見た目を重視する風潮が社会に広がり、女性が”やせ”願望に陥りやすくなった。体質的にもともとスリムで、元気な人ならば問題はないが、見た目を気にして無理なダイエットをし、栄養が不足している人が多いという。女性の度を超えた”やせ”と栄養不足は、健康を損なうリスクがあることを忘れてはならない。見た目より健康が第一だ。
厚生労働省の調査では、BMIが”やせ”の女性は若い世代に特に多く、20歳代では4人に1人に上っている。こうした事態に、日本肥満学会は4月、女性の低体重と栄養不足による健康被害を「疾患」と位置づけ、治療や予防法の確立に乗り出した。低体重と栄養不足は、貧血や月経周期の異常、筋力や骨密度の低下を招く。
ひどくなると、不眠症や骨粗しょう症になることもある。低体重で栄養不足が続くと、結婚して、将来生まれてくる赤ちゃんも低体重となり、障害や発達の遅れを招きかねない。20歳代の度を超えたダイエットは、30歳代以降の人生に深く影響を与えかねない。
経済協力開発機構(OECD)によると、体格の指標となるBMIの数値で”やせ”と判定された日本人女性の割合は、米国やドイツの約5倍に上っている。日本の女性は、やせた人の割合が先進国の中で最も多いのだ。
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愚かな米ホワイトハウスの施策, 情報収集・分析能力を憂う
米国第一主義のもと、トランプ政権が打ち出す様々なすべての方針に?を付けざるを得ない。意識的にあるいは恣意的に行っているのかと、疑いの目で見ざるを得ない事態が次々起こっている。それはホワイトハウスのスタッフぐるみで、推し進めている所業なのか?そしてその情報収集・分析能力を疑う。なぜ、そんな陳腐な政策しか出てこないのか。なぜスタッフはトランプ氏が関心を持ちそうな、喜びそうなデータしか挙げないのか?
自国の貿易赤字解消に向けた、全世界に対する高関税政策はじめ、米国内保守派の意向を受けた教育機関への弾圧など挙げれば限りがないほどだ。ハーバード大への留学生受けれ停止の措置などに明確に表れている。いずれの政策もその根拠やベースとなるデータや、そこに至る詳細な経緯など一切度外視した、唐突な政策を打ち出している。
トランプ政権はハーバード大に加え、政権の意向に従わない他の大学でも留学生の受け入れを停止させる可能性を示唆している。発展途上の、独立間もない国ならまだしも、これが米国でいま起こっている現実だ。
こうした事態を受け欧州では、トランプ政権による米国有力大学への留学停止措置や予算削減で、また米国・政府効率化省の下で研究機関の予算の大幅削減で雇用を打ち切られ、行き場を失っている米研究者の受け皿を設ける動きが出ている。欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、域外の研究者に向けて「欧州には科学の発展に必要なものがすべて揃っている。研究者たちには欧州を選んでほしい」と呼び掛けている。
米政権の愚かな施策によって、長く米国に存在したはずの優秀な研究者らが、中国へ”頭脳流出”する可能性があることに気付かないのか?いや、そんなはずはない。想定はされるが、徹底した国内のリベラル派たたきが最優先と考えているのだろう。ホワイトハウスはずばり、俯瞰でこれらの事態を総合的に判断する能力を失っているということだ。超鈍感なトランプ政権に対し、欧州ではいま、科学技術強国を目指す中国が、交流のある米研究者たちを囲い込むと警戒感が強まっている。
介護採算難 24年M&A3割増え過去最多 需要はあっても…
介護業界の再編が進んでいる。2024年のM&A(合併・買収)は前年と比べ3割増え、過去最多となった。介護業務にあたるホームヘルパーを筆頭に、業務内容に比して待遇の低さも加わって、慢性的な担い手・人手不足の業界、それが介護業界だ。
近年、生保業界や損保業界大手の介護関連の買収が話題になったが、政府の介護政策は立ち遅れ、地域に求められる抜本的対応策は打たれないままだ。このため、在宅要介護者の介護を担う訪問介護ヘルパーの絶対的不足で、最悪、地域には”介護難民”があふれ、孤独死・孤立死が増え続ける事態も想定される。
