月別アーカイブ: 2013年12月

釈迦生誕地ルンビニで木造建築物の痕跡見つかる

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は11月26日までに、ネパール南部にある仏教の開祖ブッダ(釈迦)の生誕地ルンビニで木造建築物の痕跡が見つかったと発表した。建造物は紀元前6世紀のものとされ、これまで存在は知られていなかった。中央部には釈迦生誕の伝説に関連する部分もあるとしており、さらなる調査が待たれる。ルンビニの遺跡は1896年に発見され、1997年に世界遺産に登録された。

大修理の正倉院 装い新たに 屋根瓦のふき替え終了

宮内庁は11月26日、約100年ぶりの大修理が進む奈良市の国宝・正倉院で、屋根瓦のふき替え作業が終了し、装いを新たにした姿を報道陣に公開した。今回の大修理は傷んだ屋根瓦の交換や、軒先の垂れ下がりを抑えるための屋根裏の構造補強が目的。一昨年秋から作業が本格化した。約2万6200枚の瓦を新調した一方、奈良時代の瓦を含む約8400枚を再利用。屋根全体の重さは約191㌧と修理前より約8㌧軽くなった。
 今後は室内の復旧作業や、建物全体をカバーしている覆い屋の撤去などを行い、来年秋に完成する計画。最後の現場の一般公開を2014年2月7~11日に行う。

魯迅の手紙1億円 日本語の学習記す 中国で落札

 中国のニュースサイトによると、中国の文豪、魯迅(1881~1936年)の短い手紙が北京で行われたオークションで、手数料含め655万5000元(約1億500万円)の高値で売却された。手紙は1934年6月、中華民国時代の著名な編集者、陶亢徳氏に充てたものとされ、計220字の文面。日本に留学経験のある魯迅が、日本語学習について記した内容。

国学院大の矢部准教授が関白・豊臣秀次の死を巡り新説

 国学院大学の矢部謙太郎准教授(日本近世史)は、豊臣政権時代の関白・豊臣秀次の死を巡り、新説を学術誌「国学院雑誌」に発表した。その主旨は、淀君との間に実子の秀頼が生まれると、秀吉は甥の秀次が邪魔になり、彼を追放しただけだった。だが、秀吉の意図に反して秀次が過剰反応し、自ら腹を切った-というもの。通説では、秀吉は秀次を追放し切腹させるとともに、将来、秀頼に報復の類が及ぶことのないよう、彼の家族・郎党を含め根絶やしにしたとされている。ただ、秀次の死の背景を明確に記した史料が同時代になく、研究者の間でも興味深い説とみる向きもある。

唐古・鍵遺跡で弥生中期の北部九州産の土器片見つかる

 奈良県田原本町教育委員会は11月15日、国内最大級の環濠(かんごう)集落跡、唐古・鍵遺跡(奈良県田原本町)で、北部九州でつくったとみられる弥生中期ごろ(紀元前200年前後)の土器片が見つかったと発表した。この土器片は甕(かめ)の口縁部の破片で横約13㌢、縦約5㌢。25年前に出土し、再整理中に発見した。赤い彩色痕があり、口縁の形などが北部九州の土器の特徴と一致した。この時期の北部九州の土器は岡山県や島根県で見つかっているが、それ以東での出土例は初めてという。当時の地域間交流を探る貴重な資料といえそうだ。

日本庭園の元祖 奈良・飛鳥京跡苑池の南池の全容判明

 奈良県立橿原考古学研究所は11月20日、国内初の本格的な宮殿付属庭園、飛鳥京跡苑池(奈良県明日香村、7世紀後半)の南池の全体像が明らかになったと発表した。南池の中島はX字形と判明。東西約32㍍、南北約15㍍で、同時期の他の庭には見られない珍しい曲線構造だった。東西の岸からは柱を抜き取った跡が複数見つかった。池の観賞用施設があったらしい。近くの高台では、苑池全体を取り囲んでいたとみられる塀の跡も見つかった。同研究所では、想像以上の規模と景観。日本庭園史の出発点を飾る庭で、当時の総力を傾けた庭だったのだろう-としている。
 苑池は1999年の調査で見つかった。池は南北2つあり、南池は東西約65㍍、南北約55㍍で、石積みの島や松のある中島、噴水のような石造物があることは分かっていたが、全体像は不明だった。

