いま軍備力を含めた力による侵略、場合によっては核をも含めた力による支配、そして圧倒的な力による、交渉を逸脱した、不公平極まりない国際間ルールの押し付けが横行している。ロシアのウクライナ侵略しかり、パレスチナ・ガザ地区におけるハマスとイスラエルの紛争、イスラエルとイランの戦争も、イランと米国の数日間のやり取りもそれに類すると言っていいだろう。
それらの主体者もしくは、その行動を担っているのはロシアのプーチン大統領だったり、イスラエルのネタニヤフ首相、そして米国のトランプ大統領だ。ウクライナ侵略戦争の仕掛人、プーチン大統領の極悪ぶりはもう語り尽くされているが、それに匹敵するくらいトランプ大統領の国内外で進めている施策の極悪・醜悪ぶりもひどく、目を覆うばかりだ。どうして世界を相手にしての高関税政策を含め、トランプ氏の強引な、そして我がまま勝手な横暴が許されるのか?これではとても民主主義国家とは言えまい。
G7、そしてNATO(北大西洋条約機構)いずれも米国の大きな役割を期待して、トランプ氏が一方的に求めるまま、防衛費の増額を決議した。忖度(そんたく)のレベルではない。EUも、トランプ氏がいうことはどれだけ無茶でも、息を潜めて暗黙的に了解する羽目に陥っている。ロシアや中国に対峙する際は、無茶振りを含めて、こちらの陣営に繋ぎとめトランプ氏に相手国を抑え込んでくれることを期待する余り、同氏に対しきちんとした批判ができなくなっているのだ。
グローバルな視点でいえば、法のもと、ルールに基づく地道な協議により紛争解決を図り、平和を目指すべきなのだが、いまや、それは筋論にすぎず、圧倒的な力による武力行使こそが雌雄を決するカギとなっている。本当に悲しいことだ。
「法の下の平等」、「法の支配」に基づく国際社会の実現を目指す一方で、「力による支配」、そしてそれは決して恒久的なものとは言えないが「力による平和」が厳然として存在する。嘆かわしい。人類の叡智はどこへいった?