月別アーカイブ: 2013年10月

バタビア・アイヌの交流軸の新作取材で津島佑子さん初訪問

バタビア・アイヌの交流軸の新作取材で津島佑子さん初訪問
 作家の津島佑子さん(66)がこのほど、新作の取材で初めてインドネシアを訪れた。それは、17世紀、アジア広域で交易を展開したオランダの東インド会社の測量船が、バタビア(ジャカルタ)を出発し、日本の北方でアイヌ人と交流していた。そんな史実に基づく、日本の鎖国時代、バタビア、長崎、北方のアイヌの人々などを絡めた壮大なスケールで描く小説になるはずだ。そのため、小説の舞台となるオランダ植民地時代の面影が残る旧市街コタ周辺などを巡り、東インド会社の痕跡を丹念にたどった。
 オランダの東インド会社は1602年、バタビアで設立された世界初の株式会社とされる。植民地経営や外国との条約締結、自衛戦争遂行など準国家的な権限を持ち、バタビアを拠点に香料貿易を独占、コーヒーの強制栽培にも乗り出していた。
 小説の核に想定されているのは、江戸幕府の鎖国時代に日本の北方ルートを探索した東インド会社の測量隊だ。カストリカム号とプレスケンス号の2隻は1643年、バタビアを出発。国後島と択捉島の間の海峡を通り、サハリンまで行き、根室の海岸では2週間ほど停泊、船舶修理や食料補給などをした。人なつっこいアイヌの人々と鮭や木材などの物々交換も行われたという。
 津島さんは滞在中、インドネシア大学で開かれた講演会で震災以降、日本の作家が直面する困難な状況や早死にした文豪・太宰治に次女として母子家庭で育った女性の家族観などについて語った。

 

域内に活動拡大を 秋野政務官がスラバヤごみ処理施設視察

域内に活動拡大を 秋野政務官がスラバヤごみ処理施設視察
 環境省の秋野公造政務官は9月26日、日本の福岡県北九州市と東ジャワ州スラバヤ市の協力で建設された廃棄物の中間処理施設を視察した。ベトナム、マレーシアの高官も参加した。同施設は北九州市の西原商事がごみの分別工場と堆肥化処理施設を建設した。秋野政務官は、施設を拡大しスラバヤ市のごみ問題の解決に貢献することを目指し、ASEANの他の都市にもこのような取り組みを拡大していきたい-と話した。スラバヤ市のリスマ市長は、開かれた日・ASEAN閣僚級対話で同市の環境都市の取り組みを紹介したほか、10月下旬に北九州市で日本政府と経済協力開発機構(OECD)が開く国際会議に出席し、同市の活動を発表する。

2年目のインドネシア派遣開始 経産省のインターン制度

2年目のインドネシア派遣開始 経産省のインターン制度
 経済産業省の若手社会人・学生派遣事業「国際即戦力育成インターンシップ事業」で、2年目のインドネシア向け派遣が始まった。同事業は年々重要性が高まる人材のグローバル化を後押しする試みの一つ。インドネシアに派遣が決まったのは19人。9月27日には25日までに派遣された15人の懇親会が南じゃかるた・スミットマスの日本食料理店「バサラ」で開かれ、経産省の赤羽一嘉副大臣が訪れ激励した。
 今年度の事業は海外産業人材育成協会(HIDA)と日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施。アジアを中心とする開発途上国へ20~35歳の学生や社会人を派遣し、インフラ輸出を支える人材の育成や両国の関係強化を図る。予算は昨年の2倍の7億5000万円まで拡大し、1人当たりの滞在費補助は月13万円。派遣者数も昨年の86人から今年は200人まで引き上げる計画だ。一次募集で104人が決定、現在二次募集している。

「日・イは運命共同体、友好を深めたい」次期駐日大使

「日・イは運命共同体、友好を深めたい」次期駐日大使
 次期駐日インドネシア大使に決まったユスロン・イフサ・マヘンドラ氏(55)はこのほど、今後の日本・インドネシアの関係について所信を披瀝した。じゃかるた新聞によると、同氏は日・イの政治や経済、社会など多岐にわたる分野について、流暢な日本語で説明。今後の両国関係について「日・イは運命共同体として互恵関係を構築し、さらに友好関係を深めていく必要がある」と強調した。
 同氏はインドネシア大学政治社会学部卒業後、1990年、筑波大に留学。同大で法学修士号、国際政治経済学博士号取得。日大国際関係学部講師、日刊紙コンパスの東京支局長を務めるなど計13年間にわたる日本滞在経験を持つ知日家。
2003年の帰国後、メガワティ政権で工業商業相補佐官。04年、月星党(PBB)から出馬し、国会議員に初当選。国会第1委員会副委員長として防衛を担当した。同氏は10~11月に着任の予定。

伊達政宗の遣欧使節派遣から400年 イベントで盛り上がる

伊達政宗の遣欧使節派遣から400年 イベントで盛り上がる
 支倉常長が仙台藩主・伊達政宗の命を受け、慶長遣欧使節を率いてスペインに向け出帆したのは1613年(慶長18年)10月28日 。今年は400周年の節目の年にあたる。両国で交流記念事業が相次ぎ、中でも日本では仙台市や石巻市など宮城県内でイベントが盛り上がりをみせる。
 石巻市の渡波(わたのは)の高台にあるサン・ファン館(宮城県慶長使節船ミュージアム)。東日本大震災の被害を受けて休館中だが、11月3日の再開に向け復旧工事が急ピッチで進められている。慶長使節の渡航船「サン・ファン・バウティスタ号」の航海シミュレーションシアターなどがある。同館近くの入り江には再建工事中のサン・ファン号の復元船(総トン数500㌧)が11月3日の公開を静かに待っている。松島の庭園の美しい円通院近くの「みちのく伊達政宗歴史館」では慶長使節パネル展を実施中だ。
 仙台城三の丸跡に立地する仙台市博物館でのお目当ては今年6月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録された慶長使節の国宝3点。支倉常長像、ローマ教皇パウロ5世像、ローマ市公民権証書だ。慶長使節関連の国宝47点も常設展示されているが、10月4日~11月17日にはスペイン、イタリアから貸与された資料も含めて特別展が開かれる。このほか、仙台城跡に立地する青葉城資料展示館でも、来年3月末まで慶長使節記念の写真展が開かれている。

