「介護」カテゴリーアーカイブ

歯周病菌の毒素が脳の「ゴミ」増やし認知症を悪化させる

歯周病菌の毒素が脳の「ゴミ」増やし認知症を悪化させる

国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)、名古屋市立大学などの研究グループは、歯周病が認知症の症状を悪化させる仕組みを解明した。
歯周病の毒素がアルツハイマー病の原因とされる脳の神経細胞の中に、アミロイドベータというたんぱく質の「ゴミ」を増やし、認知症の症状が悪化するという。
研究グループはアルツハイマー病を発症するマウスに歯周病菌を感染させて、歯周病ではないアルツハイマー病のマウスの脳と比較した。5週間後、明確な違いがみられた。歯周病のマウスでは、記憶をつかさどる海馬でアミロイドベータの量が約1.4倍に増えていたほか、記憶学習能力でも認知機能が低下していた。

富士通 高齢者の見守りで1月下旬から新サービス

富士通 高齢者の見守りで1月下旬から新サービス

富士通は1月9日、高齢者ケアをサポートする「FUJITSU IoT Solution BIQUITOUSWARE 居住者の見守りソリューション」(以下、居住者の見守りソリューション)のサービスを拡充すると発表した。介護スタッフによる迅速な対応を可能にする「居住者の見守りソリューション リモートモニタリングサービス」(以下、リモートモニタリングサービス)を1月下旬から提供開始する。
リモートモニタリングサービスは、入居者の介護レベルの重度化、人手不足、人的コストが課題となっている介護事業者のニーズに応えるサービスだ。介護事業者のスタッフは、居室内で一定時間、生活の気配がない状態や、異常音の発生、室内の温湿度の異変といったアラームを、Webアプリの画面一覧表示で確認することができる。

2017年の介護事業者の倒産は111件で過去最多を更新

2017年の介護事業者の倒産111件で過去最多を更新

東京商工リサーチによると、2017年の介護サービス事業者の倒産は111件で、現行の介護保険制度がスタートして最も多かった2016年を3件上回った。下半期に全体の64%の71件の倒産が発生した。
特徴は負債額が1億円に満たない中小・零細事業者の倒産ケースが目立ったこと。ただ、数は少なかったが大型倒産もあって、負債額の平均は2016年の8700万円より4800万円高の1億3500万円となった。

保育施設への自治体立ち入り調査 1/3で未実施

保育施設への自治体立ち入り調査 1/3で未実施

読売新聞社の調査によると、2016年度に自治体による立ち入り調査を受けた保育施設は、対象施設の65%にとどまり、3分の1の施設が立ち入り調査を受けていないことが分かった。
国は児童福祉法などに基づき、自治体に原則として年1回以上の立ち入りを求めている。しかし、待機児童解消のため保育施設が急増する一方で、子供の安全や保育の質を担保するチェックが不十分な実態が明らかになった。
自治体への調査は2017年11月から今月にかけ、立ち入りや改善指導の権限を持つ47都道府県と20政令市、48中核市に実施し、計115自治体すべてが回答した。その結果、各自治体が対象とする約3万4000カ所のうち、立ち入りを受けていたのは約2万2000カ所で、3分の1が未実施だった。

認知症高齢者の事故 家族が賠償に備える保険

認知症高齢者の事故 家族が賠償に備える保険

損害保険会社の間で、認知症高齢者が事故を起こし、家族が賠償を求められる場合に備える保険の開発が進んでいる。
三井住友海上は火災保険の特約として、認知症の高齢者が線路に立ち入って電車を止めたり、自転車で歩行者にケガをさせたりして、家族が賠償を求められた場合に保険金を支払う商品を開発した。事故には至らず、安全確認のため電車が止まった場合など、これまで保険金が支払われなかったケースも対象になる。
東京海上日動は、1月から自動車保険の内容を改定し、認知症の人が事故を起こして家族が賠償責任を負った場合、家族も補償の対象に含めることにした。

ひとり親家庭の児童扶養手当55万世帯で増額へ

ひとり親家庭の児童扶養手当55万世帯で増額へ

厚生労働省は今年の夏から、ひとり親家庭を対象にした「児童扶養手当」の支給制度を見直し、55万世帯の手当が増額される見通しとなった。
ひとり親が対象の児童扶養手当は所得に応じて支給が決まっていて、子ども1人の世帯では最大で1カ月あたりおよそ4万2000円が支給されている。
満額を受け取れるのは現在、年収が130万円未満の家庭に限られているが、厚労省は今年8月から年収160万円未満まで対象を拡大することになった。また、これ以外にも一部の世帯の支給額を増額することになり、現在手当を受けているおよそ100万世帯のうち、55万世帯がより多くの手当を受け取れる見通しとなった。
支給頻度についても、現在は手当を4カ月まとめて支給しているが、来年からは2カ月ごとの支給に変更する予定。

