私説 小倉百人一首 No.33 紀友則

紀友則
※紀 有友の子。貫之とはいとこの関係。

ひさかたの光のどけき春の日に
       しづ心なく花の散るらむ

【歌の背景】春、そして花を詠んだ定番ともいえる名歌。古今和歌集中の秀作で、平安朝の代表作として愛される。

【歌意】うららかな日の光が射している春の日に、どうしてこんなに慌しく桜の花は散るのであろうか。

【作者のプロフィル】紀有友の子。貫之とはいとこの関係。紀氏は名族だが、友則の官歴は不遇であった。延喜4年(904)に大内記となったのが記録に残る最後の官職。翌年61歳でなくなったとみられる。