兵庫・養父市の農業委が農地許認可委譲に同意
兵庫県養父市の農業委員会は6月27日の臨時総会で、農地売買などの許認可権限を市長に移すことを正式に決めた。国家戦略特区の農業特区に指定された同市では耕作放棄地を集約し、民間事業者と農業再生を目指す。農業委員会の同意により、市は今後、具体的な区域計画づくりを本格化する。
低炭素への新しい試み-畑に竹炭を撒きCO2を密封
竹林で間伐した竹を熱して炭をつくり、堆肥に混ぜ農地に撒いて二酸化炭素(CO2)を削減しようとの取り組みがいま進んでいる。作物を育てながら、大気中のCO2を減らす「カーボンマイナスプロジェクト」だ。
プロジェクトというが、難しい作業や約束事があるわけではない。低炭素、いや正確に表現すれば“減炭素”へのしくみはこうだ。通常、植物は光合成でCO2を吸収するが、そのCO2は植物が枯れて分解すると再び大気中に戻ってしまう。ところが炭にすると、CO2を炭素の形で固定できる。そこで炭を農地に撒けばCO2を土壌中に閉じ込められるというわけだ。
京都府亀岡市などが2008年から始めたプロジェクトでは、農地1000平方㍍当たり200~300㌔㌘のCO2のマイナスを実現。自動車でガソリン約100㍑を節約するのと同等以上の効果をあげている。これまでにCO2換算で約50㌧を農地に埋めた。
最も知恵を絞ったのは費用を賄うしくみ。プロジェクトには20軒以上の農家が参加し、炭素を埋めた農地でネギやジャガイモ、小松菜などを栽培。これをブランド化して地場のスーパー2店で販売する。京都銀行や大和ハウス工業などの支援も得て、年間売上高は約1000万円を達成した。取り組みを主導する立命館大学の柴田晃客員教授は「難しい技術は必要ない。途上国でも展開できる」と、この減炭素プロジェクトに意欲的だ。
竹に続く動きもある。梨の名産地、千葉県柏市では剪定(せんてい)した梨の枝を炭にして農園に撒く試みを進める。新しい梨のブランド価値をつくり、CO2削減にもつなげる。炭は土壌の水分や養分を保ちやすく、全国に広がる可能性があるという。
京丹後市の農業公園 2015年4月に改装開業へ
京都府は府農業公園「丹後あじわいの郷(さと)」(京丹後市)を2015年4月に改装開業する。飲食施設を改修し、料理人の育成拠点を新設する。1998年の開業以来の大規模改装となる。運営委託先もこれまでの、レジャー施設のファーム(愛媛県西条市)から、地元の農水産業者らが共同出資する新会社に切り替え、地場の農産物や畜産品など発信力を強め、商品開発も強化する。これにより、府内外から観光客を呼び込み、落ち込んでいた来場者を3年後にも現在の2倍の20万人に増やす。
改装によりレストランやバーベキュー施設を一新し、府内産の木材を多用して落ち着いた雰囲気にする。新たに乳牛の放牧も始め、搾り立ての牛乳を味わい、搾乳やチーズづくりを体験できるようにする。人材育成拠点「食の王国学舎(仮称)」も2015年度中に開設する。改装費は約2億円。あじわいの郷は98年度に35万人が訪れたが、ここ数年は11万人程度にとどまっている。公園は広さ34万平方㍍でイチゴやサツマイモなど農作物の収穫や、羊や馬との触れ合いができるほか、季節の花が楽しめる。
農村歌舞伎に復活の輪地域まとめる役割に期待
江戸時代から、レジャーのまだ少なかった昭和30年代ごろまで、日本各地で盛んだった農村歌舞伎(地芝居)が近年、脚光を浴びている。かつて人気を集めた木造の舞台は過疎化が進む山村などでは、世代を超えた新たなコミュニケーションの場として支持を集めている。舞台の復活や大規模修復に乗り出す地域も相次ぎ、全国的な交流も活発になっているという。
八ヶ岳を望む小高い丘に建つ長野県茅野市の「槻木舞台」。2013年10月に、半世紀ぶりの歌舞伎公演を開いた。すると普段は静かな山村に700人以上の人が集まったという。ここは幕末の文久2年(1862年)建造と伝わる舞台だ。本格的な修復に着手したのは昨年。終戦後までの様子を知る人が健在のうちに伝統の舞台を生き返らせたい。そんな思いで、同市の文化施設運営を手掛けるNPO法人が、舞台を所有する同市泉野槻木地区に公演復活を持ちかけたのがきっかけだった。
修復に要する資金を巡り、当然反対意見もあったが、昔のにぎわいを思い出し、復活へと意見がまとまった。今の子供たちの目を、地元の文化財に向けさせたいとの思いもあった。同市内には他に3つの木造舞台があり、その整備や保存についての検討も始まっている。
農村歌舞伎が盛んな地域でも、使われていない舞台を修復して、新たに使用する事例がある。3カ所の農村舞台を使用して10以上の歌舞伎劇団が活動する埼玉県小鹿野町。築130年とされる羽黒神社の舞台「舞殿」が昨年修復され、10年ぶりの歌舞伎公演を開いた。同町教育委員会によると、現在全国で活動中の農村歌舞伎は200以上。調査を始めた1991年には30余りだったといい、近年とくに復活の動きが活発-としている。東日本大震災以降、地域コミュニティーをまとめる機能の一つとして、郷土芸能への注目が集まっていることの証(あかし)とみられる。
ニュージーランド(NZ)の乳業最大手フォンテラは北海道に低コスト生産のモデル酪農場を設ける。生乳の生産コストが日本の4分の1とされるNZの手法を国内の酪農家に伝、指導料などの形で収益を得る方針。海外の乳業大手が日本で酪農場を手掛けるのは初めて。
フォンテラは仏ダノンやスイスのネスレなどに続く世界4位の乳業メーカーで、2013年度の売上高は1兆5000億円。同社はNZ政府や同国の酪農団体などと専門組織を設立、モデル酪農場の立地選定などの調査に入った。5年後をメドに100頭程度の乳牛の飼育が想定されている。農林水産省や北海道は調査作業を支援するほか、技術指導を望む酪農家を紹介、国内酪農の競争力強化につなげる。