月別アーカイブ: 2014年6月

大阪・藤井寺市の林遺跡で釣鐘の鋳造跡

大阪・藤井寺市の林遺跡で釣鐘の鋳造跡

 大阪府藤井寺市教育委員会は6月27日、同市の林遺跡で大小2基の釣鐘の鋳造跡が見つかったと発表した。出土した土器や瓦の年代から7世紀末から8世紀前半(飛鳥~奈良時代)に使われていたとみられる。

  大きい釣鐘の遺構は長辺3.5㍍、短辺3㍍の穴が掘られ、底には平瓦が並べられていた。同市教委によると、近くに7世紀後半に創建された拝志廃寺があったことから、同寺で使う鐘がつくられていた可能性があるという。

大仏次郎の生原稿発見 当時の編集者宅で

大仏次郎の生原稿発見 当時の編集者宅で

 小説『鞍馬天狗』などの作品で知られる作家の大仏次郎(1897~1973年)が59年に執筆したノンフィクション「パナマ事件」の生原稿や手紙が当時の編集者、秋山範義さん(故人)宅で見つかり、6月25日までに大仏の養女、野尻政子さん(85)=神奈川県鎌倉市=に返却された。

 野尻さんは24日、それらを大仏次郎記念館(横浜市)に寄贈。同館で近く公開される見通し。返却されたのは、週刊誌「朝日ジャーナル」創刊時に掲載され、後に単行本化された『パナマ事件』全27回分の生原稿。このほか、風間完さん(1919~2003年)の挿絵、ノンフィクション『パリ燃ゆ』の粗筋が書かれた生原稿、その取材のために赴いたパリからの手紙なども見つかり、寄贈された

大阪府がバイオ戦略 中小企業の医療参入促す

大阪府がバイオ戦略 中小企業の医療参入促す

 大阪府は医療機器開発セミナーの開催や欧州への視察などの新規事業を盛り込んだ「大阪バイオ戦略2014」をまとめた。セミナーを通じ中小製造業の医療機器への参入を促し、視察をきっかけに府内の中小・ベンチャーと欧州のバイオ関連企業の連携を目指す。関西圏が国家戦略特区に指定されたのを受け、規制緩和を活用してバイオ産業の発展に取り組む。

 セミナーは府と大阪商工会議所が協力し、第1回を7月29日に同商議所で開く。視察は府内に拠点がある企業を対象に、11月2~9日にドイツで開かれる欧州最大のバイオ産業の見本市のほか、デンマークとスウェーデンにまたがるバイオ産業集積地を回る。

介護求職者と事業者向けの支援策を強化 大阪労働局

介護求職者と事業者向けの支援策を強化 大阪労働局

 大阪労働局は6月26日、大阪府内の介護関連業種への就職を促すため、求職者向けと事業者向けの支援策を強化すると発表した。求職者には職業訓練や施設見学を伴う面接会などを充実し、事業者向けでは一緒に求人プランをつくる。介護関連は2013年秋以降、有効求人倍率が2倍を超え、人手不足感が強まっていることから、きめ細かい対策を実施する。

 求職者の支援策では職業訓練のメニューのうち、介護関連の比率を引き上げる。求職者が介護施設を見学した後に就職面接会を開くと就職率が上がる点に着目し、こうした面接会を14年度は12回以上開く。事業者向けでは、例えばハローワークの職員が求人票の書き方を助言する。

 

うどん・そうめんを東南ア向けに輸出 はりま製麺

うどん・そうめんを東南ア向けに輸出  はりま製麺

 乾麺メーカーのはりま製麺(兵庫県たつの市)は、年内にもうどんやそうめんをインドネシア、ベトナムなど東南アジア向けに輸出を開始する。経済成長に伴う“日本食”人気に対応する。すでに輸出開始している中国向けでも代理店の拡大などで販売を強化する。

 東南アジアでは現地卸を通じ、日本食店をはじめとする飲食店やスーパーに供給する。中国向けでは営業担当者の出張頻度も増やす。同社の2013年9月期の売上高は約4億円。東南アジア地域への輸出拡大を軸として1~2年後に5億円に増やすことを目標とする。

兵庫・養父市の農業委が農地許認可委譲に同意

兵庫・養父市の農業委が農地許認可委譲に同意

 兵庫県養父市の農業委員会は6月27日の臨時総会で、農地売買などの許認可権限を市長に移すことを正式に決めた。国家戦略特区の農業特区に指定された同市では耕作放棄地を集約し、民間事業者と農業再生を目指す。農業委員会の同意により、市は今後、具体的な区域計画づくりを本格化する。

低炭素への新しい試み-畑に竹炭を撒きCO2を密封

低炭素への新しい試み-畑に竹炭を撒きCO2を密封

 竹林で間伐した竹を熱して炭をつくり、堆肥に混ぜ農地に撒いて二酸化炭素(CO2)を削減しようとの取り組みがいま進んでいる。作物を育てながら、大気中のCO2を減らす「カーボンマイナスプロジェクト」だ。

 プロジェクトというが、難しい作業や約束事があるわけではない。低炭素、いや正確に表現すれば“減炭素”へのしくみはこうだ。通常、植物は光合成でCO2を吸収するが、そのCO2は植物が枯れて分解すると再び大気中に戻ってしまう。ところが炭にすると、CO2を炭素の形で固定できる。そこで炭を農地に撒けばCO2を土壌中に閉じ込められるというわけだ。

