「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

中国の探査機 火星着陸に初めて成功 旧ソビエト,米国に次ぎ

中国の国営メディアは、同国の無人探査機「天問1号」が5月15日午前、初めて火星への軟着陸に成功したと伝えた。火星への着陸は旧ソビエト、米国に次いで3カ国目。探査機に搭載された探査車が今後火星の表面を走行し、地形・土壌など地表面の探査を実施する予定。成功すれば米国に次いで2カ国目となる。

国家と人々の安寧祈願 京都・葵祭「社頭の儀」路頭の儀 中止

京都三大祭の一つ、下鴨神社(所在地:京都市左京区)と上賀茂神社(所在地:京都市北区)の祭礼「葵(あおい)祭」が5月15日あり、祭事の一つ「社頭(しゃとう)の儀」が参列者を限定して行われた。下鴨神社では午前11時ごろ、天皇のお使いが舞殿に昇り、国家と人々の安寧を祈願する祭文を読み上げた。
ただ、葵祭のハイライト、平安時代の雅な貴族の装束で約500人が都大路を練り歩く「路頭(ろとう)の儀」は、新型コロナウイルスの感染拡大で2020年に続き中止された。

東大寺 東京芸大が復元した「執金剛神立像」2体を公開

東大寺(所在地:奈良市)は、東京芸術大から寄贈された国宝「執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)」の復元模刻2体を報道陣に公開した。同大は東大寺や東京理科大とともに、科学分析に基づいて、本体を彫刻、彩色し、約10年がかりで完成させたという。
復元を手掛けたのは、東京芸術大学保存修復彫刻研究室の「東大寺法華堂執金剛神立像完全復元プロジェクト」。制作資金の一部はクラウドファンディングで募り、約1,800万円が集まった。
執金剛神立像(高さ173cm)は奈良時代の8世紀中ごろの作。東大寺法華堂で毎年12月16日にだけ公開される秘仏として知られる。寄贈された2体のうち1体は漆を使った技法で現状の姿を模し、もう1体は当時の極彩色を忠実に再現している。なお、
像の一般公開は秋ごろの予定。

奄美・沖縄 世界遺産へ IUCNが「登録が妥当」と勧告 5件目

環境省は5月10日、日本政府が世界自然遺産に推薦する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)について、登録の可否を事前審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN、本部:スイス)が「登録が妥当」と勧告したと発表した。4島からなる推薦地は、95種の絶滅危惧種が生息する。
登録されれば、日本の自然遺産登録は10年ぶり5件目。7月16~31日にオンラインで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定される。

正倉院の屏風・織物の紋様に国内未確認の染色技法 宮内庁

宮内庁正倉院事務所の分析によると、奈良の正倉院に伝わる織物の紋様の染色に、国内ではこれまで確認されていない技法が使われていることが分かった。正倉院事務所は年に一度、秋の点検に合わせて正倉院の宝物を調査している。
今回は江戸時代に当時の東大寺の別当がつくらせた屏風に使われていた織物の紋様に、どのような染色技法が使われているか調査した。紋様の繊維を顕微鏡などで詳しく分析したところ、これまで「ロウケツ染め」という技法が使われていると考えられていたが、実際には何らかのアルカリ性の物質で染まらないように加工されていることが分かったという。
この技法は、中国・新疆ウイグル自治区にあるトルファン・アスターナ古墳群から出土した8世紀ごろのものとみられる織物で使われていることが確認されているが、国内では例がない。

能「篁(たかむら)」500年ぶりに復活 京都・六道珍皇寺で奉納

京都市東山区の、平安初期の貴族、小野篁(たかむら)ゆかりの六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)で5月4日、篁を題材にした能「篁(たかむら)」が500年ぶりに復活、せりふを奉納する「謡(うたい)奉納」が行われた。
能「篁」はおよそ500年前の室町時代に上演が途絶えたとされていたが、能楽師でつくる京都観世会が当時の文献などをもとに、2年かけて復活させた。鎌倉時代に隠岐に流された後鳥羽上皇の前に、小野篁が霊になってあらわれ、逆臣たちを地獄へ落とすという物語。同日は口元を布で覆った5人の能楽師が篁の像の前で、後半のせりふの一部を独特の節回しで力強く謡い上げ、奉納した。

