大阪大の荒瀬尚教授らの研究チームは5月24日、新型コロナウイルス感染症の重症化を促す可能性がある「感染増強抗体」を発見したと発表した。ウイルス感染やワクチン投与により、感染を防ぐ「中和抗体」が体内にできることが知られているが、発見された抗体はそれとは逆に感染性を高める。感染者ごとに重症化リスクを判別できる可能性があるほか、ワクチン開発にも一石を投じそうだ。
チームは新型コロナの感染者の免疫細胞から得られた76の抗体を解析。「スパイクたんぱく質」の「NTD」という部分に作用する抗体に、ウイルスに感染しやすくなる感染増強抗体があることを発見。これが中和抗体の効果を弱めることを突き止めた。中和抗体の量が十分あれば、影響はなかった。