「千葉時代」誕生に期待 地質年代名で日伊が攻防

「千葉時代」誕生に期待 地質年代名で日伊が攻防

地球の歴史を刻む地質年代に、初めて日本の名称が付くのか注目が集まっている。地球の磁気が逆転した数十万年前の年代名について、日本は千葉県に由来する「チバニアン」(千葉時代)を提唱しているが、命名を争うイタリアとの攻防が激化しているもの。
地球の誕生から現在までの約46億年を時代ごとに区切ったのが地質年代だ。地球の磁気や生物、気候などの変化を基に古生代、中生代、新生代などの大きな年代や、さらに細かい年代が決められている。
ただ、まだ名前がない年代もある。長期にわたり支配した恐竜が絶滅した後、哺乳類が繁栄した新生代のうち、約77万~12万6000年前の「第四紀中期更新世」がその一つ。この名称をめぐって日本とイタリアが激しく争っている。
日本は千葉県市原市の地層を基準地にチバニアンの名称を提唱。イタリアは南部2カ所の地層を提案し、いずれも地中海のイオニア海に由来する「イオニアン」の命名を目指す。
国際地質連合は5月末に申請を締め切り、作業部会で数カ月後に最有力地を決め2018年にも正式決定する。基準地の地層はその年代を示す国際標準の役割を持つ。このため①海で連続的に積もった安定した地層②当時の環境か詳しく分かる③地磁気の逆転が分かる-などの条件を満たすことが望ましい。
日本が当初イタリアより優勢だったのは、地磁気の逆転を示す明確なデータがあるからだ。これに対し、イタリアも地層に含まれる放射性元素の分析でその変化を捉え、巻き返している。この結果、現時点では勝敗の行方は五分五分という。チバニアンに決まれば、地球史の中での日本列島の重要性が再評価されることになるのだが…。