日本の農業生産者が花や盆栽の海外での販売を拡大している。愛知県豊明花き流通協同組合(愛知県豊明市)は2012年度の洋ランなどの輸出量を前年度比2倍の4000鉢増やした。さいたま市の生産者なども盆栽の輸出を始める計画だ。国内需要は落ち込んでいるため、日本での生産技術を生かし海外の富裕層向けに市場を開拓する。
12年度は香港とシンガポールに約200品種を輸出。鉢物を専用のコンテナに積み込み名古屋港から海上輸送した。輸出先の気候に合わせて植物の水分量を調整するなど梱包方法も工夫した。日本産の洋ランは独自品種が多く高級感のある外観から現地での人気が高い。競合する韓国や中国産と比べ、最大で10倍程度の高値で取引されているという。品種は地元産シンビジウムなど。
さいたま観光国際協会やさいたま市の盆栽生産者は今年中に、高級盆栽として知られる大宮盆栽の輸出を始める。輸出先はイタリアやフランスなど欧州連合(EU)主要国。EUの検疫基準を今秋にも満たす予定だ。価格帯は1鉢10万円以上の中高級品。初年度の販売は2000万円、16年には5億円を目指す。品種は真柏(しんぱく)など。
園芸苗生産販売のハルディン(千葉市印西市)は中国の山東省に設けた自社農場で観葉植物など約20種類の苗を生産し、現地の園芸センターで販売し始めた。杭州の5店に加え4月末から上海市の店でも売り出す。中国では富裕層を中心に園芸への関心が高まっており、販売は好調だ。