トランプ米政権のレビット大統領報道官が3月11日、記者会見で貿易相手国が高関税を設定している代表的な品目として「日本のコメの関税は700%もある」と名指しで批判した。このショッキングな数値を含めたニュースは全世界に配信された。
さて、この報道に日本政府はどう対応するのか?引用した数字は、国が一定量を無税で輸入する仕組みを考慮せず、関税率も10年以上前の古い水準をベースにしているとみられる。ただ、だからといって、林官房長官談話の「米国政府関係者の発言の逐一にコメントは差し控える」としたうえで、「米側と意思疎通を図りたい」などの軽い、そして”超甘い談話”だけで済ませる問題ではあるまい。
国益を守る立場に照らして言えば、間髪入れずに、きちんと「どの部分が、どう間違っていますよ」と指摘し、釈明を求めないと、それが誤解を受けた国としてあるべき、いや取るべき対応だ。
そうしなければ、報道がそのまま流布され、他国には事実のように受け止められてしまうことを肝に銘じておくべきではないか。それでなくとも、トランプ政権に共通したことだが、実態や経緯を十分に把握せず、強引に、間違った主張を繰り返す場面が多いことを忘れてはいけない。1報道官の単純ミスとか、当事者を更迭したくらいでは決して済まされない”重い”問題だ。
「ズームアップ」カテゴリーアーカイブ
「偉大な米国」目指す国が違法な侵略者に手を貸すのか
米国のトランプ大統領は3月4日、施政方針演説で「米国を再び偉大に」の自身のスローガンに沿った外交方針を打ち出した。歴代大統領とは全く一線を画し、自由貿易や法の支配などで国際秩序を守るといった意志は一切示さず、関税や威圧で他国を服従させようとする姿勢だけが目立った。そんなやり方が「米国を再び偉大に」するとはとても思えない。
停戦に向けたウクライナへの対応も然りだ。このままでは国際法を公然と破って他国を侵略するロシアに、米国が手を貸すことになる。トランプ氏がロシアのプーチン大統領の言いなりになったとの批判は免れないだろう。世界の人々は、そんな国を偉大な国とは誰ひとり認めないだろう。そして、トランプ氏のやり方は、米国が長い時間をかけて築いてきた国際的な信頼や地位をみすみす手放すことになり、ロシアだけでなく、抑え込みたいはずの中国を利するだけだ。そのことをトランプ氏は本当に分かっているのか。
東北新幹線また走行中に連結器外れ停車 原因究明の徹底を
JR東日本が運営する東京発新青森・秋田行きの、走行中の東北新幹線「はやぶさ・こまち21号」に3月6日、連結器が外れ、緊急停止するトラブルがあった。乗客640人にケガはなかったが、多数の新幹線に運休や遅れが生じ、約15万人に影響が出た。
この「はやぶさ・こまち」は昨年9月にも走行中に連結器が外れるトラブルがあった。半年の間に同じトラブルが2度も発生。これでは前回の調査、そして原因究明が甘かったといわれても仕方あるまい。多くの乗客を高速で輸送する新幹線が走行中に突然分離することなど、あってはならない。一歩間違えば、大事故に繋がりかねない。
日本の鉄道の技術力は、世界に高く評価されている。とりわけ新幹線については運行管理面を含めて突出している。そんな評価にあぐらをかいてはいないか、慢心はないか。効率やコスト優先で、現場に無理やしわ寄せが生じていないか。鉄道の生命線の安全のため、今度こそ徹底した原因究明に時間をかけ、再発防止に努めることが強く求められる。
同社は8日、当初9日までとしていたはやぶさ・こまち連結者の運転取りやめを14日まで延長すると発表した。
”裸の王様”関税 報復応酬 関税発動 米国経済に跳ね返る
米国のトランプ政権は3月4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税措置を発動、中国からの輸入品にも10%の関税を上乗せした。これに対し、中国政府やカナダ政府は直ちに対抗措置を表明。互いに関税をかけ合う貿易戦争に突入した。
トランプ氏は貿易赤字の解消、そして当該国内産業の保護を掲げるが、この貿易戦争の決着はそれほど簡単ではない。関税発動の影響は米国経済に跳ね返る。米国は自動車部品輸入の約5割をカナダとメキシコに依存する。今回の両国への25%の関税発動により、米国の新車価格は3,000ドル(約45万円)上昇する。
米国の主要メディアは3月3日、カナダとメキシコに25%、中国に追加関税が課されることで、米国内の電気自動車(EV)価格は1万2,000ドル(約180万円)上昇する可能性があるとの見方を報じている。その結果、一部車種では採算が取れなくなり、生産が停止する恐れもあると指摘している。自動車関連業界だけではない。全米レストラン協会からも懸念の声が挙がっている。関税によってレストラン業界で120億ドル(約1.8兆円)以上の損失が発生するとして、見直しを要望している。