世界に類を見ない超高齢社会を迎えている日本。要介護者は、確実に今後15〜20年は増え続ける。それだけに介護関連産業は隆盛なはずなのだ。だが、需要はあっても対応しきれない状況が続く。そうした経営環境の悪化から倒産や休・廃業も増加。今後も収益改善が見込めないと判断、2024年は東京電力ホールディングスや積水化学工業などが介護関連事業を売却した。
介護を主幹事業とする企業は、M&Aを進めて統合により、効率を高め採算を確保しようとの狙いだが、維持・管理に向けて所要人員を安定・定着させようとすれば待遇改善が求められる。元々、低待遇の業界だけに、大幅な給与ベースの積み増しが必要となる。本体事業への利益貢献は決してラクではないということだ。
人員削減 黒字でも, 人手不足の日本で進行する人員圧縮
2025年に国内で早期・希望退職を募集した上場企業による人員削減が進行している。東京商工リサーチの集計によると、その数は5月15日現在8,711人に上り、前年同期(4,654人)の約2倍に上っている。実施した企業数は19社で、前年同期より8社減ったものの、1社あたりの募集数が多い大規模な人員削減が増えている。これらの企業の大半は黒字だ。黒字でも人員削減を断行する。
パナソニックホールディングス(HD)は5月、国内で5,000人を削減すると発表した。海外を合わせると1万人規模に上る。中小型液晶メーカーのジャパンディスプレイ(JDI)は6〜8月に希望退職を募り、国内従業員のおよそ半数にあたる約1,500人削減する。マツダは50〜61歳の正社員を対象に、500人の退職者を募集する。ロームは3月までに200人規模の希望退職を実施した。このほか、抜本的な経営再建に取り組む日産自動車は国内外合わせ2万人を削減する方針を公表している。
リーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルス禍など、過去の大規模な早期・希望退職は、経営環境が悪化した時期だった。ところが、今回は明らかに違う。2025年に早期・希望退職が判明した上場企業19社のうち、約6割の12社は直近の決算で最終利益(単体)が黒字だった。これらの企業に共通しているのは「固定費構造に大きくメスを入れないと再び成長に転じることはできない」との判断なのだ。
トランプ米政権の高関税政策や世界経済の減速などにより、今後見込まれる業績悪化に備え、中長期的な競争力を確保するため、黒字のうちに徹底して余剰人員の削減を進めようというものだ。
日本はあらゆる産業で深刻な人手不足が指摘されている。ところが、その一方で大手の上場企業では余剰人員の圧縮へ早期・希望退職を募っている。この容易ではない連立方程式を、矛盾なく上手に解く手立てはないものか?
大相撲 勝負検査役の質低下を憂う きちんと日本語の研修を
様々なスポーツにはルールがある。世界各国で盛んなスポーツほどグローバルスタンダードがある。例えばオリンピック種目では、極端な場合、開催地ごとに小幅なルール変更があったりする。
しかし、その国の固有に近いスポーツでは一定のルールは変わらずにあるはずだ。日本の大相撲がそれに該当すると思っていた。だが、そうではないらしい。最近とくに、各力士の取り組みを土俵下に”鎮座”する審判部の検査役の質の低下が目立つ。勝ち負けの微妙な取り組みには当然、物言いをつけ、検査役が審議すべきだ。しかし、勝敗は一見して明白なケースや、反対にこれは物言いをつけなければと思わせる取り組みには、検査役の誰もが全く動かずという場合も散見する。また、技(わざ)の掛け合いで、土俵の内外でほぼ同時に倒れ込んだ場合、力士の足が土俵の俵の上か、外に付いたか否かーーなどで、取り直しは当然という微妙なケース。また、これは勝敗が明白というケースでも、見る角度によって微妙に見え、物言いをつけられ取り直しとされたうえ、結果、逆転負けする当事者の力士には気の毒なケースも出ている。これらの問題は、かつては考えられなかったことだ。
大相撲も、モンゴルをはじめカザフスタン、ウクライナ、ロシア出身者など本格的な国際化時代を迎え、国籍・出身国も様々な状況になった。その事自体はいいことだ。しかし、国技に準じる、日本固有の長い歴史を持つ大相撲のルールの運用に、安易な手心が加えられるようなことがあってはいけないのではないか。それと、目に余るのが勝負検査役の説明の際の言葉選びや、質の低さだ。きちんとした日本語になっていないケースもある。協会では各部屋の幹部・親方衆を含め、きちんと相撲協会のルールや日本語の研修をすべきだ。それが、国際化を進める際の受け入れ側の、本来あるべき謙虚な姿勢ではないか。ぜひ、早急に改めてもらいたいものだ。
