神宮寺ブドウ活用し果実酒とシロップ開発 未来へ新風

神宮寺ブドウ活用し果実酒とシロップ開発  未来へ新風

大阪府交野市神宮寺地区で生産され、かつては京阪神で高い人気を誇った「神宮寺(じんぐうじ)ブドウ」。他地域の人にはいまやほとんど忘れ去られ、”幻のブドウ”となっている。そんな神宮寺ブドウの現状を打開し再興、未来につなげる新風を起こすべく、このほど栽培農家の田中ぶどう園(神宮寺1)が新商品を開発、販売を始めた。
開発したのは、デラウェア種とピオーネ種を使ったビネガー(果実酒)とシロップの4種類(各200㍉㍑、税込み1200円)。ブドウは化学肥料や農薬を抑えて栽培したもので、合成着色料や保存料を使わず、素材の風味を最大限引き出すために青果から作り上げた。やさしく、柔らかな味わいと、安心、安全がウリだ。味の評判はいい。課題は売り方をどうするかだ。
神宮寺ブドウのブドウ畑は北河内地域・交野山のふもとに広がる。ただ、栽培面積が大きくないために大量出荷が叶わず、次第に大量消費の時代に取り残された。加えて高齢化、後継者不足の悩みも発生した。26軒あった栽培農家は現在十数軒。昭和50年代に13㌶あった栽培面積も2005年のデータで約8㌶に減少し”先細り”の道をたどっている。
今回の取り組みには、考えに賛同した市内外の応援団たちの知恵も集まっている。栽培量を増やせない中でビネガー、シロップづくりを単独で拡大するには当然限界がある。他の農家と連携して進めることで、「神宮寺」のブランド力が高まり、交野のブドウ農業が活性化する。そうして次の世代が、ブドウづくりに誇りを持って携われる環境をつくっていきたいとしている。