 京都府亀岡市などが2008年から始めたプロジェクトでは、農地1000平方㍍当たり200~300㌔㌘のCO2のマイナスを実現。自動車でガソリン約100㍑を節約するのと同等以上の効果をあげている。これまでにCO2換算で約50㌧を農地に埋めた。

 最も知恵を絞ったのは費用を賄うしくみ。プロジェクトには20軒以上の農家が参加し、炭素を埋めた農地でネギやジャガイモ、小松菜などを栽培。これをブランド化して地場のスーパー2店で販売する。京都銀行や大和ハウス工業などの支援も得て、年間売上高は約1000万円を達成した。取り組みを主導する立命館大学の柴田晃客員教授は「難しい技術は必要ない。途上国でも展開できる」と、この減炭素プロジェクトに意欲的だ。

 竹に続く動きもある。梨の名産地、千葉県柏市では剪定(せんてい)した梨の枝を炭にして農園に撒く試みを進める。新しい梨のブランド価値をつくり、CO2削減にもつなげる。炭は土壌の水分や養分を保ちやすく、全国に広がる可能性があるという。

京丹後市の農業公園 2015年4月に改装開業へ

京丹後市の農業公園 2015年4月に改装開業へ

 京都府は府農業公園「丹後あじわいの郷(さと)」(京丹後市)を2015年4月に改装開業する。飲食施設を改修し、料理人の育成拠点を新設する。1998年の開業以来の大規模改装となる。運営委託先もこれまでの、レジャー施設のファーム(愛媛県西条市)から、地元の農水産業者らが共同出資する新会社に切り替え、地場の農産物や畜産品など発信力を強め、商品開発も強化する。これにより、府内外から観光客を呼び込み、落ち込んでいた来場者を3年後にも現在の2倍の20万人に増やす。

 改装によりレストランやバーベキュー施設を一新し、府内産の木材を多用して落ち着いた雰囲気にする。新たに乳牛の放牧も始め、搾り立ての牛乳を味わい、搾乳やチーズづくりを体験できるようにする。人材育成拠点「食の王国学舎(仮称)」も2015年度中に開設する。改装費は約2億円。あじわいの郷は98年度に35万人が訪れたが、ここ数年は11万人程度にとどまっている。公園は広さ34万平方㍍でイチゴやサツマイモなど農作物の収穫や、羊や馬との触れ合いができるほか、季節の花が楽しめる。

 

菱熱工業 野菜工場事業に参入 福井で直営工場

菱熱工業  野菜工場事業に参入 福井で直営工場

少量多品種の葉物野菜の栽培代行サービス

 冷熱エンジニアリングの菱熱工業(東京都大田区)は、6月から少量多品種に対応した葉物野菜の栽培代行サービスを始める。飲食業界の個人経営レストランなどにみられる外来品種や地域特産品といった希少野菜の需要に応えるもので、栽培代行は主に本社のラボ施設で手掛ける。

   温度や湿度、照度などを制御した水耕栽培により、30~40日で葉物野菜を育成できる。エディブルフラワー(食用花)をはじめ、珍しい品種の栽培を想定し、顧客の細かい注文にも応じるという。価格は品種に関係なく、30株の栽培で30万円程度の見込み。

 菱熱工業は野菜工場事業に参入し、5月に福井県で直営工場を稼働した。今回の栽培代行とともに、野菜工場の運営ノウハウを提供するサービスも始め、飲食や食品業界などに野菜工場を普及させる。栽培代行や野菜工場建設などの事業全体で、3年後をメドに10億円の売上高を目指す。

農村歌舞伎に復活の輪 地域まとめる役割に期待

農村歌舞伎に復活の輪地域まとめる役割に期待

  江戸時代から、レジャーのまだ少なかった昭和30年代ごろまで、日本各地で盛んだった農村歌舞伎(地芝居)が近年、脚光を浴びている。かつて人気を集めた木造の舞台は過疎化が進む山村などでは、世代を超えた新たなコミュニケーションの場として支持を集めている。舞台の復活や大規模修復に乗り出す地域も相次ぎ、全国的な交流も活発になっているという。 

    八ヶ岳を望む小高い丘に建つ長野県茅野市の「槻木舞台」。2013年10月に、半世紀ぶりの歌舞伎公演を開いた。すると普段は静かな山村に700人以上の人が集まったという。ここは幕末の文久2年(1862年)建造と伝わる舞台だ。本格的な修復に着手したのは昨年。終戦後までの様子を知る人が健在のうちに伝統の舞台を生き返らせたい。そんな思いで、同市の文化施設運営を手掛けるNPO法人が、舞台を所有する同市泉野槻木地区に公演復活を持ちかけたのがきっかけだった。

    修復に要する資金を巡り、当然反対意見もあったが、昔のにぎわいを思い出し、復活へと意見がまとまった。今の子供たちの目を、地元の文化財に向けさせたいとの思いもあった。同市内には他に3つの木造舞台があり、その整備や保存についての検討も始まっている。

    農村歌舞伎が盛んな地域でも、使われていない舞台を修復して、新たに使用する事例がある。3カ所の農村舞台を使用して10以上の歌舞伎劇団が活動する埼玉県小鹿野町。築130年とされる羽黒神社の舞台「舞殿」が昨年修復され、10年ぶりの歌舞伎公演を開いた。同町教育委員会によると、現在全国で活動中の農村歌舞伎は200以上。調査を始めた1991年には30余りだったといい、近年とくに復活の動きが活発-としている。東日本大震災以降、地域コミュニティーをまとめる機能の一つとして、郷土芸能への注目が集まっていることの証(あかし)とみられる。