「三輪そうめん」ブランド再興目指し業界一丸

「三輪そうめん」ブランド再興目指し業界一丸

そうめん発祥の地とされ、かつては業界をリードした奈良県桜井市の「三輪そうめん」業界が一丸となって、ブランド再興を目指している。ライバル業者同士が工場を相互見学するなど「秘中の秘」も明かし合い、”手の内”を見せ合って、品質向上に取り組む。国の「地理的表示保護制度」も活用して、兵庫や長崎など他産地との差別化を図る。
そうめんは奈良時代に宮司の子孫が、飢饉対策で作った保存食が起源という。江戸時代には播州(兵庫県)、小豆島(香川県)、島原(長崎県)など各地にそうめん製造の技法が伝わった。2009年の手延べそうめん生産量(小麦粉使用料ベース)は兵庫の2万117㌧、長崎の1万3566㌧に対し、奈良は3位の3669㌧と大きく水をあけられた。
さらに14年夏の商戦では、天候不順などで売り上げが前年比で1割も落ち込み、県三輪素麺工業協同組合の約80社は、最近10年以上なかった生産調整に踏み切った。通常は冬場から6月末まで続く生産を4月で中断したのだ。これで、危機感を共有したという。
三輪そうめんの需要振興に向け、県内の大学と連携した商品開発、宿泊付きの手延べそうめん体験などの計画も進行中だ。