介護離職防止へ 休業制度の利用促進, 周知化が大事
厚生労働省は、親の介護を理由に仕事を辞めざるを得ない介護離職を防ぐため、改正育児・介護休業法に基づき、介護休業や介護休暇など仕事との両立支援制度を社員に周知するよう企業に義務付けた。だが、一向に同制度の活用が進まない。これには制度そのものが知られていないことがあるが、その最大の要因は職場の風土にある。超高齢社会の日本が抱える問題・課題の根深さがここにある。
これは、日本の経済成長とも密接に関わる論点でもある。介護離職は、企業にとって人材に流出となる。年間10万人を超える介護離職者の現状を放置し、増え続ければ企業にとって、そして日本の生産人口・経済全体のマンパワーの停滞につながる事態となる。介護休業制度の活用促進こそが日本社会を前進させると信じて対応することが求められる。
総務省の5年毎の調査で、2022年9月までの1年間に介護離職した人は10万6,000人と、高齢社会の進行に伴う要介護者の増加により、前回2017年の調査より7,000人増えた。一方、介護休業の取得者は親を介護する会社員らのうちわずか1.6%、介護休暇も4.5%にとどまっている。
介護離職者に理由を尋ねると。「取得しづらい雰囲気があった」が最多だった。親の介護については、個人の悩み事と受け止めたり、昇進への影響を心配したりして、「職場に言いにくい」と考える人が圧倒的に多い。このため、「職場に迷惑がかかるのがつらい」と答えている。「当然の権利」意識が浸透するには、まだまだ時間がかかりそうだ。
米価の中長期安定にゼロベースでいま政府がすべきこと
昨今のコメを巡る動きをみていると、政府は農政、コメ農家の中長期的なビジョンをゼロベースで考え直す時期にきているのではないか。
コメの減反政策の失敗、コメ生産農家から、集荷・卸・小売りに至る流通全般、JAに様々な役割・機能を担わせてきた経緯などすべて一旦、白紙に戻す。そして、この機会に生産農家の生計が成り立つような、コスト面からの適正価格、消費者が国産米ならいくらまでなら許容し購入するのか、それぞれ算出。それによって、国産米と輸入米を用途にひもづけする形で棲み分けしたらいいのではないか。例えば5kgあたり、輸入米なら3,000〜3,400円、国産米なら3,500〜3,800円といった具合に設定。この中で生産、流通、小売り、外食事業者らが採算が成り立つように政府が交通整理したらどうか。
いつまでも、様々な制約がある現状のコメに関する枠組みの中で、小手先で一部分だけを変えて運用してみても、ツギハギだらけでは制度として誰もが納得できるものにはならない。この際、中長期的視点から抜本的に見直すことが求められている。
<コメを巡る最近の動向>
2025年産米の作付けが本格化する中、集荷業者のJA(農協)や外食チェーン大手などが、今年収穫される2025年産米の「青田買い」に動き始めている。一方、国産米が高騰する中、イオンや西友など小売りや、牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスや、吉野家ホールディングス、「松屋」を展開する松屋フーズホールディングスなど外食業界では、米国カリフォルニア産、台湾産、ベトナム産など海外産米を活用する動きが加速している。
日本人の主食であるコメは、消費者から味や品質面で厳しい目が向けられ、国産信仰は根強い。だが、価格が昨年の2倍を超える水準で高止まりしたままでは、多くの消費者はさすがに背に腹は変えられず、国産品に比べ割安の海外産にも一定の評価が集まり、適性用途を形作りつつある。
こうした状況を踏まえて、卸売業者や商社による海外産米の輸入拡大の動きも活発化している。コメ卸大手の神明は7月頃までに約2万トンを輸入する予定で、すでに大半は成約済みという。総合商社の兼松も輸入量を当初予定していた年間1万トンを2万トンに引き上げる方向で検討しているという。
遅すぎる日産経営陣の決断 目覆う経営の”迷走”
日産自動車が2025年3月期で最終利益6,708億円という過去3番目の赤字額計上に陥った業績を踏まえて、大規模なリストラ策を公表した。骨子は国内外の工場閉鎖と人員削減だ。
