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政府が生乳の販路開拓後押し 直接販売でも補助金

 政府は牛乳やバターなど乳製品の原料になる生乳を、酪農家がこれまでより自由に販売できるよう検討を始める。生産者団体を通さずに乳業メーカーなどに直接販売しても補助金を支給する仕組みに変える。環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結をにらみ、酪農家の経営自由度を高める。政府の産業競争力会議・農業分科会が農林水産省などと調整。6月の成長戦略に盛り込みたい考えだ。

「和食を世界に!」官民で協議会 競争力会議が提言

 政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は、ユネスコの無形文化遺産に登録された和食を世界に広げるため、官民による協議会をつくることを提言する。9月までに検討会を立ち上げる。
 海外での認知度を高めるため、食に関係する専門学校や企業が連携して接客技術を高めるノウハウを蓄積し、日本の食材を紹介する人材の育成などを進めたい考えだ。

ひびきとJA全農が6次化ファンド活用し合弁会社

 飲食店事業を展開するひびき(埼玉県川越市)は5月12日、全国農業協同組合連合会(JA全農)と4月23日に合弁会社「株式会社J-ACEひびき」を設立」したと発表した。新会社ではひびきの強みである飲食店舗経営ノウハウおよび生産流通履歴システムと、全農グループの強みである全国各地の産直原料を安定的に供給できる体制とを活用して、国産豚・国産鶏を使った外食店舗の多店舗展開を図っていく。
 新会社は「六次産業化・地産地消法」の認定と、株式会社農林漁業成長産業化支援機構とJAグループなどが出資するJA・6次化ファンド(農林水産業投資事業有限責任組合)からの出資同意を受けた6次産業化事業体となる予定。
 新会社の所在地はひびきの本拠、埼玉県川越市。資本金は3億円(ファンド増資後)。

経団連とJAが農産物輸出で連携強化プラン

 経団連とJAグループは5月13日、国内農業の強化を目的にした「連携強化プラン」を共同でまとめた。農産物の海外への輸出をこれまで以上に促進していくため、輸出相手国の検疫の基準などを総点検し、政府に基準緩和を求めて交渉するよう提言する。生産性向上に向けては、企業とJAの双方が出資する農業生産法人の設立を広げていくことなどを盛り込んだ。
 経団連の米倉弘昌会長と、全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長が同日会談し、正式に取りまとめた。

農協の金融業務を農中に移管 農産物販売に集中へ

 政府はJAバンクとして全国の農協が手掛ける貯金や融資などの金融業務を農林中央金庫と信用農業協同組合連合会に移す検討に入った。各農協が農産物の販売に集中できるようにし、農業の競争力向上を図るのが狙い。企業による農業経営への参入緩和と合わせ、農政改革の柱とする。

地域の農協に自立促し全中の指導廃止 規制改革会議

 政府の規制改革会議の作業部会は5月14日、農業の改革案をまとめた。700ある地域農協を束ねる全国農業協同組合中央会(JA全中)が経営指導する体制をやめ、農協が自立して特色ある農作物栽培ができるよう促す。農作物の販売を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)は株式会社にし、流通の効率化を求める。企業参入も後押しして国際競争力を高めたい考えだ。

農業生産法人解禁は生産5年継続が条件 自民内で浮上

 企業が原則25%まで出資できる農業生産法人について、5年間、農産物を作り続ける条件を満たせば、出資制限をなくし農地の所有を認める案が自民党内で浮上している。農業に企業の活力を呼び込むのが狙い。企業が撤退する場合は農地を国が没収する規定も設ける。ただ、農林水産省は農地の貸し借りで大規模化を進めたい考えで、実現に向けた調整が課題になりそうだ。
 政府の規制改革会議ワーキンググループは5月14日、農業生産法人への企業の出資制限を現行の「総議決権の25%以下」から「50%未満」に緩める案を示した。さらに一定期間の生産継続などの条件を満たせば50%以上の出資も認め、事実上、企業が農地を持てるようにすべきだとしている。  

