月別アーカイブ: 2016年11月

秀吉が築いた新たな”御土居”の一部を発掘 本格土木工事

秀吉が築いた新たな”御土居”の一部を発掘 本格土木工事

京都市埋蔵文化財研究所によると、安土桃山時代に豊臣秀吉が、周囲の外敵から守るため、当時の京を囲んで築いた”御土居”の一部が京都市北区の発掘調査で見つかった。
緩やかな段丘に盛り土した急勾配の土塁や、2例目となる地下排水溝があり、御土居の造営法を考えるうえで貴重な史料となりそうだ。
調査地は北区紫野花ノ坊町の住宅地。南北44㍍にわたって御土居が見つかった。自然の段丘の西側を4.5㍍掘り下げて堀にし、生じた土などを段丘に盛り土した跡が良好な状態で確認できた。土塁と堀はともに幅18㍍、堀の底から最も高い位置までの高低差は9㍍と推定される。
握り拳大の石を敷き詰めた長さ6㍍の地下排水溝(幅40㌢、深さ40㌢)も見つかった。この種の地下排水溝は上京区の北野天満宮境内の御土居に続いて2例目。
同研究所は「地形を生かすだけでなく、想像以上に大規模な土木工事を行っていた」とみている。

ペリー来航 実は1年前に予告されていた オランダから

ペリー来航 実は1年前に予告されていた オランダから

黒船来航、1853年7月のペリー艦隊の浦賀沖来航は、一般には突然のことと受け止められているが、実は幕府は1年前に予告されていた。
1852年7月、長崎・出島のオランダ商館長が「別段風説書」と呼ばれる文書を長崎奉行に提出していた。毎年、オランダ領東インド政庁が海外情報を記した書面を作成し、商館長を通して幕府に渡していたもの。
そこには米国政府が日本に使節を送る計画が示されていた。予告文には、その重要性を強調するため、丸印が付けてあったという。風説書に添えてオランダ東インド総督の書簡と日蘭条約草案の抜粋もあった。
ただ、これを受けた幕府は海防関係の諸大名らと内々に対応を協議したが、財政難のため防衛強化などの施策は講じられなかった。

国交省 シンガポール海事港湾庁から研修員受け入れ

国交省 シンガポール海事港湾庁から研修員受け入れ

国土交通省とシンガポール海事港湾庁(MPA)は、日・シンガポール外交関係樹立50周年記念行事の一環として、相互に研修員の派遣を行う『港湾分野における人材交流』を実施しており、このほどMPA職員1名を11月7~11日の5日間、初めて受け入れることになった。
今回受け入れる研修員は、シンガポール海事港湾庁副マネジャー。主な研修内容は我が国港湾関係者との意見交換、横浜港コンテナターミナル・LNGバンカリング視察等。
両国間ではすでに、3月7~18日の間、国交省港湾局国際コンテナ戦略港湾政策推進室次長をMPAに派遣し、また同10月24~28日の間、阪神国際港湾(株)および横浜川崎国際港湾(株)の社員2名をシンガポールの港湾運営会社(PSA社)に派遣している。

スー・チー氏 財界幹部らと懇談「迅速な投資を」

スー・チー氏、財界幹部らと懇談「迅速な投資を」

来日中のミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は11月4日、経団連などが東京都内のホテルで開催した昼食懇談会に出席し、両国の経済連携について、経済団体幹部らと話し合った。
スー・チー氏は「日本企業に、迅速で公正な投資をお願いしたい」と述べ、協力に期待を寄せた。同氏は「(日本からの)投資を通じて(ミャンマーの)インフラ整備と雇用創出につなげてほしい」と語り、「(投資について)何か問題があれば、一緒に解決策を探りたい」と訴えた。
昼食会には経団連の榊原定征会長や日本商工会議所の三村明夫会頭ら約60人が出席した。榊原会長は「日本の技術や資金を活用した協力関係を強化し、両国の持続的な経済成長に貢献したい」とあいさつした。

世界で起きた津波 70年以降は日本とスマトラ島に集中

世界で起きた津波 70年以降は日本とスマトラ島に集中

東北大学災害科学国際研究所は、過去400年間に世界で起きた津波を分析した報告書を公開した。
同大は米国が集計している地震の記録などからマグニチュード7.5以上と推定される地震を分析し、1600年以降に発生した津波災害94例を抽出。津波の高さや到達時間、威力などを計算した。
津波の高さについては1600~1969年と、1970年以降の地図を公開した。このうち太平洋とインド洋で発生した地震を対象にした地図では、高さ2㍍超の津波が日本の太平洋沿岸や北米大陸西岸、南米チリ、インドネシア・スマトラ島などを襲い、1970年以降は日本とスマトラ島付近に集中している。

