松本清張の初期の短編「渓流」59年ぶりに確認

松本清張の初期の短編「渓流」59年ぶりに確認

北九州市出身の作家、松本清張(1909~92年)の初期の短編小説「渓流」を立教大の石川巧教授が59年ぶりに確認した。人妻との恋に敗れた青年が自殺する話。雑誌に発表後、単行本化や全集収録はされず、埋もれたままになっていた。

「渓流」は上京4年目の56年に大衆文芸雑誌「小説春秋」に掲載された。400字詰め原稿用紙で約35枚の作品。人妻との恋に破れた青年が素性を隠して山峡の温泉旅館で働き、宿の娘とひかれあうが、寂寥に抗しきれず自殺する。発表誌が著名作家の再録中心だったこともあり「渓流」の存在そのものが知られていない。