私説 小倉百人一首 No.9 小野小町

小野小町

花の色はうつりにけりないたづらに
       わが身世にふるながめせしまに

【歌の背景】桜の花の盛り、降り続く長雨に、家に引きこもり物思いにふけっているうちに、花の色のあせてしまったことに気づき、同時にわが容色の衰えを嘆いた歌。

【歌意】桜の花はすっかり色あせてしまったことだ。降り続いた長雨のために、家に引きこもって、物思いにふけっているうちに。そして、私の容色も衰えてしまった。恋の物思いに虚しく人生を過ごしていた間に。

【作者のプロフィル】小野小町といえば美人の代名詞として使われるが。その確かな伝記はない。出羽国の郡司小野良真のむすめで、小野篁の孫と伝えられる。
  歌風は情熱的であり奔放。恋に生涯を懸けた美人として、多くの伝説が伝えられている。六歌仙の一人に数えられており、在原業平、僧正遍昭、文屋康秀、凡河内躬恒らと歌を贈答した。