月別アーカイブ: 2013年11月

織田作之助の生誕100年祝い生国魂神社に新たな銅像

 作家、織田作之助の生誕100年を祝い10月26日、生国魂神社(大阪市天王寺区)で新たな銅像がお披露目された。生国魂神社は作之助の生家の向かいにあり、彼の幼少時の遊び場であると同時に、作品に何度も登場する。銅像は1.3㍍の立像で、愛用のマントと帽子を身につけ、師と仰いだ井原西鶴の銅像に顔を向けている。愛好家らでつくるオダサク倶楽部の会員、石田英治さんが寄贈。

京都・浄福寺 鎌倉時代に制作の秘仏 100年ぶり公開

京都市上京区の浄福寺で、秘仏「栴檀瑞像釈迦牟尼仏(せんだんずいぞうしゃかむにぶつ)」(高さ1.3㍍)と釈迦堂内部が約100年ぶりに公開されるのを前に10月29日、報道陣に公開された。一般公開は11月1~10日。秘仏は、清涼寺(京都市右京区)に祀られている「三国伝来生身釈迦如来立像」(国宝)を鎌倉時代にまねて造った最初の像とされている。釈迦堂は総ケヤキ造りで、1756年に建立。2011年から木材を解体し、修復工事をしていた。正確な記録は残っていないが、同寺関係者によると公開は約100年ぶりという。

「和食」世界の文化遺産に 社会の連帯に大きな役割果たす

 政府がユネスコの無形文化遺産に提案した「和食 日本人の伝統的な食文化」について、事前審査を担う補助機関が新規登録を求める「記載」の勧告をしたことが10月22日、分かった。登録の理由として、和食は世代から世代に受け継がれる中で、社会の連帯に大きな役割を果たしていることを挙げている。文化庁によると、過去の事前審査で記載勧告された提案が覆されたケースはなく、12月2~7日、アゼルバイジャンのバクーで開かれるユネスコの政府間委員会で正式に登録される見込み。
 食と関係する無形文化遺産としては、これまでにフランスの美食術、スペインやイタリアなどの地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコのケシケキ(麦がゆ)がすでに登録されている。無形文化遺産は世界遺産や記憶遺産と並ぶユネスコの遺産事業の一つ。

杉田玄白の漢詩2首発見 将軍家斉との面会の喜び記す

 江戸時代の蘭方医・杉田玄白(1733~1817年)が晩年、西洋医学発展の功績が認められ、江戸城での11代将軍・徳川家斉との面会を許された喜びなどを詠んだ漢詩2首が10月19日までに見つかった。直筆で1枚の紙に記していた。前野良沢らとオランダ医学書「ターヘルアナトミア」を翻訳し、日本で初めて著わされた医学書「解体新書」で知られる玄白が、医学への情熱を生涯燃やし続け、長年の苦労が報われた玄白の感激をうかがわせる貴重な史料といえる。玄白の漢詩が新たに確認されたのは、1936年に漢詩が書かれた日記を子孫が公開して以来、約80年ぶり。
 群馬県高崎市の古書店「名雲書店」の名雲純一さんが今秋、古書市で発見。京都外大の松田清教授らが、玄白の別宅名に由来する「小詩仙翁」の署名があることや、内容が玄白の日記と合致することなどから本物と確認した。

国内最古の将棋の駒「酔象」奈良・興福寺境内で発見

 奈良県立橿原考古学研究所は10月24日、奈良市の興福寺旧境内で11世紀末(平安時代)の将棋の駒「酔象(すいぞう)」など4点が見つかったと発表した。現在、主流の将棋では使われない酔象の駒としては最古。過去の出土例を約250年さかのぼり、将棋の変遷を知るうえで貴重な資料となりそうだ。今回、井戸の遺構から「承徳二年」(1098年)と書かれた木簡とともに見つかった。長さ約2.5㌢、幅約1.5㌢、厚さ約2㍉の木製。表に「酔象」と墨書きされ、裏の文字は確認できなかった。僧侶や寺の関係者が指していたとみられる。酔象は真後ろ以外の7方向に1つ動けるのが特徴。

和歌山「稲むらの火祭り」400人がたいまつ手に防災訓練

 和歌山県広川町で10月19日、江戸時代の1854年に安政南海地震で津波が押し寄せた際、収穫された稲のわらを積み上げた「稲むら」に火を放ち、村人を高台に誘導した浜口梧陵の史実を再現する「稲むらの火祭り」が行われた。祭りは将来予想される東南海・南海地震に備え、防災意識を高めようと2003年に始まった。当時の避難道となった町役場前から神社までの約2㌔を町民ら約400人がたいまつを持って移動。梧陵の子孫、浜口道男さん(70)らが稲むらに火を放つと、暗闇で住民を導く赤々とした炎が浮かび上がり、参加者は災害に備える気持ちを新たにしていた。

大阪と奈良を結ぶ最古の官道「竹内街道」で時代行列

 飛鳥時代に整備され、大阪と奈良を結ぶ最古の官道とされる「竹内街道」の誕生から1400年を迎え、街の中心部を街道が通る大阪府太子町で10月19日、時代行列が行われた。「日本書紀」には、推古天皇在位の613年に「難波より京に至る大道(おおじ)を置く」と記されている。現在の堺市から奈良県葛城市の約24㌔が整えられたとされ、国道166号は今も「竹内街道」と名が残っている。行列では地元の子供ら約50人が推古天皇や聖徳太子らに扮装して練り歩き、約1000人の見物客らを楽しませた。

竹久夢二の新聞小説の挿絵の原画6枚 新潟で見つかる

美人画で知られ、大正ロマンを代表する画家、竹久夢二(1884~1934年)が描いた原画6枚が、新潟県阿賀野市で発見された。原画は1925~26年に読売新聞に連載された小説「審判」の挿絵。2005年まで営業していた旅館「石水亭」の経営者、二瓶文和さん(87)が昨年、市に寄贈した美術品約130点の中から見つかった。審判の原画が見つかったのは初めて。原画は11月1日~12月25日、吉田東伍記念博物館で一般公開される。

和歌山の木造校舎などが重文に 戦前生まれで今も現役

 文化審議会は10月18日、現役で使われている戦前の木造建築「旧高野口尋常高等小学校校舎」(和歌山県橋本市)や、武家の崇敬を集めた古社「那須神社」(栃木県大田原市)など6件の建造物を、重要文化財に新規指定するよう下村博文文部科学相に答申した。また、秋田県横手市の増田地区2地区を、重要伝統的建造物群保存地区に選定するよう求めた。いずれも近く答申通り告示され、指定される予定。これにより建造物分野の重要文化財は計2412件(うち国宝218件)、保存地区は106地区になる。