつくる。観光客に通常メニューでくじら汁を提供する店が少ないため、旗をつくることで提供する店を増やすのが狙いだ
宮城県気仙沼市では、市内のすし店で「ふかひれ丼」の提供を本格的に始めた。すし店の組合が企画し、市内の加工業者が支援する。サメ肉団子を入れたお吸い物を付けるなどフカヒレ以外の部位を使う料理も提案する。