政府が農業協同組合の改革案として、上部組織の全国農業協同組合中央会(JA全中)が約700の地域農協から負担金として年間約80億円の運営費を集める制度を廃止する検討に入った。各農協が手元に残る負担金を使い、農産物の販売強化や特産品の開発など地域の特性を生かした独自の経営に取り組むよう促す。
政府は6月にまとめる農協改革案に盛り込みたい考え。今秋の臨時国会で農協法を改正し、JA全中の経営指導権や負担金などの規定の廃止を目指す。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結を見据え、2013年のコメの生産調整(減反)廃止に続く農業強化策の柱として農協改革を進める方針だ。
農協法改正後のJA全中は、経団連や全国銀行協会などと同様、一般社団法人となり、各農協などが会員費を払うかどうかを自由に判断できるようにすることが想定されている。
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新潟県でインドネシア人農業技術研修生受け入れ式
各地で伝統野菜復権へ様々な動き活発化
時代とともに忘れられた伝統野菜を復権させようとする動きが活発になっている。青森県八戸市は絶滅の危機にあった「糠塚きゅうり」生産を後押しする取り組みを2月に開始。滋賀県大津市は生産者が減り、いまでは市場にほとんど出回ることがない「近江かぶ」を復活させる取り組みを始めた。山形県や長野県では需要拡大に向けて情報発信を強化する。
生産者の高齢化が進み、種存続への危機感が強まっているほか、独自の食文化を観光客誘致など地域おこしの起爆剤にしようとする狙いもある。
八戸市役所は糠塚きゅうりについて、「このままでは夏の風物詩が消える」と、生産を担う人材を公募。新たに8人のメンバーを集め生産伝承会を立ち上げた。純粋な種子を守り、培ってきた育てる技術を伝えることが狙いだ。大津市は2013年秋、市が自ら試験栽培用のビニールハウスを設置した。ただ、市が保有する種は別のカブなどと交雑しており、「本来の特徴が現れていない」。そのため、ハウス内で交配を繰り返し、種の純度を高めていくという。これによって、近江かぶを復活させ、大津市の農産物ブランドの目玉にしたいとしている。
山形県は4月、全国の消費者に県の伝統野菜をPRしようと「食の至宝 雪国やまがた伝統野菜」との統一名称を決定。13年度は24件だった首都圏業者との取引成立件数を16年度には40件に増やす計画だ。
熊本県は13年度からインターネット通販会社を産地に招き、テスト販売をしてもらう取り組みを始めた。鮮度が落ちやすくても消費者への直送でクリアできることがある。伝統野菜の新しい売り方を構築していきたいという。
野沢菜など69種類の野菜を伝統野菜に選定している長野県は5月末をメドに、新たに「食」の情報発信や観光への活用法などを検討する協議会を設置する予定だ。
東芝とサタケ DNAで2時間でコメの品種を識別
東芝は大手精米機メーカーのサタケ(広島県東広島市)と組み、DMA検出技術を使って米粒から品種を特定する技術にメドをつけた。これにより最短2時間でコメの品種を識別でき、東芝はこの装置を商品化する。簡単な作業で産地やブランドが正しいことを証明できることから一般の精米工場の需要を見込む。2014年度中にも販売を始める。
基盤の上にDNA分子を固定し、試料の中のDNAと結合するかどうかを調べる「DNAチップ」の技術を応用。精米した米粒を装置に入れるとすりつぶし、DNAを抽出・増幅して「コシヒカリ」や「あきたこまち」「ひとめぼれ」などの品種を識別する。
13年に大規模なコメの産地偽装が発覚して消費者の目が厳しくなる中、産地や品種を立証するために専門機関に依頼する精米工場が増えている。だが、これでは結果が出るまでに通常で2~3日、繁忙期には1週間以上もかかる場合があり、精米後すぐに出荷したい業者にとってネックになっていた。
近江米『みずかがみ』がキャセイ航空の機内食に!