2027年度までに世界に17ある完成車工場のうち7工場を閉鎖する。神奈川、栃木、福岡の3県に計5つある国内工場も対象になる。また、世界各国の拠点で働く従業員の15%に相当する2万人規模の人員削減も行う。
しかし、深刻な業績悪化が伝えれ、経営再建に向けた施策の必要性が指摘されながら、今回のリストラ策公表まですべての経営判断が遅い、いや遅すぎるのだ。単独では今後生き残りが難しいと判断した日産は、2024年12月にホンダとの経営統合方針を公表し、100年に1度と言われる変革期に臨む戦略だった。
だが、わずか1カ月半で破談となった。日産の施策に全くスピード感がないことにしびれを切らし、早急な対応を求めたホンダの意識と対照的だった。すべて日産の経営陣の危機意識の欠如といえる。このときこの”末期的”大赤字会社に、いまや何の助けにもならない、邪魔なだけの過去の名門、大会社意識が邪魔をし、大鉈を振るえなかった。いや経営陣に”泥を被れる”救世主的人材がいなかったため、”迷走”を続けることになった。この間の無策ぶりは目を覆うばかりだ。経営陣はじめ従業員にも徹底した意識改革が求められる。
今回公表されたリストラ策が断行され、生産・販売体制がスリム化されても、そこはようやくスタートラインにすぎない。本来のメーカーとして、消費者を引き付ける「売れる車」の開発、商品開発力の強化を進めていくしかない。中長期的には電動車の開発が求められる。ただ、これには巨額の研究開発費が必要だ。そこでは本気の新たな提携戦略が俎上に上ってこよう。
トランプ、プーチンの所業は前時代的, 19世紀の悪しき遺物
長年にわたり構築してできた、世界の民主主義に基づく既成秩序を、自分勝手な高関税政策で全世界を振り回して、世界同時不況に陥りかねない現状をつくり出したトランプ米大統領と、ウクライナ侵略戦争を仕掛けたプーチン大統領の所業はどれだけ非難・批判しても、し尽くしきれない。両大統領は、単刀直入にいえば前時代的、19世紀までの権力政治の権化、いまや地球から根絶させなければいけない前時代の”遺物”だ。
国際法の規範にとらわれず、大国が自国の利害に基づいてのみ行動する。それによって甚大な影響を受ける、様々な人々を一顧だにしないプーチン治政。一方、米国はそんな国ではなかったはずだが、トランプ政権になって、その傾向が前面に出てきた。もはや手の施しようがない。両氏の”岩盤”支持層が一刻も早く覚醒し、非人間的施策の数々に”NO”を突きつけ、離反することを願うばかりだ。
孤立死2万1,856人, 無縁遺体4万1,969人 高齢社会の現実
孤立死2万1,856人、引き取り手のない遺体4万1,969人、これが避けて通れない、日本が直面する高齢社会の現実だ。今回、国として初めて孤立死の人数を推計した。内閣府の推計によると、2024年に自宅で一人暮らしの人で死後8日以上経過して発見された、いわゆる「孤立死」は2万1,856人。また、厚生労働省の推計によると、2023年度に引き取り手がなく自治体が火葬などした遺体は4万1,969人で、2023年の全死亡者数の2.7%にあたる。
孤立死2万1,856人を年齢別にみると、80代以上4,207人、70代8,321人、60代5,409人、50代2,740人、40代以下1,046人となっている。予想外に70代が最多となっているほか、60代以上が全体の82%を占めている。今回の推計数で注目されたのが、孤立死・孤独死が単身高齢者に限らず、数では中高年層に比べ少ないが、20代・30代の間でも近年、増えてきていることだ。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年には全5,261万世帯の44.3%にあたる2,330万世帯が単身世帯となる。しかも65歳以上で一人暮らしの男性のうち未婚者の割合は約6割と見込まれている。これが現実化すれば、冒頭に記した孤立死や引き取り手のない遺体が増え続けることになる。
人生100年時代、誰しも高齢になっても心豊かな暮らしを願うが、「煩わしいから」と地域との関わりを簡単に途絶しては、孤立死や無縁遺体”予備軍”になるリスクが高まることを肝に命じることだ。国として、自治体として早急な対策が求められる。