農水相がJA全中の「地域農協監査権の廃止」明言
西川公也農水相は1月6日の記者会見で全国農業協同組合中央会(JA全中)の地域農協に対する農協法上の監査権を廃止する考えを明らかにした。農水相が中央会の監査権廃止を明言したのは初めて。西川氏は農協改革の議論について、JA全中は強制力のある監査権は持たない、新たな法人形態に移行させるということで詰めていく–と説明した。
秋田県で漢方の薬草栽培の動き広がる 米価下落で転作
秋田県内で休耕田を活用した、漢方薬原料の薬用植物を栽培する動きが広がっている。主な原料調達先を中国から国内へと変更したい漢方薬メーカーと、米価下落などの逆風下での生き残りをかける農家側の思惑が一致。農家は生産組合を組織して薬草栽培のノウハウを共有するなど高収益の農業経営を模索する。
秋田県内で栽培している主な薬用植物は芍薬(シャクヤク、仙北市)、トウキ(羽後町)、甘草(カンゾウ、美郷町)、カミツレ、ウイキョウ(八峰町)など。羽後町では2012年12月、35軒の農家が集まり、薬草生産組合を発足。3㌶で婦人病などに効く漢方薬の原料となるトウキを栽培し、14年秋には初収穫を終えた。単位面積当たりの売り上げは稲作の1.5倍以上という。
無農薬栽培のため手間がかかり、農機改造などの初期投資も必要になるなど課題もあるが、14年末に開いた新規加入の農家を募る説明会には約90人が出席。栽培や加工方法、採算性などの説明に聞き入った。生産組合では説明会出席者の半数は組合に入ってくれるのではないかと手応えの良さを感じている。
生産者にとって何よりも心強いのは需要が確実に見込めることだ。国内漢方薬メーカーの主な原料調達先は中国だが、品質や供給の安定に問題があり、さらに円安でコスト高になってきている。同組合はメーカー側から栽培面積を30㌶に増やすよう求められている。仙北市でも14年春に生産組合が発足。2㌶で芍薬などを栽培している。
「リニア大阪延伸」国費で経済効果など調査 来年度予算に初計上
政府は1月3日、JR東海が2027年の東京(品川)~名古屋間の開業を目指して2014年に着工したリニア中央新幹線について、大阪まで延伸開業した場合の経済効果などを調べる費用を来年度予算案に計上する方針を固めた。大阪延伸の関連費用を国が計上するのは初めて。政府与党内にはリニアの前倒し開業を促すため、JR東海が自己負担する建設費を財政支援する案も浮上しており、大阪延伸関連の国費投入は波紋を呼びそうだ。
来年度予算案に盛り込んだのは、リニアを含む高速交通ネットワーク形成の影響をつかむための調査費で、数千万円を計上する見込み。東京~名古屋間と、大阪まで延伸した場合の経済効果を調べるほか、リニア全線開業に伴う首都圏・中部圏・近畿圏の一体化が既存の新幹線網などを通じて全国に波及する効果も検討する。
ベトナムで北海道飲食店モール「北海道ヴィレッジ」開業
北海道内企業によるベトナム・ホーチミン市での飲食店モール「北海道ヴィレッジ」構想が明らかになった。これを推進するのが2014年11月下旬、東南アジアで北海道発のビジネスを支援する会社として設立された「クール北海道」で、ベトナム現地法人を立ち上げ、10月にもホーチミン市中心部に2棟のビル(計延べ1500平方㍍)を賃借し、道内発の食文化を発信する飲食店モール「北海道ヴィレッジ」を開業する。
ホーチミン市内の日本食レストランなどにも道産食材を売り込み、道内とベトナムの交易を活発にする考えだ。北海道ヴィレッジでは、いずれも札幌市に本店のあるすし店、ステーキ店、高級焼き鳥店の視点をオープンする。また、16年4月までにラーメン店などが集まった「北海道屋台村」や、道内発の料理教室、美容室なども開業予定で幅広く北海道をPRしていく。北海道新聞電子版が報じた。
14年生まれの太平洋クロマグロ最少 乱獲深刻化
水産総合研究センターの調査によると、2014年に生まれた太平洋クロマグロの資源量は00年以降、最低となる見通しであることが明らかになった。乱獲が深刻化していることを示すデータだ。南西諸島周辺で生まれたクロマグロが取れる西日本太平洋沿岸などでの14年7~9月の漁獲量を基にした解析結果によると、14年生まれの漁獲量は13年に比べて20%、12年の33%と低水準で、08~12年の平均値の10分の1近くまで落ち込んだ。こうしたことから、南西諸島周辺で生まれたクロマグロは13年を大幅に下回ったと推定した。
島根県・隠岐諸島周辺での1日・1隻当たりの漁獲量も13年の23%と極めて低調で、このデータを基に推定した日本海で14年に生まれたクロマグロの資源量も、13年を下回ることが確実となった。これらのデータを総合すると、同センターは14年生まれのクロマグロは00年以降で最も少なかった12年を下回る可能性が高いと結論付けた。