スプレッド・・植物工場で栽培する無農薬レタスに引き合い殺到

スプレッド

本社 京都市下京区
従業員 19人
設立 2006年
売上高 7億6000万円(2014年3月期)

植物工場で栽培する無農薬レタスに引き合い殺到

 野菜栽培ベンチャーのスプレッドは、植物工場でレタスを栽培している。屋内のため天候や季節に左右されずに安定供給でき、害虫の侵入を防いで無農薬で栽培するため全国のスーパーや百貨店、外食店などから引き合いが相次いでいる。最近では海外から現地生産を要請されるほど、植物工場での無農薬野菜栽培に対するニーズは強く、将来的には事業の海外展開も視野に入れる。だが、まずは首都圏に工場新設を検討、全国最大のレタス農家を目指し、事業拡大を進める。
 京都府亀岡市の工場には土の代わりに水耕栽培の棚が所狭しと並ぶ。生産現場を見ていない人には、農業というより装置産業(?)といった方が理解しやすいのではないか。そんな工場で、フリルレタスなど4種類のレタスを1日当たり2万1000株生産。グループの物流会社を通じて全国約100社に供給している。
 ここで生産されるレタスは、無農薬で土も付いていないため、洗わずに食べられる。露地物に比べてビタミンAも豊富だ。安心・安全な食品への需要が高まっており、工場で生産される野菜の需要は、今後とも大きく増え続けるとみられる。
 稲田信二社長は、野菜卸の会社に10年勤めた後、2006年に起業。生育に最適な温度や湿度を見つけることや、アンモニアや鉄分など栄養分を含んだ養液を吸収させることなど試行錯誤の連続。この間に栽培ノウハウの蓄積が進み、いまようやく「事業としては軌道に乗り始めたばかり」で、14年3月期に初めて黒字を達成したと苦労の一端を語る。だが、生育に必要な照明の費用が電気料金引き上げで月300万円も増えており、削減が大きな課題という。
 当面、まず首都圏新工場などで3年後に日産10万株の生産を目標にする。併せて当初の50日から40日に短縮することにメドが立った栽培日数をさらに短縮し、品質向上にも取り組む。「工場野菜」には事業拡大に向け、まだまだ技術開発の余地がありそうだ。 
(*日本経済新聞より大意引用)