伊藤博文が旧満州(現在の中国東北部)のハルピンで独立運動家の安重根に射殺された事件をめぐり、夏目漱石が満州の邦字紙に寄せた所感が見つかった。漱石が寄せた記事は、1909年11月5日付と翌6日付の「満州日日新聞」の「韓満所感」。漱石はこの事件に、「稀有の兇変」と驚き、ただ「余の如き政治上の門外漢は遺憾ながら其の辺の消息を報道するの資格がない」と記し、距離を置いて見ている。漱石の全集には未収録の資料という。見つけたのは作家の黒川創さん。黒川さんはこの記事を手掛かりに時代を考察した小説「暗殺者たち」を執筆、1月7日発売の文芸誌「新潮」2月号に掲載されている。
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ツタンカーメン暗殺?のアイの名刻んだ指輪出土
日本のアコリス調査団によると、エジプト中部のアコリス遺跡から紀元前1320年ごろに、ツタンカーメンの次に第18王朝の王(ファラオ)だったアイの名が刻まれた指輪が出土したことが分かった。出土したのは焼き物の青い指輪で、4分の3ほどが欠けていた。大きさは縦約2.2㌢、幅約1.4㌢。アイはツタンカーメンを暗殺したとの俗説もあるが、在位が4年と短く、関連する遺物は極めて少ない。したがって、謎の多い古代エジプト王の治世を知る手がかりになるとみられる。アコリス遺跡は、カイロから南に約250㌔のナイル川東岸にある都市遺跡。紀元前2300年代の前半から約3000年間にわたり、人が生活していた痕跡が残っている。
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石器づくりの”工房”発見 長崎・福井洞窟
長崎県佐世保市教育委員会は12月18日、同市の福井洞窟で、旧石器時代末期(約1万8000~1万6000年前)の石器や炉の跡が出土したと発表した。縄文時代草創期の石器や土器、同早期の黒曜石の剥片も見つかり、同じ洞窟を複数の時代で繰り返し利用した様子が分かる貴重な発見という。見つかったのは細石刃や石核など。旧石器時代末期から縄文時代にかけて石器の製作技術が進歩していく過程も追えるという。炉の跡は3基見つかり、最大で幅約75㌢、長さ約67㌢だった。旧石器時代末期より古い地層からは、幅2㍍、長さ1.5㍍の範囲で、こぶし大から直径50㌢程度の石を地面に敷き詰めたとみられる跡が見つかった。何に使われたかは分からないという。