「世界津波の日」各地で慰霊・訓練『稲むらの火』世界に

「世界津波の日」各地で慰霊・訓練『稲むらの火』世界に

2015年12月の国連総会で11月5日が「世界津波の日」に制定されて初めて迎えたこの日、日本をはじめ世界各地で被災・犠牲者の慰霊の式典や、地震や津波の発生に備え避難訓練が実施された。
「世界津波の日」は、安政南海地震で大津波が和歌山県・広川町に押し寄せた際、濱口梧陵が収穫した稲わらに火をつけ住民に知らせ、高台に逃れさせた逸話『稲むらの火』にちなんでいる。その広川町では犠牲者を悼む「津浪祭」が開かれ、参加者たちは安政の地震後につくられた堤防に土を盛った。その後、南海トラフ地震が発生し、大津波警報が発令されたとの想定で訓練が行われた。
インドネシア・アチェ州の州都バンダアチェでは、集会で『稲むらの火』の逸話が紹介され、この精神に学ぶとともに、いかに被災した事実を風化させず、後世に伝えるかなどについて話し合った。同地はスマトラ沖大津波で壊滅的な被害を受けたが、人口の流入で当時を知る人が少なくなりつつあるという。また、同地ではこれまでスマトラ沖大津波で被災した12月26日を慰霊の日としていた。また、日本人28人が死亡した津波に被災したタイ・プーケットでも慰霊式典が開かれた。
大阪・堺市では近畿地方整備局や大阪府などが主催する総合防災訓練が行われた。ヘリを使った上空からの救助やがれきの下敷きになった人の救助など、地震や災害に備えた幅広い内容で、参加者たちは真剣な表情で訓練に取り組んでいた。
このほか、4月の熊本地震を経験した熊本市の私立中学・高校でも生徒や教職員らが真剣な表情で訓練に参加していた。
『稲むらの火』は安政年間、1854年11月5日(旧暦)、安政南海地震で大津波が和歌山県有田郡広川町を襲った際、醤油醸造業を営む濱口儀兵衛家(現・ヤマサ醤油)当主で、七代目濱口儀兵衛を名乗った梧陵(雅号)が、収穫した稲わらを燃やして知らせ、村人を高台の広八幡神社へ逃れさせ、津波から救ったとされる逸話だ。

スーチー氏に京都大から名誉博士号 学生らと交流も

スーチー氏に京都大から名誉博士号 学生らと交流も

ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(71)は11月3日、かつて客員研究員として在籍した京都大学を訪れ、山極寿一学長から名誉博士号が贈られた。自由や民主主義の発展に貢献したことが評価された。スーチー氏は「大変名誉なこと」と笑顔をみせた。
スーチー氏は1985~86年の9カ月間、京都大の東南アジア研究センター(現・東南アジア研究所)で、ミャンマー独立運動をテーマに、独立の英雄で父親のアウン・サン将軍に関する研究を行った。京都大からは2013年に「名誉フェロー」の称号を贈られている。
この日は京都大学生らとの対話も行われ、学生から「どのように政治的決断をしているか?」と問われると、「正しい選択は一つとは限らない。しかし、いったん一つを選んだら、全力を尽くさなければならない」と答えた。

5年間で8,000億円規模支援 安倍・スーチー首脳会談

5年間で8,000億円規模支援 安倍・スーチー首脳会談

安倍晋三首相は11月2日、東京・元赤坂の迎賓館でミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と会談した。会談後の記者会見で安倍首相は「基本的価値を共有するミャンマーの取り組みを全面的に支持する」と述べ、官民合わせて5年間で8,000億円規模の支援を行うと表明した。
安倍氏は、ミャンマーの経済発展のカギは民間投資の呼び込みと、それを通じた雇用の拡大と人材育成だ。より良い投資環境づくりができるよう日本政府は支援していく。今後年間1,000人規模の交流や人材育成を通じてミャンマーの国づくりを支えていく-などの考え方を明らかにした。
また、農業やインフラ整備など9項目の協力プログラムを進めることで合意した。スーチー氏が重視する人材育成や雇用創出、都市と地方を結ぶインフラ整備などを柱とする。両国間で包括的な協力プログラムを作成するのは初めて。

「山・鉾・屋台行事」ユネスコの無形文化遺産へ

「山・鉾・屋台行事」ユネスコの無形文化遺産へ

文化庁は10月31日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に推薦していた「山・鉾(ほこ)・屋台行事」(18府県の計33件)について、事前審査をしていた評価機関が「登録」を勧告したと発表した。同庁によると、評価機関の登録勧告が覆った例はなく、11月末~12月初めにかけてエチオピアで開かれる政府間委員会で正式に登録が決まる見通しとなった。
「山・鉾・屋台行事」では、2009年に「京都祇園祭の山鉾行事」(京都市)と「日立風流物(ふりゅうもの)」(茨城県日立市)の2件がすでに登録されている。ただ、無形文化遺産の登録数が増えるにつれ、同分野の文化財の単独登録が難しくなっているため、政府は登録済みのものの範囲を広げる形で、今回東北から九州まで16県の31件を追加した。
これにより、「高山祭の屋台行事」(岐阜県高山市)、「博多祇園山笠行事」(福岡市)、「長浜曳山祭りの曳山行事」(滋賀県長浜市)、「秩父祭の屋台行事と神楽」(埼玉県秩父市)などが登録される見込み。

ミャンマー最高指導者スー・チー氏来日 首脳会談

ミャンマー最高指導者スー・チー氏来日 首脳会談

今年3月の民主政権発足後、事実上の最高指導者となったミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が11月1日、初めて来日した。
2日に安倍晋三首相、3日に岸田文雄外相とそれぞれ会談する。
ミャンマーは現在、景気後退局面にあり、国民は早期に政府の景気浮揚策に期待している。こうした中、ミャンマー政府はこの半年で7人の閣僚を日本に派遣。日本に投資を呼びかけ、経済支援を要請している。
「経済成長なくして民主主義は根付かない」と語るスーチー氏の、国の”舵取り”がいよいよ本格的に動き出す。