月別アーカイブ: 2013年5月

「勧進帳」の舞台・石川県小松市に歌舞伎の観光施設

「勧進帳」の舞台・石川県小松市に歌舞伎の観光施設
 歌舞伎十八番「勧進帳」の舞台として知られる「安宅の関」がある石川県小松市で4月30日、豪華な曳山(ひきやま)や歌舞伎の歴史資料を展示する観光交流施設「こまつ曳山交流館みよっさ」の竣工式が開かれた。5月1日にオープンした。入場は無料。竣工式には、同市で児童に歌舞伎を指導した経験があり、2月に死去した市川団十郎さんの妻、堀越希実子さんも出席。テープカット後に館内を見学した。北陸新幹線・長野-金沢間の開業を2015年春に控え、小松市はみよっさを前面に打ち出し「歌舞伎の町」としてPRすることを計画している。

平安貴族の歌会遊びを再現 京都・城南宮で「曲水の宴」

平安貴族の歌会遊びを再現 京都・城南宮で「曲水の宴」
 京都市伏見区の城南宮で4月29日、平安時代の貴族が催した歌会遊びを再現した「曲水の宴」が開かれた。曲水の宴は古代中国で始まったとされる宮中行事。古式に則り、庭園を流れる「遣水(やりみず)」という小川に沿って、平安装束を身に纏った男女7人の歌人が座り、短冊に歌題「海辺春朝」にちなんだ和歌を詠む。観光客はひととき、華やかな歌会の”雅(みやび)”の情景を楽しんだ。

富士山が国内17件目の世界文化遺産へ 鎌倉は外れる

富士山が国内17件目の世界文化遺産へ 鎌倉は外れる
政府は4月30日、世界文化遺産への登録を目指す「富士山」(山梨県、静岡県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関から登録を求める勧告が出たと発表した。構成資産の一つ、三保松原(静岡市)の除外が条件。ユネスコが6月にカンボジアで開く世界遺産委員会が最終決定する。登録されれば国内で17件目の世界遺産になる。
 しかし、政府が同様に推薦していた「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は、ユネスコから不登録が適当との勧告を受け、登録は難しい情勢となった。鎌倉は茶や禅などの武家文化を生み出したとして推薦されていた。

司馬遼太郎氏から池波正太郎氏宛ての親愛の書簡発見

司馬遼太郎氏から池波正太郎氏宛ての親愛の書簡発見
 「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人 藤枝梅安」「真田太平記」などで知られる人気作家、池波正太郎さん(1923~90年)の東京都内の自宅から、池波さん宛ての手紙やはがき計113通が見つかった。このうち、4通は国民的作家の司馬遼太郎さん(1923~96年)からのもので、文面から池波さんへの親愛の情がうかがわれる。2人は同年生まれで、直木賞を受賞したのも同じ60年。それぞれが住む東京と大阪を行き来するなど親交があった。今回見つかった手紙は作家や俳優ら76人分。池波さんの自宅書斎の戸棚にまとめて保管されていた。

野間宏さんの未発表小説「狙撃」自筆原稿発見

野間宏さんの未発表小説「狙撃」自筆原稿発見
 「真空地帯」や「青年の環」などで知られる作家、野間宏さん(1915~91年)の未発表小説「狙撃」の自筆原稿が見つかった。中央公論社(当時)の元編集者、水口義朗さん(78)が保管していた。1960年ごろ書かれた作品とみられる。「狙撃」は400字詰め原稿用紙52枚。東京・兜町が舞台で、株を買い占めて会社を乗っ取ろうとする総会屋が敵対グループとトラブルになり、命を狙われる-といった内容。61年、深沢七郎さんの小説「風流夢譚」をめぐり、中央公論社社長宅を右翼の少年が襲った事件があり、当時は「狙撃」のような題名の小説を発表できる状況ではなかったため、見送られたのではないかと推測される。「週刊読書人」紙で4月26日発売号から3週連続で掲載される。

安部公房の弟を励まし気遣う手紙30数通が見つかる

安部公房の弟を励まし気遣う手紙30数通が見つかる
 「壁」「他人の顔」「燃えつきた地図」「砂の女」「箱男」などの作品で知られる作家、安部公房さん(1924~93年)が、47年から51年に芥川賞を受賞する前までの間に、札幌市に住む実弟の井村春光さんへ宛てた手紙など30数通が井村さんの自宅で見つかった。安部さんは医者を目指して苦学している弟を激励、貧しい中でも金銭的な支援を続けていたこと、そして送金できないことを詫びる文面もある。また、自身の創作への思いも率直に語り、ストイックに芸術を追求する心情を認めている。49年のはがきでは、初期の短編「デンドロカカリヤ」を書いたと報告、技術的にも自信がつきました-と興奮気味に伝えているのが印象的だ。

奈良県桜井市の大福遺跡で筒状銅器が出土

奈良県桜井市の大福遺跡で筒状銅器が出土
奈良県桜井市文化財協会は4月22日、同市の大福遺跡で弥生時代後期~古墳時代前期(2~3世紀)の青銅器「筒状銅器」が出土したと発表した。長さ約9㌢、直径約2㌢で、細長い透かし穴や丸い穴が開いていた。愛知県などで10例が出土しているが、用途は不明という。儀礼用の槍(やり)の柄の末端(石突=いしづき)などの説がある。

993年にも宇宙線急増 名大チームが屋久杉で確認

993年にも宇宙線急増 名大チームが屋久杉で確認
 名古屋大・太陽地球環境研究所の増田公明准教授らの研究チームは4月23日付の英科学誌電子版に、地球に到達した宇宙線が993年に急増し、宇宙環境が大きく変化していたことを確認したと発表した。同チームは775年にも同様の現象が起きていることを明らかにしており、今回が2例目。2例とも太陽表面で起こる爆発現象の「太陽フレア」の大規模な発生により起きたものと推測している。
 チームは樹齢1900年の屋久杉の年輪を解析し、取り込まれた炭素濃度を測定。その結果、宇宙線が大気と反応して生成され、太陽の活動周期の11年間で通常0.3~0.4%程度の変動しかない放射性炭素「炭素14」の大気中の濃度が、993年に0.9%高まったことを発見した。

江戸初期の「大津絵」最古の作品か 博物館が発見

江戸初期の「大津絵」最古の作品か 博物館が発見
 江戸初期に描かれた「大津絵」の最古とみられる作品を昨年11月、東京都内の古美術商がオークションで落札し、保管していたのを大津市歴史博物館職員がこのほど発見、確認した。見つかったのは天照大神(あまてらすおおみかみ)の化身が描かれた「雨宝童子(うほうどうじ)」と呼ばれる作品。縦約70㌢、幅約30㌢。同博物館では1620~40年ごろの作品とみている。
 大津絵は江戸時代に旅土産として人気を集めた神仏などの絵画で、高価な仏画などを買えない庶民向けに描かれた民俗絵画。安価で大量に制作する必要性があったため、徐々に簡素な作風に変化していったことが特徴とされている。

文化庁が長崎の教会群に世界遺産に「推薦可能」判定

文化庁が長崎の教会群に世界遺産に「推薦可能」判定
 文化庁は4月19日、世界文化遺産への推薦を待つ国内候補10件を対象に、保全態勢の強化など関係自治体の準備の進捗具合を評価し、文化審議会に報告した。今夏の推薦決定を目指す4件のうち、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)は文化財の管理計画が整っているとして、「推薦可能」と判定。他の候補は「課題があり、現時点では困難」などとしている。