農研センター 12度前後の高糖度ミカンの栽培技術開発
農研機構近畿中国四国農業研究センターは、高糖度ミカンの精密栽培技術を開発した。中国紙工業(広島県尾道市)が開発した地面に敷く二重構造のマルチシートと簡易土壌水分計、水分ストレス表示シートなどを組み合わせ、ミカンの液肥や水やりを制御して果実糖度を高め、農家の勘に頼っていた水やりの判断も標準化する。愛媛県などの農園栽培では長雨の影響で糖度が8~10度に下がった地域でも安定して12度前後の甘い果実が得られたとして、普及を図る計画だ。
外国人観光客増が収益増に寄与 新関空中間決算
新関西国際空港会社が11月18日発表した2014年4~9月期連結決算は、格安航空会社(LCC)の増便などで外国人の利用が好調だったことから、売上高は前年同期比32%増の741億円、営業利益は27%増の217億円で増収増益を確保した。最終(当期)利益は39%増の96億円。関西国際空港の今年9月末の有利子負債残高は9350億円で、3月末に比べて113億円減少した。大阪(伊丹)空港の大阪ターミナルビルを運営する「大阪国際空港ターミナル」(大阪市)を13年12月に完全子会社化したことも売上高の増加に貢献。関西空港は14年4~9月の外国人旅客数が過去最高となり空港の使用料収入や、免税店など商業事業収入が大幅に伸びた。
「ゴマ」6次産業化を推進する 近畿大・吉田教授
古来、健康に良い食品として知られる「日本ゴマ科学会」の第29回大会が、東大阪市の近畿大東大阪キャンパスで開かれた。同大会でホスト役の実行委員長を務めた近畿大農学部教授の吉田元信さんは、やせた土地でも栽培しやすく、商品作物としても高く売れるゴマは「農業の付加価値を高める有望な作物の一つ」と指摘する。そして、生産から加工、販売まで手掛ける6次産業化を進め、「問題が山積する日本の農業を変えたい」と話す。同大会でも、ゴマの摂取による血圧低下健康効果、国内外でのゴマ増産の取り組み、枚方市の農家レストランのゴマ料理紹介、高野山(和歌山県)の宿坊で振る舞われるゴマ豆腐作りの開設など、生産から加工まで幅広く、かつ分かりやすく来場者にアピールした。
専門分野は分子育種学。ゴマやサツマイモなどを材料に、遺伝子レベルで高品質な作物を生み出そうと模索している。研究の傍ら、ゴマ栽培を再び普及させようと、府内や奈良県内などの休耕田を活用し、効率よくゴマを育てる実験農場づくりを、学生とともに進めている。「学生に幅広い知識を身につけさせ、6次産業化を実践する人材を育てたい」と熱い。