JT飲料自販機事業売却 ビール系3社が買収に名乗り

JT飲料自販機事業売却 ビール系3社が買収に名乗り

日本たばこ産業(JT)は5月22日、子会社で手掛ける自動販売機での飲料販売事業を売却する方針を固めた。販売競争の激化で採算が悪化していたため、JTは飲料関連事業から完全撤退し、たばこ事業に経営資源を集中させる。こうした状況を見据え、すでにJT子会社が手掛ける自販機事業の買収に、ビール系飲料メーカー3社が名乗りをあげている。
JTは国内に約26万台の自販機を持つジャパンビバレッジホールディングスに71%出資しているが、保有する全株式を売却する方針だ。JTは今年2月、飲料の製造事業から9月末に撤退すると発表しており、自販機も売却が妥当と判断した。
JTの自販機を巡り激しさを増しそうなのが、その争奪戦だ。というのは、JTの自販機を手中に収めれば勢力図が塗り替わるからだ。各社の現在の自販機保有台数は、サントリー食品インターナショナルが49万台、アサヒ飲料が28万台、キリンビバレッジが25万台で、首位のコカ・コーラが83万台だ。したがって、例えばサントリーが買収に成功すれば75万台となり、一気にコカ・コーラに肉薄することになる。キリンビバレッジも手中に収めれば、現在2位のサントリーを、わずかだが凌ぐことになる。
自販機は立地にもよるが、通常、設置すれば自動的に販売してくれるため、台数の多寡が販売数量に大きく関わってくる。