月別アーカイブ: 2016年5月

『神皇正統記』の中世写本 福島県只見町で発見

『神皇正統記』の中世写本 福島県只見町で発見

福島県只見町教育委員会は5月12日、南北朝時代の歴史書『神皇正統記』を1587年(安土桃山時代)に書写した写本が町内で見つかったと発表した。同署の中世写本の発見は県内で初めて。県や町の文化財指定を受けることを検討している。
今回見つかった写本は①綴葉装(てつようそう)という、『源氏物語』など平安時代以降の文学書で用いられている、日本の伝統的な装丁②大部分の漢字に振り仮名が付けられている③音読みと訓読みの符号がある④歴史的なできごとを記したページに付箋がある-などが特徴。
本には上野国(群馬県)の寺で祐俊という僧侶が書写したことが記されている。この写本は江戸時代の医者だった同町黒谷の原田家にあった。
調査を担当した東洋大の久野俊彦講師は「中世末期の本の読まれ方が分かる貴重な資料。表紙や糸が装丁当時のままで破損がなく、文化財として重要だ」としている。また、国立歴史民俗博物館の小池淳一教授は「会津の中世文化を解明する手掛かりになる」と話している。
神皇正統記は公家の北畠親房が1339年に著した、天皇を中心に歴史をたどり、南朝の正統性を主張した歴史書。原本は現存せず、約20点の中世写本が伝えられ、国や自治体の文化財に指定されている。

“おもてなし”の拠点に 大阪迎賓館がグランドオープン

“おもてなし”の拠点に 大阪迎賓館がグランドオープン

大阪城西の丸庭園内の大阪迎賓館(大阪市中央区)が園内初の予約制レストラン「大阪城西の丸庭園 大阪迎賓館」として5月13日、グランドオープンした。近年増え続ける海外からの顧客にも、日本の”おもてなし”の拠点とし、食を通して大阪文化の魅力を発信していく。
同館は1995年に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の国際会議場として建てられ、その後は休憩所として利用されていた。

保育士確保へ特別給付 大阪市5月補正予算で

保育士確保へ特別給付 大阪市5月補正予算で

大阪市の吉村洋文市長は5月13日、保育士確保のため新規採用保育士への特別給付など3事業総額5億3,400万円を含む2016年度5月補正予算を同日開会した本会議に上程した。
今回の補正予算の総額は143億8,391万円。そのうち市内の民間保育所を対象とした保育士確保策として、①新規採用の常勤保育士へ2年目まで毎年10万円を給付(500万円)②常勤保育士宿舎の家賃を月額8万2,000円を上限に支給(900万円)③保育士の事務効率化のため、指導計画や保育日誌などのICT化(5億2,000万円)など。
新規採用保育士への特別給付は本年度から4年間で総額2億9,400万円、宿舎家賃支援は2年間で総額1億1,200万円を見込む。ICT化は市内の認可園、認定こども園、地域型保育所全520カ所が対象。宿舎家賃補助とICT化は国の補助制度を活用する。

シャープ 純損失2,559億円 2期連続の赤字で債務超過

シャープ 純損失2,559億円 2期連続の赤字で債務超過

台湾の鴻海精密工業の傘下に入ることが決まっているシャープは5月12日、2015年度通期の連結業績(2015年4月~2016年3月)を発表した。売上高は前年比11.7%減の2兆4,615億8,900万円。純損失は2,559億7,200万円となり、前年の2,223億4,700万円から赤字が拡大した。2期連続の赤字で負債が資産を上回る債務超過に陥った。

前方後円墳の原型か 橿原で大型の円形周溝墓見つかる

前方後円墳の原型か 橿原で大型の円形周溝墓見つかる

奈良文化財研究所は5月12日、奈良県橿原市城殿町の瀬田遺跡で、前方後円墳の原型と考えられている陸橋を持つ弥生時代末期(2世紀中ごろ~後半)の大型円形周溝墓(直径約31㍍)が見つかったと発表した。
墳丘は失われていたが、周溝ははっきり残り、国内最大級の規模。奈良県内では初の発見で、専門家は「前方後円墳を考えるうえで重要な史料」とみている。また同研究所では「纏向石塚古墳(3世紀初め)など『纏向型』と呼ばれる前方後円墳につながる形を持つ周溝墓だ。奈良県内で見つかったことに大きな意義がある」としている。
今回見つかった周溝墓は墳丘部の直径約19㍍、幅6~7㍍、深さ約50㌢の溝を巡らせ、南西部に長さ約7㍍、最大幅6㍍の陸橋がついていた。埋葬施設は見つかっていない。現地説明会は5月15日、午前10時~午後3時。