塗料の下にダビンチの絵 ミラノの古城・天井画の部屋

 イタリアミラノ市などの調査によると、同市の観光名所スフォルツァ城にある、レオナルド・ダビンチの天井画が描かれた部屋の壁の塗料の下に、天井から続くダビンチの絵が隠れていたことが分かった。塗料を剥がして絵を復元する作業が行われており、2015年のミラノ万博開幕に合わせた一般公開が計画されている。ダビンチはミラノ滞在中の1498年、スフォルツァ家のミラノ公ルドビコ・イル・モロの依頼で、スフォルツァ城の「板張りの間」の天井に桑の木などをデザインした装飾画を制作。部屋の壁にも天井画から続く木の幹や根などを描いていたとみられる。
 1499年にミラノがフランスに征服され、ルドビコはミラノを脱出したため、部屋の絵画は完成しなかった可能性が高い。18世紀初めには板張りの間はオーストリア軍の厩舎となり、このころにダビンチの絵は白い塗料で塗りつぶされたようだ。

おくのほそ道の10県13カ所を名勝に 文化審議会が答申

 文化審議会は11月15日、俳聖・松尾芭蕉が東北、北陸を旅した「おくのほそ道の風景地」(10県13カ所)などを名勝に指定するよう下村博文文部科学相に答申した。芭蕉は弟子の曾良と古歌にまつわる名所を訪ね「おくのほそ道」をまとめた。芭蕉が俳句を詠んだ名所など往時をしのばせる優れた風景のうち、地元で保全の準備が整った「草加松原」(埼玉県草加市)や「象潟および汐越」(秋田県にかほ市)な。ど13カ所を指定、保護する。今後、順次追加指定を求める方針だ。
 また、室町幕府と伊達氏との結び付きを示す「宮脇廃寺跡」(福島県伊達市)など9件を史跡に、吉野川中流の「大歩危」(徳島県三好市)など3件を天然記念物とするよう求めた。近く答申通り告示される見込み。この結果、史跡は1724件、名勝378件、天然記念物1011件となる。このほか、「旧南部氏別邸庭園」(盛岡市)など4件を登録記念物に、「宮津天橋立の文化的景観」(京都府宮津市)など5件を重要文化的景観にすることも求めた。

六波羅蜜寺開山1050年を記念し坂東玉三郎さんが舞奉納

 平家ゆかりの六波羅蜜寺(京都市東山区)で11月16日、開山1050年を記念し、本尊の国宝・十一面観世音菩薩の前で、歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎さんがしなやかに舞を奉納し、詰めかけた観客を沸かせた。寺は963年、悪病退散を祈願するため、空也上人が開山。境内には平清盛らの供養塔が建立されるなど、平家とのつながりが深い。この日は本堂から屋外にせり出した舞台で、太鼓芸能集団「鼓童」と共演。日本神話を題材に自身が演出した舞踊劇「アマテラス」をモチーフに、優美な舞を演じた

西本願寺の国宝能舞台で能上演 世阿弥生誕650年記念

 室町時代に能を大成した世阿弥の生誕650年を記念し、京都市下京区の西本願寺に現存する日本最古の能舞台、国宝・北能舞台で11月21日、喜多流シテ方の友枝昭世さん(人間国宝)らが能を上演した。北能舞台での能上演は1997年以来。観世流シテ方の片山幽雪さん(人間国宝)の仕舞「砧(きぬた)」に続き、友枝さんが能「清経」を上演。幽玄な静寂の世界にひととき浸った。西本願寺によると、北能舞台は1581年の創建とみられる。