高野山・金剛峯寺でコロナによる死者の追悼と終息祈願

和歌山県・高野山金剛峯寺で5月3日、新型コロナウイルスに感染し亡くなった人たちの追悼と、コロナの終息祈願の法要が営まれた。金堂で営まれた法要には、高野山の僧侶らおよそ30人が参加し、亡くなった人たちを追悼した。また、燃え盛る炎に護摩木を投げ入れ、変異を繰り返し、引き続き猛威を振るう新型コロナの早期終息を祈願した。

「長崎の鐘」英語版復刻の動き 永井隆博士没後70年 遺志継ぐ

1945年8月9日、長崎に投下された原爆で重傷を負いながら救護活動に身を捧げ、「長崎の鐘」などの著書で原爆被害と戦争の愚かさを訴えた医師、永井隆博士が亡くなって、5月1日で70年を迎えた。博士の遺志を継ごうと遺族やゆかりの医師らが、絶版となった「長崎の鐘」の英語版の復刻を目指している。
長崎の鐘は、37歳で被爆、白血病で43歳で亡くなるまで、原爆で医療体制が壊滅した中で負傷者の救護にあたった様子を克明に記し、家族や友人を一瞬で失った絶望から立ち上がろうともがく人々の姿を描いたもの。
博士の孫で、長崎市の永井隆記念館館長の永井徳三郎さん(55)によると、長崎の鐘は英語版など9カ国に翻訳され、幅広い人々に読まれた。だが1984年に出た英語版は10年ほど前に絶版となっている。そのため、記念館に来館した外国人客から英語版で読みたいと要望されても応えられなかったという。
このほか、没後70年の動きの一つとして、博士が小学生時代を過ごした島根県雲南市では4月、記念館がリニューアルオープンしている。

高野山三大秘宝を公開 弘法大師ゆかりの書など221点 霊宝館

和歌山県高野町の高野山霊宝館で、開館100周年を記念した展覧会「高野山の名宝」が開かれている。弘法大師ゆかりの書や、鎌倉時代の仏師、運慶・快慶が制作したとされる仏像など計221点を、11月28日まで一部入れ替えながら展示する。
今回、空海ゆかりの文化財としては「三大秘宝」と呼ばれる出家宣言の書「聾瞽指帰(ろうこしいき)」(国宝)や、密教を修めた証しとして唐(中国)から持ち帰ったとされる持仏「諸尊仏龕(しょそんぶつがん)」(国宝)、所持したとされる密教法具「金銅三鈷杵(こんどうさんこしょ)」(国重要文化財)を公開する。仏像では運慶作とされる国宝「八大童子立像」や、快慶作とされる国重要文化財の「孔雀(くじゃく)明王像」「四天王立像」などが展示される。
展示期間は4期に分かれ、1期(6月6日まで)、2期(6月8日~8月1日)、3期(8月3日~10月3日)、4期(10月5日~11月28日)。一般1,300円、高校・大学生800円、小中学生600円。

エジプト「妊婦のミイラ」を初確認 ポーランド研究チーム

ポーランドの研究チームは現在、首都ワルシャワの国立博物館に保管されているエジプトのミイラについて、CTスキャンなどで調べた結果、ミイラはおなかに胎児がいる女性であることが分かったと発表した。年齢20~30歳の女性で妊娠26週から30週だったとみられる。エジプトで見つかったミイラで妊婦だと確認されたのは世界で初めて。このミイラは棺に記された文字などから、およそ2,000年前の男性の聖職者だと考えられていた。