私説 小倉百人一首 No.85 俊恵法師

俊恵法師
※父は源俊頼

夜もすがらもの思ふころは明けやらで
       閨のひまさへつれなかりけり

【歌の背景】女性の身になって詠んだ恋の歌。寝室でひとり夜を過ごす女性の悶々とした気持ちがよく表現されている。

【歌 意】一晩中訪れのないあなたを思って、恋の物思いにふけっている夜は、早く夜明けになればいいと思ってもなかなかならず、寝室の戸の隙間も白んでこない。寝室の戸の隙間までが無情に思われてつれないことです。

【作者のプロフィル】父は源俊頼、祖父は経信。東大寺に学んだ僧だが、貴賎僧俗にわたる歌好きを集めて小さな歌壇を形成したことで知られる。自分の家を「歌林苑」と名付け、毎月歌合を催した。永久元年(1113)に生まれ、70歳代後半まで生きたようだ。