稚魚の豊漁受け、ウナギが一転値下がり 

稚魚の豊漁受け、ウナギが一転値下がり 

 近年、養殖主産地の恒常的な品薄で高値が続いていた活ウナギの相場が下落に転じている。養殖に使う稚魚(シラスウナギ)の豊漁を受けて、卸価格は直近1カ月で1~2割下落した。先行き値下がりするとみて出荷を急ぐ養殖業者が増える一方、近年の高値で市場は大幅に縮小しており、昨年まで品薄だった市場は一転して余剰感が漂い始めている。

 養殖状況をみると、中国や台湾を合わせた養殖池への仕込み量は前年の4倍程度に増えている。海水温の変化による産卵場所の北上で、稚魚が豊漁だったからだ。一方、需要は振るわない。近年の相場上昇でスーパーなど小売店はウナギの取扱量を減らした。その結果、市場規模はピークの2000年代前半の5分の1以下に縮小している。

 例年、ウナギは需要がピークを迎える7月上旬の土用の丑(うし)に向けて相場が上がる傾向がある。今年は今後の供給増が確実で、養殖業者が先を競って出荷している。相場は新物が出回り始めた5月下旬から下がり始め、足元の平均的な卸価格は1㌔当たり5000円前後(1匹200㌘サイズ)。中には相場が下がる前に、少しでも多く売ろうと運賃なしで売り込んでくる産地もあるという。