滋賀県が、地球温暖化に伴う高温障害を防ぐため10年かけ品種改良に取り組み、2013年「特A」の食味の評価を得た新品種『みずかがみ』が香港のキャセイパシフィック航空の機内食に採用されることになりました。
4月15日からキャセイパシフィック、香港発日本行きの全便と一部の日本発のファーストクラス、ビジネスクラスの機内食に使われています。また、全日本空輸(ANA)の香港発日本行き便の機内食にも採用されています。
このきっかけは13年9月に嘉田由紀子・滋賀県知事が関西広域連合のトッププロモーションで香港に赴いたときのことです。その際、縁あって出会ったのが幸運にも長浜市旧虎姫町出身で、現在はキャセイパシフィックケータリングサービス社の和食料理長している森静昭(もりしずあき)さんでした。嘉田知事は手土産に持参した『みずかがみ』(5㌔袋)を渡しました。そこで、持って帰り、自分の家で炊いて食べた森さんの「これは、おいしい」との評価を得て、森さんからこれをパシフィックの機内食に使えないかと発案されたという。
森さんは日本で修業した後、日本料理店「なだ万」香港島店のオープニングメンバーとして現地を訪れ、それ以来30年以上、香港で活躍している、いわば和食料理人の達人でした。幸運な偶然が重なりました。その結果の採用でした。
滋賀県では新しいブランド米として『みずかがみ』を県外にも売り込む、スタートダッシュを図る年にしたいとしています。
日本の演芸品 海外富裕層へ-洋ラン東南アジア 盆栽欧州に
日本の農業生産者が花や盆栽の海外での販売を拡大している。愛知県豊明花き流通協同組合(愛知県豊明市)は2012年度の洋ランなどの輸出量を前年度比2倍の4000鉢増やした。さいたま市の生産者なども盆栽の輸出を始める計画だ。国内需要は落ち込んでいるため、日本での生産技術を生かし海外の富裕層向けに市場を開拓する。
12年度は香港とシンガポールに約200品種を輸出。鉢物を専用のコンテナに積み込み名古屋港から海上輸送した。輸出先の気候に合わせて植物の水分量を調整するなど梱包方法も工夫した。日本産の洋ランは独自品種が多く高級感のある外観から現地での人気が高い。競合する韓国や中国産と比べ、最大で10倍程度の高値で取引されているという。品種は地元産シンビジウムなど。
さいたま観光国際協会やさいたま市の盆栽生産者は今年中に、高級盆栽として知られる大宮盆栽の輸出を始める。輸出先はイタリアやフランスなど欧州連合(EU)主要国。EUの検疫基準を今秋にも満たす予定だ。価格帯は1鉢10万円以上の中高級品。初年度の販売は2000万円、16年には5億円を目指す。品種は真柏(しんぱく)など。
園芸苗生産販売のハルディン(千葉市印西市)は中国の山東省に設けた自社農場で観葉植物など約20種類の苗を生産し、現地の園芸センターで販売し始めた。杭州の5店に加え4月末から上海市の店でも売り出す。中国では富裕層を中心に園芸への関心が高まっており、販売は好調だ。
アイリスが仙台の農業法人と提携しコメ卸売り
生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(仙台市)はコメの卸売事業に参入する。仙台市の農業生産法人と提携。東北の農家から仕入れたコメを精米し、2014年からホームセンターなどに販売する。
アイリスが51%、農業生産法人の舞台ファームが49%をそれぞれ出資して新会社の「舞台アグリイノベーション」を4月中に設立する。資本金は5000万円。新会社は50億円を投じて仙台市内に精米工場を建設する。14年2月に稼働し、東北の農家や舞台ファームが生産したコメを精米する。15年度の年間精米能力は、日本人約40万人の消費量にあたる2万5000㌧になる見通し。
精米後はアイリスがホームセンターを中心にコンビニエンスストアや外食チェーンに販売する。インターネット通販でも売り出す。一般的には常温で精米するのに対し、鮮度の低下を抑えられるセ氏15度程度の低温で配送まで管理する。「コシヒカリ」や「ササニシキ」「つや姫」などのブランド米をはじめ少なくとも20~30種類をそろえる。価格はスーパーと同等もしくは、やや高くなる見込み。15年度に100億円の売り上げを目指す。