ベビーシッター代 月28万円上限に補助 東京都

ベビーシッター代 月28万円上限に補助 東京都

東京都は待機児童を持つ親が働くため、ベビーシッターを利用する場合、月額28万円を上限に補助する制度の導入を決めた。このため、新年度予算案に50億円を計上する。
具体的には、子供が保育所に入所するまでの間と、1年間の育児休暇を取得して年度途中に復帰する場合、多くの子供が保育所に入所する次の4月までの間の、2つのパターンで適用する。3月に予算が成立すれば、早期の実施を目指している。年間で1500人分の利用を見込んでいる。

介護実習生 国家試験合格すれば就労継続へ制度見直す

介護実習生 国家試験合格すれば就労継続へ制度見直す

外国人技能実習生について、制度の見直しが行われる見通しとなった。厚生労働省と法務省は、介護福祉士の国家試験に合格すれば日本で働き続けることができるようにする。
ただ、現行の外国人技能実習生の制度は本来、途上国への技能の移転を目的としており、日本の事情に合わせた制度変更と、本来の趣旨といかに整合性を図るのかが課題だ。
いずれにしても、今回の制度の見直しが通れば、2025年度に37万人の介護職の人材が不足するとされる介護現場では朗報となる。

要支援者の避難計画 策定わずか9.3% 民生委員不足などで

要支援者の避難計画 策定わずか9.3% 民生委員不足などで

朝日新聞社のまとめによると、災害に備え要支援者の避難方法をあらかじめ決めておく個別計画づくりが進んでいない。
全国の都道府県が把握する市区町村の策定率(2016年4月~2017年11月)は、要支援者約714万人に対し、計画があるのはわずか9.3%の約67万人だった。最も高かったのは新潟県の33.2%(2016年4月時点)で、最少は沖縄県の0.3%(同)だった。
策定が進まない理由について、25都府県が手助けする人の不足を挙げている。支援の中心となる民生委員が、地域の高齢者・要支援者の増加で不足していることもその要因。また、人間関係の希薄化などで協力する人が見つからない実情があるとみられる。地域と要支援者をつなぐ役割の人が圧倒的に少ないことが大きな課題だ。

福祉事業所の閉鎖相次ぎ、障害者大量解雇

福祉事業所の閉鎖相次ぎ、障害者大量解雇

全国で福祉事業所が閉鎖され、障害者の解雇が相次いでいる。国の雇用機会の創出政策もあって増え続けた福祉事業所だが、経営努力の不足や悪徳(?)経営者の存在もあって、福祉事業所の経営破たんに伴い、2017年夏以降でも500人以上が解雇されている。
これらの福祉事業所は、国が障害者の雇用の場を広げようと設けた「就労継続支援A型」と呼ばれる事業所だ。このA型事業所は、一般企業での就労が難しい障害者を雇い、原則として最低賃金以上の給料を支払う。そして、障害者をサポートする職員の人件費や事業の運営経費を賄うため、事業所には国や自治体から補助金が支給される。
しかし、いまその補助金が本来の趣旨とは違うことに使われたことが原因で、A型事業所が閉鎖に至るケースが相次いでいるのだ。閉鎖事業所の元職員の証言によると、その事業所の社長は私利私欲のため、趣味の仏像や絵画を大量に買い集めていたという。
福祉事業所の閉鎖理由はそれだけではない。もっと根本的な問題が指摘されている。すなわち、事業収入だけではそこで働く障害者らの給与を賄えない状況にある事業所が少なくないという。これらの事業所では障害者が手掛ける仕事だけでは採算が取れず、行政からの補助金で障害者の給料の埋め合わせをするというわけだ。運営する側に、あくまでも福祉事業であり、徹底したコスト意識が乏しく、補助金頼みの部分がうかがわれるのだ。
国保連データおよび政府統計に基づきA型事業所の推移をみると、2007年の全国148カ所から2016年には3455カ所へ20倍に増えている。設置主体別内訳をみると、3455カ所のうち営利法人1980、社会福祉法人565、NPO法人553、その他357となっている。