これでは国内産業を守り、海外から大きな投資を呼び込み雇用を創出したいーーなどの思いがチグハグなまま。場合によっては本末転倒となりかねない。
報復関税の応酬はサプライチェーン(供給網)の混乱を引き起こし、貿易の縮小や雇用の喪失を招くリスクが大きい。トランプ氏は自分が下す政策変更にこうしたマイナスがあること、米国経済への跳ね返りを考慮したうえで施策を講じているのか?いや、そうではあるまい。いえば、機嫌を損じて罵倒されるのがオチだから…。第2期政権としてスタート、6カ月ぐらいで大きな成果を上げたい気持ちが強いトランプ氏は、前のめりで次々と施策を繰り出す。側近は、きちんと施策のメリット、デメリットを分かりやすく伝えないのだろう。いまやトランプ氏は”裸の王様”になりつつあるのではないか。
百条委報告書 兵庫県知事に「説明責任」では追及不足
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会は3月4日、県の対応について「大きな問題があった」と総括する調査報告書を公表した。
報告書では「総括」として、告発文書で示された7項目の疑惑のうち、パワハラや一部贈答品の受領などの疑惑に関して「一定の事実が確認された」とした。県の内部告発への対応は「客観性、公平性を欠いており、行政機関の対応としては大きな問題があった」と指摘している。
ここまで結論付けながら、知事に対してはさらっと「説明責任を果たしてもらいたい」と流してしまうのか?百条委の報告書に法的な拘束力がないことは百も承知だが、死者まで出した問題の根源に照らして言えば、知事に対するペナルティや、本来知事が取るべき県民に対しての責任の取り方を例示すべきであった。
報告書には、明らかに事の重大性に鑑みた厳しさ、追及姿勢が足りなかったといえよう。踏み込み不足のこの内容では、認識の違いで、「当時の私の思いや事実認定では、私の判断には間違いはなかった」と、頑としてルール破りの事の重大性を認めなかった知事だけに、軽い釈明・謝罪で幕引きとなりそうだ。兵庫県民は果たしてそれで納得するのか。
食糧安全保障からコメ減反・生産調整策の抜本的見直しを
コメの価格高騰が一向に収まらない。スーパーの平均店頭価格は前年から約9割も上昇したままだ。値上がりの背景には、一部業者による投機目的の買い占めや売り惜しみがあるとされる。流通の目詰まりがあるなら、政府による備蓄米の放出量の上積みをためらうべきではない。
今回、日本人の主食であったはずのコメの不足が表面化、なぜ”令和のコメ騒動”とでもいうべき事態になったのか。端的にかつ突き詰めていえば政府の減反政策、生産調整政策の失敗だ。これを抜本的に見直しを図るしかないのではないか。食糧安全保障面から考えると、零細小規模の農家を別にすれば、米作農家は国として守っていかなければならない。欧米先進国などと比較すると、日本の食料自給率は極端に低い。農業の機械化・自動化で従事者を守らなければ、農業は衰退する。さらなる耕作放棄地の増大は亡国を意味する。
政府はコメ価格の安定を図るため、2018年に長らく続いた減反政策を廃止して以降も、転作に補助金を出して生産を調整している。しかし今回、需要の急増に柔軟に対応できない問題もすでに明らかになっている。
コメ農政は本来、生産者が一定の利益を確保でき、消費者にも過度な負担とならないよう、価格の安定を図ることが大前提だ。この大原則に沿った農政に立ち返る農政の大転換が求められる。
エセ民主主義の国・米国を辛うじて救った野党・民主党
トランプ米大統領が2月28日、米ホワイトハウスにおけるウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談で、低俗な”怒鳴り合い”(米メディア)を繰り広げたことを受け、野党・民主党は「米国の恥」とトランプ氏を一斉に批判した。
トランプ氏の独善的な発言や施策で、世界の政治・経済に悪影響が広がり、米国という国はこんな国だったのか?ご都合主義・エセ民主主義の国というレッテルがふさわしい米国の、一部の勢力の人たちにも辛うじて、そんな風評を返上する、人としての”良心”があった。
共和党・民主党の二大政党制で世界のリーダー的役割を務めてきたはずの米国。そのうちの共和党は、”攻撃””攻撃””攻撃”で相手を罵倒する形でしか対峙できないトランプ氏の登場で全く変質。人として全く品のない最下等の3流国の政党に成り下がった。
