国立天文台などの研究チームはこのほど、観測史上最古の渦巻銀河を発見した。宇宙誕生(約138億年前)から間もない124億年前の宇宙に、太陽系を擁する天の川銀河と似た渦巻構造を持つ銀河があることを見つけもの。チームは「我々の太陽系がどのような環境で誕生したか探る手掛かりになる」としている。
この渦巻銀河に存在する星と星間物質の質量は太陽系の600億倍程度で、天の川銀河に匹敵すると推定された。同チームの研究成果は5月21日、米科学誌サイエンス(電子版)に掲載された。
「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ
奈良 菅原遺跡で行基しのぶ供養堂の遺構 比類のない円形建物跡
元興寺文化財研究所は5月20日、奈良市疋田町の菅原遺跡で、8世紀半ばの類例のない円形建物と大規模な回廊の跡を確認したと発表した。ここは東大寺大仏の造立を指揮した奈良時代の高僧、行基(668~749年)ゆかりの寺「長岡院」があったとされる地。同研究所は行基をしのぶ供養堂の遺構で、後世の仏塔建築「多宝塔」の原形の可能性が高いとみている。
遺跡は平城宮跡の西方、標高106mの丘陵上にあり、宅地開発に伴って2020年10月~2021年1月に約1,960㎡を調査。柱穴(直径約21cm)15基が直径約14.5mの円状に並び、その内側にも石を抜き取った跡が円状に確認された。北西側では柱穴の列も見つかり、約40m四方の回廊などが円形建物の周囲を巡っていたとみられる。
伊能「小図」副本発見 江戸後期の伊能忠敬測量隊が作成
日本地図学会の専門部会は5月18日、江戸後期に伊能忠敬(1745~1818年)と測量隊が作製した手描きの「大日本沿海輿地全図」のうち、列島を3枚に収めた「小図」の副本(控え)が新たに見つかったと発表した。
学会によると、幕府に提出した伊能図の正本は明治期にすべて焼失。小図の副本全3枚の現存が確認されたのは、2002年の東京国立博物館所蔵図(国重要文化財)以来2例目という。保存状態も良好で色彩が美麗に残る重文級の発見。
伊能図は縮尺が違う大中小3種あり、小図は縮尺43万2000分の1。副本は測量隊の控えなどとして、正本と並行して作製された。今回の副本は北海道、東日本、西日本を横約1.6m、縦1.5~2.5mの用紙に描き「実測輿地図」と題されていた。
宮沢賢治の詩「S博士に」の直筆草稿見つかる 主治医の蔵書から
中国の探査機 火星着陸に初めて成功 旧ソビエト,米国に次ぎ
国家と人々の安寧祈願 京都・葵祭「社頭の儀」路頭の儀 中止
東大寺 東京芸大が復元した「執金剛神立像」2体を公開
東大寺(所在地:奈良市)は、東京芸術大から寄贈された国宝「執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)」の復元模刻2体を報道陣に公開した。同大は東大寺や東京理科大とともに、科学分析に基づいて、本体を彫刻、彩色し、約10年がかりで完成させたという。
復元を手掛けたのは、東京芸術大学保存修復彫刻研究室の「東大寺法華堂執金剛神立像完全復元プロジェクト」。制作資金の一部はクラウドファンディングで募り、約1,800万円が集まった。
執金剛神立像(高さ173cm)は奈良時代の8世紀中ごろの作。東大寺法華堂で毎年12月16日にだけ公開される秘仏として知られる。寄贈された2体のうち1体は漆を使った技法で現状の姿を模し、もう1体は当時の極彩色を忠実に再現している。なお、
像の一般公開は秋ごろの予定。
奄美・沖縄 世界遺産へ IUCNが「登録が妥当」と勧告 5件目
正倉院の屏風・織物の紋様に国内未確認の染色技法 宮内庁
宮内庁正倉院事務所の分析によると、奈良の正倉院に伝わる織物の紋様の染色に、国内ではこれまで確認されていない技法が使われていることが分かった。正倉院事務所は年に一度、秋の点検に合わせて正倉院の宝物を調査している。
今回は江戸時代に当時の東大寺の別当がつくらせた屏風に使われていた織物の紋様に、どのような染色技法が使われているか調査した。紋様の繊維を顕微鏡などで詳しく分析したところ、これまで「ロウケツ染め」という技法が使われていると考えられていたが、実際には何らかのアルカリ性の物質で染まらないように加工されていることが分かったという。
この技法は、中国・新疆ウイグル自治区にあるトルファン・アスターナ古墳群から出土した8世紀ごろのものとみられる織物で使われていることが確認されているが、国内では例がない。