アフリカ全土で「稼げる農業」普及へ 担い手5万人育成

日本政府はアフリカ全土で「稼げる農業」の普及に乗り出す。2014年度から研修や専門家派遣を始め、市場を意識して作付けできる小規模農家を2017年度までに5万人規模で育てる。従来型の食糧援助ではなく、経済活動として農業を育てて、食糧問題の解決や消費者市場の創出につなげたい考えだ。
政府はまず14年度から国際協力機構(JICA)の関西国際センター(神戸市)で、各国の農業省庁や地方政府の行政官を対象にした研修事業を始める。第1弾として5月中にエチオピアやルワンダなど。11月にはカメルーンやモザンビークなど合わせて18カ国向けに実施。生産現場から小売りまで、日本の農産品流通の現場をみてもらう。
その後、研修を受けた行政官らを軸に各国が農村での普及計画を立案する。一方で日本は15年度から研修や専門家のアフリカ各国への派遣を進め、技術指導者を計1000人規模で育成。育てた指導者が、市場動向をみて栽培する作物や作付けの時期を決める方法を農民に伝える。日本が従来取り組んできた稲作技術の普及、灌漑施設の整備も必要に応じて支援する。
アフリカでは人口の過半数が農村に住むが、小規模の農家が多く、農業機械や家畜の利用も遅れている。そのため生産性が低く、穀物を輸入に大きく頼る状況だ。そんなアフリカの人口は50年に約20億人に倍増する見込みで、国際的な穀物市場に大きな影響を与えかねない。国連などでも議題になっている。