中国籍 産総研元研究員のデーター漏洩 ”厳罰”で不正防止を
日本は産業スパイにどうしてこんなにもあまいのか?こんなことが通れば、日本の技術開発の研究拠点をターゲットにした、様々な国々からこれからもどんどんスパイ活動の対象になる事件が起こるのではないか?検察や司法関係者は、この裁判の意味を本当に理解しているのか?なぜこの種の犯罪には別枠の厳罰主義を取り入れないのか?と問いかけたくなる案件があった。
国立研究開発法人、産業技術総合研究所(所在地:茨城県つくば市、産総研)の研究データを中国企業に漏洩したとして、不正競争防止法違反(営業秘密の開示)に問われた中国籍の元主任研究員、権恒道被告(61)に対し、東京地裁は2月25日、わずか懲役2年6月、そして執行猶予4年、罰金200万円の判決を言い渡した。
高度な技能や知見を持つ外国人材であっても、法やルールは当然順守するのが当たり前。こんな時代だからこそ、外国人、日本人を問わず、法やルールを破った人には、これまでとは一線を画した法的措置が必要だ。再発防止の最善の方法はこれまでの3〜5倍の重罪扱い、まして執行猶予などはありえないと思う。
維新兵庫県議の意識の低さ露呈 問われる維新の党体質
日本維新の会の兵庫県議会議員、岸口実、増山誠、白井孝明の3氏が2月23日、昨年の兵庫県知事選挙の期間中、政治団体代表の立花孝志氏に真偽不明の文書や、非公開の百条委員会の音声を提供していた問題で、記者会見し経緯を説明するとともに、釈明した。
問題は山ほどある。①そもそも、この3氏、立花氏がどのような人物か、その履歴や言動を知らないわけがない。そんな人物と接触することすら誤解を招く可能性があると考えなかったのか?②そんな人物に文書や音声データを提供したらどのような使い方をされるか、分からない?③そのことでどのような問題が起こるか?ーーといった点について考えなかったのかーーだ。
これらのことは明白な有権者への裏切りであり、単なる処分で済ませられる問題ではない。日本維新の会の兵庫県議の意識レベルはこの程度なのか?と思われても仕方がない。今回の県議のしでかしたことは、それほどの深刻な問題だ。
したがって、今回の問題をどう決着させるのかは党「日本維新の会」に投げかけられた宿題だ。除名、議員辞職勧告だけでなく、維新の兵庫県議会幹部の刷新まで含めた検討が求められるのではないか。大阪に次ぐ維新の地盤であるはずの足元で、きちんとしたルール・規律の徹底なくしては、”凋落”維新に歯止めはかからない。
トランプ氏は「プーチン氏の術中にはまり操られている」
ロシアのウクライナ軍事侵攻から3年の2月24日の国連総会に向け、ウクライナとEU(欧州連合)がロシア軍の撤退などを求める決議案への支持を求める中、米国は”侵攻”などロシアへの批判的な文言なしに「紛争の早期集結」を要請する別の決議案を提出し、双方の”亀裂”があらわになる事態となっている。ロシアのプーチン大統領にはこれ以上ない、大歓迎の状況だ。
なぜ、このような事態に陥ったのか?この点について、軍事アナリストらは、トランプ大統領が就任早々(3〜6カ月)にも公約に掲げた案件を実現したいとの思いから焦り、戦略を誤ったとみている。プーチン大統領との電話会談の後、トランプ氏は「彼(プーチン氏)は集結させたいと思っている」、「奪われたウクライナ領土の回復は見込めない」、「ウクライナのNATO加盟はない」などプーチン氏のすべての意向を容認、代弁した発言に終始している。さらに米国第一主義を掲げるトランプ氏は、バイデン前政権時代の支援分の見返りを求め、ウクライナの天然資源レアアースの提供を求めたが、ゼレンスキー大統領に回答を保留されると、もはや交渉の余地なしとばかり、頭越しの交渉に切り替えた。
軍事アナリストは、トランプ氏は「交渉の初期段階に、どうして手の内を見せてしまったのか?」と首を傾げる。ディール(取り引き)に長けたプロを自認する人物だからこそかも知れないが、「これではプーチン氏に利するだけ」とみる。では、トランプ氏に巻き返し策はあるのか。いや「ともかく戦争を集結させることだけが目的」なのかもしれない。
プーチン政権の1期目で首相を務め、プーチン氏の思考法を熟知するミハイル・カシヤノフ氏は「トランプ氏は、ここまで見る限り早期に目に見える形で成果を挙げたい思惑が先走り」し過ぎた。その結果、「トランプ氏はすでにプーチン氏の術中にはまり、操られている。プーチン氏が1枚上」と断言する。
トランプ氏の大暴走を世界は見ているだけなのか。これからウクライナは、EUはどう対応するのか?打てる手は少ない。