唐招提寺で特有の奈良三彩瓦の破片65点出土

唐招提寺で特有の奈良三彩瓦の破片65点出土

奈良県立橿原考古学研究所は10月9日、唐の高僧鑑真(688~763年)が建立した唐招提寺(奈良市)で、3色の釉(うわぐすり)を使用した奈良三彩の瓦の破片が65点見つかったと発表した。破片が見つかったのは寺の僧房にあたる西室跡の東の溝。見つかった破片の最大のものは幅22.5㌢、通常の瓦より小型で摩耗が少ないため、建造物に伴う屋外の瓦ではなく、屋内の施設で使用されていたとみられる。同寺以外では見られない鮮やかな波状の文様が施されていた。

同研究所では「鑑真が住んでいたとされる西室付近で、室内にあった(仏像などを安置する)厨子(ずし)に葺(ふ)いていたのかも知れない」とみている。  奈良三彩瓦は平城京跡や東大寺、法華寺などでも出土しているが、今回の瓦は唐招提寺特有の波状の文様が施され、使用されている白い粘土にも混入物がなかった。