九州大と福岡市 ブランド牛量産化に向け実証実験
九州大学と福岡市は共同でブランド牛の量産化に向けた実証実験を始める。九大が持つノウハウやIT(情報技術)を使い、畜産農家の省力化を目指した飼育技術を確立する。市保有の背振牧場(福岡市早良区)で取り組む。初年度は3~5頭の雌牛を導入し、出産、肥育まで手掛ける。まず市内の畜産農家のに技術を普及させ、5年後をめどに少なくとも年100頭を市場で流通させたい考えだ。九大発ブランド牛「QBeaf」として売り出す
バイテック 秋田でバイオマス発電 植物工場を併設
電子部品商社のバイテック(東京都品川区)は、秋田県に間伐材を利用するバイオマス(生物資源)発電所を建設する。発電所の隣には植物工場を併設し、廃熱を活用してレタスを栽培するなどエネルギーをムダなく利用するしくみを構築する。総投資額は約17億円で2016年春の稼働を予定する。
秋田県大館市から市内の工業団地に約1万6000平方㍍の用地を賃借した。間伐材から作ったチップを地元の業者から購入する。チップを燃やした際に発生する蒸気でタービンを回して発電し、発電能力は約1000㌔㍗となる。発電所の隣には約10億円を投じて植物工場を併設する。人工の光を使って植物を育成する工場で、発電所から出た余分な熱を工場に送って栽培する。バイテックによると、レタスを年間250㌧ほど生産できるという。投資額の半分を国からの補助金で賄い、残りをバイテックが共同出資して設立する農業法人や大館市などが負担する。
「ゴマ」6次産業化を推進する 近畿大・吉田教授
古来、健康に良い食品として知られる「日本ゴマ科学会」の第29回大会が、東大阪市の近畿大東大阪キャンパスで開かれた。同大会でホスト役の実行委員長を務めた近畿大農学部教授の吉田元信さんは、やせた土地でも栽培しやすく、商品作物としても高く売れるゴマは「農業の付加価値を高める有望な作物の一つ」と指摘する。そして、生産から加工、販売まで手掛ける6次産業化を進め、「問題が山積する日本の農業を変えたい」と話す。同大会でも、ゴマの摂取による血圧低下健康効果、国内外でのゴマ増産の取り組み、枚方市の農家レストランのゴマ料理紹介、高野山(和歌山県)の宿坊で振る舞われるゴマ豆腐作りの開設など、生産から加工まで幅広く、かつ分かりやすく来場者にアピールした。
専門分野は分子育種学。ゴマやサツマイモなどを材料に、遺伝子レベルで高品質な作物を生み出そうと模索している。研究の傍ら、ゴマ栽培を再び普及させようと、府内や奈良県内などの休耕田を活用し、効率よくゴマを育てる実験農場づくりを、学生とともに進めている。「学生に幅広い知識を身につけさせ、6次産業化を実践する人材を育てたい」と熱い。