イコモスの調査員が富岡製糸場など現地調査を開始

イコモスの調査員が富岡製糸場など現地調査を開始
 2014年の世界文化遺産登録を目指す群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の保全状況などを調べるため、国際記念物遺跡会議(イコモス)の調査員による現地調査が9月25日、始まった。イコモスはユネスコの諮問機関で、調査員は中国国立シルク博物館の館長を務める絹産業専門家の趙豊氏。文化庁や群馬県職員ら約20人とともに富岡製糸場を訪れ、赤レンガの繭倉庫などを視察した。近代養蚕農家の原型となった同県伊勢崎市の田島弥平旧宅も調査する予定。富岡製糸場は1872年に設立された官製製糸場。 

台風で惨禍の京都・嵐山渡月橋を元の姿に 流木を撤去

台風で惨禍の京都・嵐山渡月橋を元の姿に 流木を撤去
 京都に「大雨特別警報」が出た台風18号による大雨で、大きな被害に遭った京都の観光名所・嵐山で9月26日、渡月橋の橋脚や杭(くい)に絡まった流木やごみを重機を使って取り除く作業が始まった。午前8時過ぎ、京都市が委託した業者が、渡月橋の上に止めたクレーン車で小型重機を持ち上げて川に下ろし、重機が何重にも絡まった木の枝をはぎ取った。作業は27日までに終了予定。市の担当者は「渡月橋を元の姿に戻し、早期の復旧をアピールしたい。多くの方に、以前のように美しい景観を写真に撮っていただければ」と話している。

5世紀の文字が刻まれた須恵器 石川県・和田山23号墳から出土

5世紀の文字が刻まれた須恵器 石川県・和田山23号墳から出土
 石川県能美市教育委員会は9月19日、同市の能美古墳群の和田山23号墳(国指定史跡)から出土した古墳時代中期(5世紀末)の須恵器2個に、「未」と「二年」の文字が記されていたことが分かったと発表した。同市教委によると、文字が刻まれた須恵器としては日本最古という。口径約10㌢、高さ約15㌢の小型のつぼから、約2㌢四方の「未」の文字が見つかったほか、食物を盛る高つきのふたに縦書きで「二年」(縦3.5㌢、横1.3㌢)と刻まれていた。
 文字は須恵器を焼き上げる前に刻んだとみられることから、同市教委は工人などより広い階層に文字が普及していたことを示す史料としている。須恵器は5世紀初頭ごろに朝鮮半島から伝わった。当時の北陸地方は朝鮮半島と交流があったと考えられている。須恵器の生産技術のほか、漢字や暦といった先進的な文化を、北陸の豪族が積極的に受け入れていたことがうかがえる。

2.1億年前,直径7.8㌔隕石が地球に衝突 生物の大量絶滅に

2.1億年前,直径7.8㌔隕石が地球に衝突 生物の大量絶滅に
 九州大と熊本大などのチームは9月16日付の英科学誌に、約2億1500万年前に最大で直径7.8㌔巨大隕石が地球に衝突したとの研究結果を発表した。岐阜県と大分県の地層で隕石の成分を見つけ、地球の広い範囲に降り積もったとみて大きさを推定した。その結果、生物の大量絶滅につながった可能性があるという。約6500万年前に直径10㌔程度の隕石が地球に衝突、恐竜絶滅の原因とみられており、今回はそれに次ぐ規模。
 チームは昨年、岐阜県坂祝町の川沿いで、また今年1月に大分県津久見市の海岸沿いでそれぞれ隕石衝突の痕跡を見つけた。これは「オスミウム」という金属元素で、地表では非常に少ないが、隕石には多く含まれる。両県の地層には高い濃度で含まれていた。「同位体」という成分の比率を分析すると、地表に存在するものと異なっており、隕石に含まれていたものと判断した。過去の研究から、隕石の酒類ごとに大きさとオスミウムの量には一定の関係があることが判明しており、隕石の直径を3.3~7.8㌔と算出した。重さは約5000億㌧と推定される。約2億~2億3700万年前には生物の大量絶滅が起きている。

軍艦島や八幡製鉄所など明治日本の産業革命遺産を推薦へ

軍艦島や八幡製鉄所など明治日本の産業革命遺産を推薦へ
 政府は9月17日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦する世界文化遺産の候補を「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」に決めた。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と比較したうえで選んだ理由として、菅義偉官房長官は産業革命遺産が「日本がものづくり大国となる基礎をつくった歴史を物語る」と指摘した。
 月末までに暫定版推薦書をユネスコに提出し、2015年度の世界遺産委員会で登録の審査を受ける運びだ。産業革命遺産は「軍艦島」として有名な長崎市の端島炭坑など幕末から明治にかけての重工業の発展を刻んだ施設群で構成している。福岡や鹿児島、熊本など8県にまたがり、現在も稼働している八幡製鉄所(北九州市など)や長崎造船所(長崎市)を含んでいる。