無残!石垣崩れ、巨石転がる 市が熊本城郭内公開

無残!石垣崩れ、巨石転がる 市が熊本城郭内公開

熊本市は5月11日、熊本地震で大きな被害を受けて立ち入り禁止となっている熊本城郭内を初めて報道陣に公開した。
一連の地震で石垣の崩落は53カ所に及び、加藤清正による1607(慶長12)年の築城当時の姿を残すとされていた「宇土櫓(やぐら)」など国指定需要文化財が数多く損傷した。城郭内では石垣が至るところで無残に崩れ落ち、地面には巨石が転がっていた。
熊本市では現時点では復旧に要する期間や費用についていずれも不明としているが、10~20年単位で、100億円を上回る規模の巨額の費用がかかるとの見方もある。

松井知事 7日→3日へ「民泊」の要件緩和求める

松井知事 7日→3日へ「民泊」の要件緩和求める

大阪府の松井一郎知事は、国家戦略特区の会議に出席し、石破茂・地方創生担当大臣に民泊事業の滞在日数を現在の7日以上から3日以上とするよう要望した。
大阪府では4月1日からマンションなどの空き室をホテルとして活用する、いわゆる民泊事業をスタートさせたが、事業開始から1カ月以上経過しても、申請はわずか1件にとどまっている。民泊第1号として認めた大東市の物件の利用もいまだ〇件だという。事業者にとってネックとなっている「滞在日数7日以上」が大きく立ちはだかっているのだ。
松井知事によると、石破大臣からは「せっかくつくったルールなら、ニーズに合うものにしないと、という発言があった」という。

大阪・京橋で歴史ウオーキング 近松の作品世界など巡る

大阪・京橋で歴史ウオーキング 近松の作品世界など巡る

歴史を探索するウオーキングイベントが5月15日、大阪・京橋で開催される。主催は関西不動産情報センター青年部幹事会。同団体は関西不動産企業の任意団体。自分たちの住んでいる街の歴史を知ろうと企画した。一般の人も参加できる。
当日は京橋周辺の大坂の陣や、近松門左衛門にゆかりのスポットなどをガイドする。若宮八幡大神宮を出発し、蒲生墓地、近松の名作『心中天網島』の舞台となった大長寺、太閤園などを巡る。そして、ツアーの最後にはOBPアカデミア(大阪市中央区)で講談師の旭堂南海さんが巡ったコースを、より深く理解できるように歴史講談を行う。

渡辺喜美氏 おおさか維新から立候補へ 参院選比例区

渡辺喜美氏 おおさか維新から立候補へ 参院選比例区

おおさか維新の会代表の松井一郎・大阪府知事と旧みんなの党代表の渡辺喜美前衆院議員が5月9日、大阪市内で会談し、渡辺氏が7月の参院選でおおさか維新から立候補することで合意した。比例区から立候補する見通し。
おおさか維新は14日に常任役員会を開き、正式に承認する。会談の中で、渡辺氏は「一兵卒でいいから一緒に改革をやらしてほしい」と伝え、松井氏も「改革マインドは同じ。気持ちは伝わった」と応じた。

江戸時代の高級陶磁器片が多数出土 新京都府警建設現場

江戸時代の高級陶磁器片が多数出土 新京都府警建設現場

京都府教育委員会によると、幕末、徳川幕府が京都の治安警護のため設置した京都守護職上屋敷跡が出土した京都市上京区の新京都府警建設現場から、江戸時代初期の豪商の存在を裏付けるような高級陶磁器片が多数出土した。ベトナムや中国からの輸入品も含まれている。
出土したのは美濃焼の志野茶碗、や向付(むこうづけ)皿、口部分が不規則に湾曲した唐津の沓茶碗、天目茶碗のほか、ベトナムや中国の陶磁器や茶陶など、いずれも17世紀の江戸時代初期の高級品・珍品ばかり。
この周辺では、これまでも高級陶磁器が出土していたことから、高級品を取り扱う店が並んでいたと想定され、18世紀には火災で屋敷を失った京都屈指の茶屋家が現在の中京区から移り住んだ場所としても知られる。
約2600平方㍍の調査地の西寄りの、南北に連なる形で掘られた一辺2.5㍍~5㍍のゴミ捨て穴から出土した。壊れるなどして捨てられたとみられる。