菓子・味噌用コメ下落 1年前の3分の1に

 米菓や味噌など加工用の原料になるコメが一段と値下がりしている。粒が小さく主食用に向かない「特定米穀」取引価格は現在1㌔当たり55円前後(無選別品)。高騰した1年前の3分の1程度になった。輸入米などに原料を切り替える動きが出て、需要が減少したことが響いた。
 2013年産の特定米穀は13年秋に1㌔当たり90円程度で取引が始まった。170円程度だった12年産の高値を受け、農林水産省が13年春に備蓄米を加工原料用に販売。主食用米の値下がりで、外食店などが特定米穀を代替使用する動きも一服した。
 一段と下落したのは「価格高騰時に輸入米に切り替えた需要家が戻らない」影響が大きいという。加工用に使うコメはほかにも、政府が輸入するミニマムアクセス(MA)米や、生産調整(減反)のために作る加工米がある。

アフリカ全土で「稼げる農業」普及へ 担い手5万人育成

日本政府はアフリカ全土で「稼げる農業」の普及に乗り出す。2014年度から研修や専門家派遣を始め、市場を意識して作付けできる小規模農家を2017年度までに5万人規模で育てる。従来型の食糧援助ではなく、経済活動として農業を育てて、食糧問題の解決や消費者市場の創出につなげたい考えだ。
政府はまず14年度から国際協力機構(JICA)の関西国際センター(神戸市)で、各国の農業省庁や地方政府の行政官を対象にした研修事業を始める。第1弾として5月中にエチオピアやルワンダなど。11月にはカメルーンやモザンビークなど合わせて18カ国向けに実施。生産現場から小売りまで、日本の農産品流通の現場をみてもらう。
その後、研修を受けた行政官らを軸に各国が農村での普及計画を立案する。一方で日本は15年度から研修や専門家のアフリカ各国への派遣を進め、技術指導者を計1000人規模で育成。育てた指導者が、市場動向をみて栽培する作物や作付けの時期を決める方法を農民に伝える。日本が従来取り組んできた稲作技術の普及、灌漑施設の整備も必要に応じて支援する。
アフリカでは人口の過半数が農村に住むが、小規模の農家が多く、農業機械や家畜の利用も遅れている。そのため生産性が低く、穀物を輸入に大きく頼る状況だ。そんなアフリカの人口は50年に約20億人に倍増する見込みで、国際的な穀物市場に大きな影響を与えかねない。国連などでも議題になっている。 

三菱ケミカルが中国農協系企業と15省50カ所で植物工場

三菱ケミカルホールディングスは中国の農協組織と中国全土で野菜栽培システム「植物工場」の販売に乗り出す。同社傘下の三菱樹脂アグリドリーム(東京都中央区)が、江蘇省政府が直轄する「江蘇省チャイナコープ」の子会社と合弁で、5月下旬に無農薬野菜を自動栽培するシステムの販売会社を設立して営業を始める。
すでに河北省や山東省、四川省、広東省などから打診があり、2017年までに沿岸部、内陸部合わせて約15省の50カ所で植物工場の販売を見込む。中国で日本企業が商業ベースで植物工場事業を大規模展開するのは初めて。
 これまで三菱樹脂アグリドリームと江蘇省チャイナコープは無錫市で植物工場の実証実験をし、無農薬野菜を育てて高級スーパーやデパートで試験販売。市価の5倍の価格でも売り切れるなど好評だった。消費者の安全な農作物への関心が予想以上に高いと判断し事業化に踏み切った。
 農業法人をまとめるチャイナコープは中国各地にあり、中でも江蘇省の組織は売上高約5兆円と巨大で影響力を持つ。各省のチャイナコープ網を活用し中国全土の農業法人に販売する。当面メドとする15省で50カ所の植物工場の合計の野菜生産能力は年間約5000㌧。中国の無農薬野菜など高級野菜市場の1割弱に相当する。
 三菱ケミカルの植物工場はコンテナ式装置で苗を育て、ビニールハウスに苗を移して太陽光と養液で水耕栽培する。コンピューター管理が特徴で、温度や湿度、空気の流れを計画し、水や養液、肥料を流して自動栽培する。害虫が入らない高機能フィルムを使うことで野菜を無農薬で育てられる。ホウレンソウだと露地栽培の約5倍の年20回収穫できる。
 工場システム一式で3000平方㍍当たり販売価格は約1億円。農業フィルムなど工場建設に必要な部材を現地調達して、日本国内より数割コストを抑える。