「産地の動向」カテゴリーアーカイブ

7/23 京都府など農業ビジネス交流組織設立

7/23 京都府など農業ビジネス交流組織設立

 京都府や府農業総合支援センターなどは7月23日、農業ビジネスの振興に向けた交流組織を立ち上げる。府内の農業法人や加工業者などが参加し、食品開発や販路開拓など「6次産業化」を促進するのが狙い。府内各地にコーディネーターを配置し、相談機能も充実する。農家の経営拡大や事業提携を促し、収益向上を後押しする。

 交流組織は「きょうと農業ビジネスプラットフォーム」と名付け、農業法人や加工業者の連携を促す専門の担当者を配置する。同組織には地元金融機関も加わるため、加工設備の導入など資金調達が必要な場合も迅速に対応できるようになる。

豊田通商 近大と提携し長崎でマグロ完全養殖

豊田通商  近大と提携し長崎でマグロ完全養殖

 豊田通商は7月16日、卵から人工的にふ化させたマグロをヨコワと呼ばれる全長30㌢㍍まで育てる「完全養殖」を始めると発表した。マグロ養殖で実績のある近畿大学と提携し、豊田通商が長崎県の五島列島に設けた養殖場で本格的な育成に乗り出す。2020年3月期に年間30万匹の稚魚を生み出すことを目指す。

 豊田通商は10年からマグロの養殖事業に取り組んでいた。現時点では5㌢㍍大の稚魚を外部から輸入してヨコワに育てて売るだけにとどまっている。養殖の幅を卵の段階まで広げることで、仕入れコストなどの事業のムダを減らす。稚魚が30万匹あれば、年間10万匹の出荷用マグロを確保できる計算だ。

 

 

兵庫県が4㌶超の農地の転用許可など権限委譲求める

兵庫県が4㌶超の農地の転用許可など権限委譲求める

 兵庫県は国からの権限委譲について74項目を内閣府に提案する。地方分権改革に伴い規制緩和や権限委譲の具体案を政府が7月15日まで募る「提案募集方式」に対応、ハローワークの運営や、現在は大臣許可が必要な4㌶を超える農地転用を移すことなどを求める。総合的な施策や地域の実情に応じた取り組みが可能となるほか、事務を簡素化・効率化でき、現段階で県が対応できる項目を幅広く選んだ。

農産物直売所の機能を充実 京都府が助成制度

農産物直売所の機能を充実 京都府が助成制度

 京都府は府内の農産物直売所の機能を充実するための助成制度を新設し、今秋にも助成対象の直売所の募集を始める。飲食スペースや調理体験施設を導入する際、経費の半額を補助する。直売所の魅力を高めて集客力を増し、京野菜を中心とした地域産品のブランド力向上に生かす。

 訪れた客が野菜などを使った料理を飲食できる机や椅子、手洗い場を設けたり、調理体験用のコンロや包丁などを導入したりするのに必要な経費を上限200万円で助成する。POS(販売時点情報管理)導入や、近隣の農地での収穫体験イベントに必要な農具などの購入費用も対象。今年度は5件程度を助成対象とする。

 府内には2012年度時点で直売所が460あるが、5年間で4%減少。ただ、新鮮で味が良い野菜を求める顧客は増えており、12年度の販売額は39億円と同5割増えた。

クジラ・サメ“食”文化の伝統を残す取り組み活発化

クジラ・サメ“食”文化の伝統を残す取り組み活発化

 東日本大震災で被災した東北地方で、「鯨(クジラ)シューマイ」「ふかひれ丼」など、クジラやサメを使う食産業を残す取り組みが活発になっている。クジラは周知の通り、国際司法裁判所が日本の南極海での調査捕鯨を停止するよう命じ、サメも乱獲懸念からフカヒレを使わない事業者が増加する事態となっている。だが、宮城県石巻市、気仙沼市、青森県八戸市など漁業や加工の事業者が独自文化の灯を消すまいと奔走している。

 木の屋石巻水産(宮城県石巻市)は復旧した新工場で、鯨肉を入れたシューマイなど新商品の生産を計画する。主力商品は鯨肉の缶詰。商業捕鯨時代は大手水産加工会社の工場が集積していた石巻。その工場はいま激減し、そのころの面影はないが、様々なクジラ文化が残っている。国産だけでなく、輸入肉も使い価格を抑え、食文化を受け継ぐ。

 「くじら汁」を食べる文化が残る青森県八戸市では、NPO法人「海の八戸NPO」は秋冬のくじら汁のシーズンに向け飲食店に掲げてもらう旗をつくる。観光客に通常メニューでくじら汁を提供する店が少ないため、旗をつくることで提供する店を増やすのが狙いだ

 宮城県気仙沼市では、市内のすし店で「ふかひれ丼」の提供を本格的に始めた。すし店の組合が企画し、市内の加工業者が支援する。サメ肉団子を入れたお吸い物を付けるなどフカヒレ以外の部位を使う料理も提案する。 

 

被災地に巨大植物工場 レタス1日1万株 宮城・多賀城

被災地に巨大植物工場 レタス1日1万株 宮城・多賀城

 東日本大震災の津波で被災した宮城県多賀城市で、LED(発光ダイオード)照明を使った植物工場が完成し7月2日、開所式があった。LEDを全面採用した、植物工場としては世界最大規模になるという。レタスの場合、1日1万株程度、年間を通じて収穫できる。

  農業ベンチャー「みらい」(東京都千代田区)が運営。レタスの栽培日数は33~35日で露地栽培の2.5倍の速さ。5月に稼働し、6月に初出荷した。地元スーパーなどで販売しており、今後は飲食店などにも出荷する計画だ。完全閉鎖型の植物工場で、津波の塩害や原発事故の風評被害に強い-としている。工場の年間売上高は約3億円を見込んでいる。

 

日本の高品質野菜をシンガポールで現地生産する

日本の高品質野菜をシンガポールで現地生産する

 シンガポールで、完全な人工光型水耕栽培技術を応用し、新鮮な日本の野菜を飲食店などに供給するビジネスを立ち上げた日本企業がある。アローインダストリーズだ。

    約5000万円を投じ、今年完成した野菜工場の面積は約193平方㍍。栽培棚で蛍光灯による人工光を使い、日本製の肥料を含んだ水を循環させて与える仕組みで野菜を育てる。雑菌や害虫の侵入を防いでいるため、無農薬で安全な野菜を生産することができる。

    室内の温度は20~22度Cで管理され、天候に左右されず年間を通じて収穫、出荷できる。日本から取り寄せた種を蒔いて育苗、定植を経て収穫されるまで約33日間。現在は毎日約350個の商品を収穫、出荷できる能力があるという。

 

震災被災者が農地求めベトナムで育てる“日本米”

震災被災者が農地求めベトナムで育てる“日本米”

 津波で被災した宮城県岩沼市の農家、村上和之さん(42)が今夏からベトナムで日本米の栽培を始める。震災前から海外へのコメ輸出を考えていたが、東京電力福島第一原発事故の影響で、いまだに日本からの輸入を禁じたり、制約を設けている国も多い。

   そこで、村上さんは人件費の安いベトナムで、日本式農法により栽培した安全・安心でおいしいコメを中国や東南アジア諸国へ直接輸出することを決めた。ベトナム・ホーチミン市近郊に農地を確保し、「海外で日本の農産物を広め、日本の若者が農業に関心を持つきっかけをつくりたい」と意気込む。

    村上さんは岩沼市で代々続く農家。コメや野菜を育ててきたが、震災で自宅が全壊し、耕作する30㌶の農地がすべて海水に浸かり、農機具や在庫も跡形もなく流された。しかも宮城県産農産物は中国やタイ、シンガポールなど35の国・地域でいまも規制措置が取られているという。

    現地の日系企業を通じてホーチミン近郊の農地3㌶を借り、ベトナム農家を雇うことが決まった。起業の支援を行う独立行政法人の補助を受け、人件費や資材費など初期費用を確保。7月上旬に現地入りする。育てるのは「ひとめぼれ」などで、5年後にはベトナムを中心に、農地を100㌶にまで拡大する計画だ。

農地賃貸の第1弾決定 兵庫県管理機構

農地賃貸の第1弾決定 兵庫県管理機構

 兵庫県は、2014年度に事業を始めた「農地中間管理機構」の農地利用配分計画を初認可した。同機構が分散した農地や耕作放棄地を集約し、農業生産法人や企業に貸す事業で、機構の業務を手掛ける県外郭団体の兵庫みどり公社(神戸市)によると、全県での募集・認可は初めて。まず5件、計39㌶を10年間賃貸する。

 たつの市の農家が集まり、06年に設立した株式会社「ささ営農」は市内の水田約30㌶を借り受ける。福崎町の「板坂営農組合」は町内で6.5㌶を賃借する。佐用町、上郡町、南あわじ市でも法人・個人が賃借する。いずれも賃貸借期間は10年間の予定だ。

京都府 農村に住み込み相談員 地域再生へ旗振り

京都府農村に住み込み相談員地域再生へ旗振り

 京都府は府内の農村の少子高齢化や高齢者支援といった地域の問題解決へ、今秋から専門の相談員を地域に配置する事業を始める。相談員は各地に3~5年ほど住み、自治体や関係団体とも連携して地域再生の旗振り役を担う。地域に根付いた活動を通じて住民らとの交流を深め、限界集落の減少や地域活性化につなげていく。

 NPO法人などを対象に相談員の受け入れを希望する地域団体の公募を今夏にも始める。農村の過疎化対策に特化した団体として5件、そのほかに2件ほどを選ぶ。その後に、支援対象に選んだ地域の課題に対応できるコンサルタントらを募集。現地に住むことを条件に週3日、月13万円程度で府の非常勤職員として雇用する。